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第1話 たかが1文字、されど1文字

はじめまして、作者の和行です。本作を閲覧していただき誠にありがとうございます。初めての執筆で初投稿ゆえ、拙い部分も多くあるかと思われます。また、漫画原作をイメージした作品であり、筆者の文章表現力不足により、全て台本形式となることを何卒ご了承ください。ぜひ最後までお読みいただき、感想・レビュー等リアクションをしていただけると、今後の執筆活動の励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。

4月上旬。東京のとあるアパートにて


悠太

「いやー!バタバタしたけど案外なんとかなるもんだな!いよいよ明日入学式か!念願の大阪桜苑高校生だぞ!」


悠太の母

「誰のおかげだと思ってんだよ!」


悠太

「いて」


母にどつかれる悠太


悠太の母

「春休み中、ずっとバッティングセンターに通って!引っ越しの準備サボって!明日大阪で入学式なのに何でまだ東京いるんだい!」


悠太

「でも結果なんとかなりそうで良かったじゃねぇか。母さん、手伝い色々ありがと。明日の入学式は問題ねぇよ。思ってたより遅い時間だから朝一で電車に乗れば間に合う。」


そう言うと悠太は一枚の封筒を取り出す。


悠太

「荷物もほら、高校から受け取りの連絡来てたぜ。『高橋悠太様、お預かりした荷物は搬送致しました。入学式終了後に手続きの程よろしくお願い致します。 大阪桃園高校』だってさ!なーんの問題もな…ん?『大阪桃園高校』?」


悠太の母

「ん?」


悠太

「…誤字か?いや…でも色んなところに書いてあるし…他の高校が荷物受け取るってことあるか?」


悠太の母

「何言ってんだ」


悠太

「てか待て!この入学案内のパンフレットもよく見たら『大阪桃園高校』って書いてあるぞ!?母さん!入学金の振り込み先は?」


悠太の母

「…大阪桃園高校。あんたが希望してたって言う熱心なスカウトが来てた大阪の高校だろ?確認しただろ?そしたらあんた適当にここで良いって言うから…野球小僧のあんたの割には妙なとこ選ぶんだとは思ってたがね。」


悠太

「嘘だろ…発音が似てて1文字違いだからってそんなことあるか!?…母さん…俺、入学する高校間違えた。」


悠太の母

「はああああああ!?!?」



そして翌日…

大阪に向かう新幹線で悠太は大阪桃園高校のパンフレットを見ていた。


悠太

「うっわ、何だここ。映ってる生徒全員女子じゃねぇか!俺が引き受けられた以上、女子校ってことはないんだろうが…あ、野球部あった…ふむ。実績はあるらしいが…男子生徒…映ってねぇな…てことは女子の大会!?」


大阪桃園高校とは、数年前に昨今の少子化を理由に共学化した元女子校。しかし、学力然り運動面然り、その全てにおいてあまりにも優秀な女子たちが全国から揃い過ぎているため、共学化が始まってから今に至るまで、これまで男子入学者は0。女子が多い共学だからと安っぽいハーレムを夢見て浮かれて入学希望を出した男子は全員門前払いをくらう魔境と化していた。


悠太は大阪桃園史上初となる唯一の男子生徒。入学式ではかなり目立った存在となる。共学化しているが、当然のように学生は女子だけだと思っている他の生徒からは不思議な眼差しで見られる。


生徒A

「誰やあいつ!男子!?」


生徒B

「え!?共学化したけど実質女子校って話、嘘やったん!?」


生徒C

「どないして入ったんやか…ここはちょい頭ええぐらいの男子は全員落ちよるに…スポーツ推薦か?」


生徒D

「何にせよこんなところに来た男は野獣の如く卑猥な行動をするに決まっとるわ!」


生徒E

「せや!みんな!あいつを追い出そう!退学にさせたるで!」


悠太

(おーおーひでぇ言われようだな)


