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なにを言っているんですかさつきさん。彼女は春日井若菜ですよ? 3

プルルルル

その時だった。どうせ普段から着信なんか来ないのだから適当な着信音にしておいた僕の携帯に着信があった。

「チャンチャンチャンチャン・・・」

・・・えっと、さつきさんが今口ずさんでいるのは「着信アリ」の着信音です。

「あっ、はい、もしもし」

無視して電話を取る。それを見たさつきさんがあちゃーと自分の額を抑えた。

「勝手に死亡フラグを立てないでください」

ちゃんと突っ込みを入れる。だって今のしぐさ、超可愛いんだもの。

「え?何か言いました、漆根先輩?」

「あっ、いやいやなんでもないよ」

僕の電話番号を知っているのは前述の通り6名。もちろんディスプレイに名前は出ている。さすがの僕も電話相手を突っ込みで判断したりはしない。ていうか彼はなかなか突っ込んでくれない。彼を完璧な突っ込みに仕上げること、それが僕の夢だ。

「なんかすごい悪寒がするんですけど・・・」

「気のせいだと思うよ」

世界広しと言えども僕のことを「漆根先輩」と呼ぶのはただ一人、シュウ君だけだ。つむぎの・・・・・・彼氏である。

ちっ

「あれ?ちょっと電波が悪いんですかね。なんか舌打ちみたいの聞こえたんですけど」

「あぁ、まあ田舎だからね。しょうがないんじゃないかな」

「はあ、そうですか」

「ところで用件は何?」

僕とシュウ君は親しくはあるが仲がいいとまではいかない。遊びに行く約束ではないだろう。

「えっと、今から漆根先輩の家に行ってもいいですか?」自信なさげな控え目の声。

つむぎの部屋でつむぎと一緒にいる時とはえらい違いだ。

ちっ

「なんかふいに漆根先輩の部屋の壁が薄い気がして来たんですけど気のせいですよね?」

「ええ、ああ・・・まあ」

あいまいにごまかす。

「別にいいけど、つむぎはいないよ?」

部活の合宿で帰ってくるのは明日の夕方だ。

「ええ、知ってます。えっと、だからっていうか・・・」

「???・・・まあ、いいけど」

「本当ですか!じゃあ10分で行きます!」最後だけは元気良くなって通話終了。

「なんなんだ・・・?」

「で、誰からの電話だったのだ?」さつきさんはベッドに座り、雑誌をめくりながらお菓子を食べていた。

僕の部屋で僕以上にくつろげるのは及川とさつきさんくらいだろう。

「シュウ君ですよ。なんか今から来るそうです」

「えー」さつきさんは雑誌から顔をあげて、子供みたいな声を出した。

「あれ?さつきさんってシュウ君のこと嫌いでしたっけ?」

なんか粗相をした、みたいなイベントあったかな?

「だってあの子は面白くない」

「人間の評価基準がおかしい!」

なぜ面白さ基準だ。

「それにシュウ君だって鍛えれば立派な突っ込みになりますよ」

「駄目だ。どうせ私には突っ込めないのだから君以外はボケろ」

「理不尽だ!」

しょうがないけど!

「全人類ボケろ」

「65億対僕1人っ!?」

「どつき漫才だ」

「ただの集団暴行だっ!!」

僕はどんだけ敵つくればいいんだ?

「で、何をしに来るのだ?」

「さあ」

そういえば聞いてなかった。

「さあって・・・。日ごろの恨みを晴らすつもりかもしれないではないか」

「いやいや、別にシュウ君に恨まれてはいない筈です」

・・・多分。

「だがつむぎには恨まれているだろう?」

「う・・・・・・」

確かに。つまりつむぎがいない間につむぎの恨みをシュウ君が晴らすということだろうか。何という親切心の押し売りだ。

「よし、こうなったら武装しろ!」

「はい!・・・ああ、でも武器がない」

せめて雫がいてくれたら僕の身を守って・・・はくれないな。一緒になって僕の命を取りに来る。

「大丈夫だ。これをやろう」

「こ、これは・・・」

何という心強い味方。僕はその武器を腕に装着する。

「チップスターの筒で戦えっていうんですかっ!?」

底が金属でできているプリングルスならまだしもオール紙である。

「やめろ!こっちへ向けるな。波動砲が出るだろう!!」

「どんな仕掛けがっ!?」


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