第二日 チートスキル?
やあみんな!俺だ!ほら滝壺中の隆一だよ!久しぶりだな!
ちょっと相談があるんだ!
実は今いる所から逃げたいんだよね!
でもこの世界の金とか持ってないから野垂れ死ぬんだ!
とりあえず300万G、指定の口座に納入してくれ!
今日はお疲れでしょうと豪華な客室で一夜を過ごし、出発の時が来た。
髪の色なんかはどうしようもないが、服だけでも溶け込むためと一人一着服を着る。
生地とか光沢がどう考えても高いやつだ…すっげぇ。
案内人と名乗る初老の紳士、セバスさんが付き添いで用意された馬車に乗ってくる。
豪華な馬車に載せられたところを見るとまだ行動を起こすつもりは無いらしいな。
ドナドナを脳内再生しながら降りたところは大きな塔。さすが魔術師の塔と言うべきか、壁にはこれでもかとばかりに魔法陣が刻まれている。
「ここの塔はかの有名な大魔道士、マコト=イハラによって作られました。…」
「「へー」」
「なんか日本人みたいな名前だよね。」
「それな。」
セバスさんが先に行ったので自分たちも入る。
本棚と化した壁には大小様々な本がぎっしりと詰まっていてとても雰囲気が良いね。
中心には螺旋階段がくるくると渦巻いていて、これまた幻想的な雰囲気づくりに一役買っている。
この本の量を見る限り決して本自体はレア物では無いらしいな。情報が手に入りやすそうだ。
目の前にそびえる螺旋階段は登らず地下に降りていく。
上階とは違い石レンガに覆われた寒々しい雰囲気の部屋の中には、小さな水晶がぽつんと置かれていた。
「この魔水晶に触れてください。」
促されるままに触る。
さぁ。どうせならチートスキル来い!
【ステータス】
声とともに水晶の上にウィンドウが開く。
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name:クドウ リュウイチ age:15
STR 110 CON 101
INT 145 POW 98 →
DEX 123 EDU 179
総合評価:C
*一般人をCとする。
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「え、終わり?」
これがTRPGのステータスなら無双できるんだけどな!
残念ながらこの世界では平均的みたいだ…
それでスキルは…?呼び出されたのにスキルすらくれないの?
一人で戸惑っていると見かねたセバスさんが横から操作し始める。
「右の矢印を押すのです。」
「おっ」
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skill:【魔弾の射手lv:U】
・弾薬を無制限に放つ
・相手を無制限に追尾する
・連射能力は使用する銃に依存
【飛び道具の達人lv:1】
・弾薬を飛ばす武器の威力が100%上昇する
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「な…ユニークスキルだって!」
最強スキルで良かったが…
「うーん」
「何を唸っているのですか!ユニークスキルなど英雄の素質を持ち合わせているのですよ!」
なろう民の経験が告げている、これは追放される無能者にざまぁされる系の能力だ。
「魔弾の射手って演劇だったっけ?」
「そうそう、オペラだよ」
断言してもいい。
出どころが作者のオリジナルでなければその能力者は死にます!
俺の葛藤をよそに儀式は続々と進んでいくが…
「私リザレクションだって」
「俺は鑑定の魔眼」
「まじか、俺空間魔法」
「あたしゃスキルを奪い取る能力だって」
「なにそれ強そう」
「でもユニークは奪い取れないみたい」
「よかった、私の召喚した現代兵器で潰そうかと」
「やめよ?小学校からの友達でしょ?」
みんなユニークスキルを持っていた。
ただ一人を除いて…
「え?嘘、みんな持ってんの?」
「「お前持ってないの!?」」
朽木 優香。
俺の幼馴染だ。
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