第5日 異世界なのにまだ何もしてない。
早く戦闘させたい…チートしたいのにチートしたら面白くない…どうしよう…
「おはようございます!今日の犠牲者は深山さんです!」
「朝っぱらから人狼すんな怖い。」
よし皆起きたようだな。
「今日やることは装備の調達、今後の作戦を練る。他には?」
「どうせ異世界に来たんだから戦いたいぜ!」
「俺も!」
「駄目だ。」
手を上げたのは起きたばかりの深山と片桐。
正直同じ人種として非常に分かるが許すわけにはいかない。
「確かに俺だって無双したいが、魔獣が跋扈する見通しの悪い林に土地勘のない俺らがぞろぞろと入って行っても、奇襲をかけられて全滅するのがオチだ。
いくらチートスキルを持ってるといってもパラメータ…身体能力自体は普通の人間と変わらない。まずは何人かに分かれてこの村で訓練を積み、実戦に臨むほうが楽じゃないかね。」
「ぐっ…確かにな。でも訓練つってもこの村に戦える人が居んのか?」
「来る途中に体格の良い人たちがいたし多分なんとかなるよ!」
神田のフォローが入る。ないす。
「じゃあ班分けしてから訓練を村長に頼む?」
「そうだな朽木」
野っ原を大人数でぞろぞろ歩くなんて想像もしたくない。
「じゃあ班分けしまーす」
食い気味に深山が発言する。
「俺片桐と樫田で!」
「お前あえて間違えてるだろ!樫山だって!」
「そうだが?」
「一発殴ります」
まぁあそこはあそこで良いとして。
「残りは俺と朽木と神田。丁度分かれたな。」
「あんたは一人ね。」
「ゑ?」
「えっ…」
「嘘でーすww」
突然の裏切りに神田さんも困惑。俺も困惑。
「さっさと訓練を頼みに行くぞ。」
「ごめんて。」
村長に頼むと快諾してくれた。自警団の人が午後に帰って来てくれるのでそれまでに武器を揃えておこう。
「武器買いに行きまーす。みんな着いて来い。」
「俺等は後で買いに行くから!」
「おけー。」
陽キャ組もいつもの調子を取り戻してきたようで何より。
「おぉ寒い…」
「流石に寒いね…」
外は吹雪。家の中がかなり暖かかった事もあり、寒さが機能性0の高い服に染みる。
「時間があったら服も新調するか…」
「そうだねー」
武具屋にダッシュ!開いててよかった!
「武器ください!!!」
『待て待て待て。材料が何も無いんで既製品しか無いぞ。』
「今のとこ素手なんで有るだけで嬉しいです!」
『見たところ銃一本と杖が二本…か。待ってろ、今取ってきてやる』
まだ何も言ってないんですけど。キッショ、何で分かるんだよ!
「すごいねー」
「普通に人外だわ」
やばい。武器とか使ったこと無いから楽しみすぎて語彙力が無くなってる。