地獄みたいな環境だが何とか慣れなければいけない。入学式が終わり、初めてのホームルーム。悠太は1年1組の教室で自己紹介をする。


担任

 「じゃあ次は高橋悠太くん!」


悠太

「…はい。」


教壇に立つ悠太。女子生徒たちの視線が刺さる。


悠太

「あー…ども…唯一の男子なんで、覚えやすいかと…あの!俺!馬鹿なんで!でも野球はメッチャ上手くて!本当は大阪桜苑に行くつもりだったけど!1文字違いで間違えたっていう!アハハ!てな感じの野球特待生なんで!よろしくお願いしま…す…。」


1人で盛り上がる悠太。ただ教室は静まり返り、女子たちはドン引き。クスクス笑いや冷たい視線が飛び、完全にスベった。休み時間、悠太からヒソヒソ話で遠ざかり一定の距離を取る女子たち。孤立無縁のスタートとなる。



一通りホームルームが終わり、学校近くにあるボロボロの寮に帰る悠太


悠太

「クソ!何だこの高校!こんなとこで3年間!?冗談じゃない!甲子園どころか野球もまともに出来ねぇぞ!」


とその時ガチャと扉が開く音がして、何者かが入る。


菊池花蓮(理事長)

「やっほー!オーオー荒れてるねぇ!聞いたよー!なんでウチを選んでくれたのかと思いきや勘違いって!アッハッハッハッハ!」


菊池花蓮、28歳と若くしてこの学校の理事長となった陽気な女性。悠太をこの学校にスカウトした張本人。


悠太

「うおおおお!びっくりした!って理事長か…え!?理事長!?鍵かかってる筈だろ!?何で入って来てんだ!?」


花蓮

「あーこの寮ボロボロでしょ?だから鍵の閉まりが悪くて、実質ないようなもんなの」


ガックリと肩を落とす悠太


悠太

「プライバシーがねぇ…」


悠太の肩をポンと叩く花蓮


花蓮

「ごめんねーこんなボロい寮で。一人だけなら何とかなるかなって思ってたけどここエアコンも壊れてるから夏キツイよねー。流石に何とかするわ。」


悠太

「はぁ…寮まで地獄か…ってかそうだ!そもそも何でこんな学校の代表のあんたが俺をスカウトしたんだよ!俺!理事長が直々にスカウトって聞いて嬉しかったのによ!蓋を開けてみれば名門校の1文字間違い!」


