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彼が私に嘘をついて付き合ってくれたのだが、彼の優しい嘘に私は心から救われた!

作者: 七瀬





“彼が私に嘘をついて付き合ってくれたのだが、

彼の優しい嘘に私は心から救われた!“




・・・私の余命は残り半年。

まさか? 私が末期の癌になってるなんて倒れるまで

何にも知らなかった。

自分の体の事なのに、私は全然自分の体の事を分かっていなかった。

私が倒れて病院に運ばれた時に医師から私はこう言われてしまったからだ。



『”瀬戸内さん、心して聞いてください! アナタが倒れた原因の病名は、

癌です、それも末期癌です。余命は半年!申し訳ありません、我々医師は

もう末期の癌になった患者になった人を完全に治す事は難しい、

勿論全力で努力はしていきますが、瀬戸内さんも一緒に病気に立ち向かっ

てもらわないと治せない、だから一緒に頑張って癌を完治しましょう。“』

『・・・あぁ、は、はい、』

『本当は今すぐ入院してほしいんですが、それは難しいかと思います

ので出来るだけ早く入院してください。』

『・・・わ、分かりました。』






私はあの時、”頭の中が真っ白になって何も頭に入ってこなかった。“

医師の言葉も何も、、、。

それにもう治す事が出来ないなら、残りの命である半年間は後悔しない

人生で終わりたいと思った。

だから私は病院には入院せず、”今まで通りの普通の生活をする事に

決めたのだ。“




・・・そんな時、私がずっと憧れていた男性が私と付き合いたいと

言ってくれた。

最初は直ぐに断ったのだが、彼がどうしても私と付き合いたいと

絶対に引かなかったから、根負けして私は彼と付き合う事にしたわ。




『ずっと思ってたんだけど、仕事は行かないの?』

『”ああ~社長が俺が毎日仕事頑張ってるから、少し長い冬休みを

俺にくれるんだって。“』

『”冬休み?“』

『俺の部署は、営業の成績が良かったら冬休みをくれるんだよ。』

『・・・へーえ、そうなんだ、ならいいんだけど。』

『それより明日は、一緒に何処に行く?』

『何処行こっか。』




私はちゃんと知っている。

彼が私の為に、忙しい時期に有給を欲しいと言ったのだが、

上司は、”有給なんか取れる訳ないだろう、それならもう会社を辞めろ“と

彼が言われて、会社を辞めた事。

確かに彼と私は部署が違ってはいたけど、この会社はそんなに甘くない。

この忙しい時期に有給なんて取ろうとしたら、そりゃクビになるだろう。

それを覚悟のう上で、彼は私の為に仕事を辞めてまで私の傍に居てくれた

のだと思う。

それに彼は私と一緒に居れる時間を優先してくれた。

いつも私に何処か行かないかと言ってくれるの。



『”明日は、海でも見に行かないか? ドライブがてらに!“』

『ああ~それいいね! 海見に行こう。』




・・・私は知っている。

彼が私と付き合う数日前に車の免許を取っていた事を。

それまで彼は車に全く興味がなかったから車の免許を持っていなかったのだ。

全て私の為に彼は車の免許まで取ってくれた。

それと? 車もローンを組んでまでいい車を私の為に買ったらしい。

彼の貯金は既に底をついていたのに、彼は一切私にお金の事は気に

なしくいいと言ってくれる。

彼はお金を消費者金融から借りてまで私に尽くしてくれているのだ。

返す見込みもないのに、彼は一体どうしているのだろう?



・・・でも私は日に日に体が弱っていきやせ細っていった。

食も細くなり食べるのも辛くなっていく。

そんな私にも彼は私にこう言ったわ。



『”大丈夫! ずっと俺が筒美の傍に居るから。“』

『・・・ううん、』



本当は凄く私の傍に居る事は彼にとって辛かったと思う。

日に日に痩せ細り、顔色も青白くなって、髪も完全に抜けていった。

そんな私を目の前にして何度も彼は心が折れたに違いない。

それでも私と一緒に居る時は、何時も笑顔を絶やさなかった。

私と離れた時は一人で泣いているのも私は知っている。




・・・そんな私も彼の事で知らない事もあった。

そもそも何故彼が私に付き合いたいと言ったのか?

彼は私と出逢う前から、私を何処かで知っていたらしい。

そんな時、私が倒れて救急車で病院に運ばれてその時彼も同じ病院に

居たらしく、偶然だったんだと思うのだけど彼は私の病名もその時

知ってしまったらしいのだ。

彼は心に決めて、私に告白して付き合った。

私も彼のおかげで、”もう死ぬ事への恐怖は消え亡くなった。“

こんなに一人の男性ひとから愛されて死ねるならもう本望だと

私は思っていたからだろう。






 *





・・・そして半年後、私は癌で亡くなった。

彼が私を最後まで看取って私は亡くなったのだ。

彼の最後の顔は、涙が頬をとめどなく伝う顔だった。

私はそんな彼を見て少し嬉しくもあった。

”彼の優しい嘘が私を心から救ってくれた。“

私は一人寂しく亡くなる予定だったの!

【孤独死】そうならなかったのは彼がずっと私の傍に居てくれたから。

彼には感謝の気持ちで、死ぬ間際まで心がいっぱいだった。

”ありがとう、心から私を愛してくれて! それとあなたで良かった。“



最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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