鬱憤を晴らすかのように悠太が続ける


悠太

「元々こんな名前が紛らわしい高校がスカウトに来なければ俺が間違えることもなかったんだ!意味ねぇだろ!女子野球部に男子なんかいてもよ!」


熱くなる悠太に対して冷静に花蓮が応じる


花蓮

「別にうちは女子野球部じゃないよ。たまたま男子が入部してないだけ」


悠太

「一緒だろ!んで俺がいても他が女子なら大会すら出られないだろうが!」


花蓮

「…大会は出られる。別に野球の大会が男女で分かれてるのはただ性別のせいだけじゃない。性別からなる筋力、危険性、実力の差が本質的な問題だから。」


悠太

「…へぇ…俺がいりゃ出られるぐらいには、おたくんとこは強いわけ?」


花蓮

「『女子』甲子園五連覇の実績はあるよ。だから『女子』野球部ではウチが日本で1番強いから…まぁ実力はあるね。」


悠太

「はん!結局『女子』か!」


花蓮

「てか何やってんのよ。今日からさっそく部活でしょうよ。時間的にもう練習始まってるでしょ?」


悠太

「意味ねぇと思ってサボろうと思ったぜ。まぁ理事長様がそんなに言うんなら見学くらいしてやってもいいか。」


悠太をジッと見つめる花蓮


花蓮

「…黙ってたけど、いくら災難だったからって仮にも理事長相手に態度悪いねー。スカウトした時はもっと誠実だったのに。」


悠太

「あの時はお前が大阪桜苑のスカウトだと思ってたんだよ!」



一方、大阪桃園高校野球部グラウンドでは、部員が集まっており、新入生たちが先輩たちに挨拶をしていた。グラウンドには低身長ながら元気な新入生の高木彩花の声が響く。


高木彩花

「1年1組!高木彩花です!大阪出身です!ポジションはショート!広い守備範囲と走塁が武器です!」


次いで、少し大人しめの眼鏡をかけた1年生の小林結衣が喋る。


小林結衣

「1年2組!小林結衣です!群馬出身です!ポジションはレフト!相手の分析が得意です!」


そして金髪碧眼の留学生の1年生のエマがカタコトの日本語を交えて喋る。


エマ・シャーロット

「1年2組!エマ・シャーロットです!アメリカから留学に来まシタ!ポジションはファースト!パワーのあるバッティングが得意デス!」


1年生たちが次々と紹介する様子を名簿片手に見守るのは高身長できりりとした風格のキャプテン、佐藤凛だ。


佐藤凛(3年1組 キャプテン ポジション:サード、ピッチャー 出身地:埼玉)

「OK。これで1年生は8人目…みんな入学前の練習に参加してくれたから顔馴染みだけど、改めてユニフォームを着ると気が引き締まるね。


整列した1年生の顔を一人一人見つめる


「うん。今年の新入生は全国から、いや海外からも逸材揃いだ。中でも…最後の貴女、自己紹介お願い。」


藤田美咲

「はい!1年1組!藤田美咲です!愛知出身です!ポジションはキャッチャー!走塁、打撃、守備、全て自信があります!よろしくお願いします!」


山本葵(2年1組 副キャプテン ポジション:セカンド 出身地:神奈川)

「美咲ちゃん!入学前の練習の時はびっくりしたわ!新入生の中でも際立ってた!将来チームを引っ張る存在になるかもね!」


美咲

「副キャプテン!ありがとうございます!」


「さてと…これで一応、ベールに包まれた「彼」以外は全員揃っているが…」


「キャプテン!こいつ何なんですか!?確かに共学ではあるけど、今まで誰一人居なかったのに急に男子って!しかも入学前練習に全く来ないわ、今日もいないわ!そもそもこいつ本当に来るんですか?」


名簿を見つめる凛


「私も分からん。ただこの名簿に書いてあるということは監督はご存知なのだろう。」


すると彩花が反応する


彩花

「あ!はい!先輩方!1組のウチら、そいつ知っとります!…なんか…自己紹介でエラい滑っとりましたわ…」


美咲

「…」


するとグラウンドに理事長と悠太が現れる。


花蓮

「ほーら、やってるやってるー!」


悠太

「何であんたもついてきてんだよ…」


花蓮を見てハッとする凛


「監督!1名除いて新入生揃いました!1年!知っている者も多いと思うが、改めて、こちらが我が野球部監督の菊池監督だ!挨拶!」


悠太

「え」


1年生たち

「よろしくお願いします!」


花蓮

「うぃーっす。あ、で彼が追加の1名ね。」


悠太

「えええええ!?監督!?あんたが!?」


花蓮

「そ。理事長兼監督ってワケ。」


悠太

「理事長兼…監督…」


悠太を見つめる花蓮


花蓮

(…少子化のために共学化したってのは理事長としての建前…本当は…君のような野球少年をうちに迎え入れたかったからだよ!よろしくね!悠太くん!)


たかが1文字、されど1文字、その間違いでこの野球部と縁を持ってしまった最強選手、高橋悠太。この瞬間、彼の野球人生は順風満帆なものから波瀾万丈なものへと変わった。




最後まで閲覧いただきありがとうございます。漫画原作のイメージで執筆をしており、脳内では既に完結までのプロットを設定済みです。私生活多忙につき執筆作業完了まで少々時間はかかりますが、よろしくお願いいたします。

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