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第四話:おだやかな朝

現代日本に生きるブラック企業のサラリーマン・藤堂蓮は、交通事故で命を落としてしまう。目覚めた先は、無限の闇が広がる異空間。そこで謎の女性「運命の管理者」から、滅びゆく異世界を救う使命を与えられ、新しい人生を歩むために転生を選ぶ。


目を覚ました蓮――今や「エリオス」として新しい姿を得た彼は、剣と魔法が支配する異世界で生きることになる。だが平穏な日々は長く続かず、精霊と契約を結ぶ儀式で、誰もが忌み嫌う「滅びの精霊・ネクロス」と契約してしまう。


その圧倒的な力の片鱗を見た村人たちは恐れ、エリオスを村から追放。彼はたった一匹の犬・しゅうを相棒にし、新たな旅路へと歩みを始める――滅びをもたらす力をどう使うべきか悩みながら。


「この力をどう使うか、それは俺が決める。」

孤独と葛藤を抱えたエリオスの異世界の旅が、今始まる。

新しい朝が訪れた。森の中で目覚めたエリオスは、焚き火の残り火をそっと踏み消し、しゅうに目を向けた。

しゅうは彼のすぐ隣で丸くなって眠っていたが、エリオスの動きに気づくと耳を立てて体を伸ばした。


「おはよう、しゅう。ちゃんと寝られたか?」


しゅうは口を大きく開けて欠伸をした後、軽く吠えてエリオスの足元に寄り添った。その仕草にエリオスは自然と笑みを浮かべる。


「お前は本当に元気だな。……よし、今日も行こうか」


しゅうは元気よく尻尾を振り、エリオスの横に並ぶようにして歩き始めた。森の中は朝露で湿り気があり、葉に溜まった水滴がキラキラと光っている。


歩きながら、エリオスはふと、しゅうに話しかけた。


「なあ、しゅう……お前って、どうして俺についてくるんだ?」


しゅうは足を止めることなく、鼻を鳴らして軽く吠えた。それは「何を当たり前のことを」と言わんばかりの反応だった。


「いや、まあそうだよな。俺があのツタから助けたからか?それとも、単純にお前が気まぐれなんだろうか?」


しゅうは少しだけ顔を横に振り、エリオスの顔を見上げた。


「……お前、分かっててやってるのか?まったく、言葉が通じないってのはこういう時不便だよな」


それでも、しゅうの静かに寄り添う姿を見ていると、不思議と孤独感が薄れていくのを感じた。


「……ありがとうな、しゅう。お前がいるだけで、なんだか心が落ち着くよ」


しゅうは再び軽く吠え、満足そうにエリオスの足元に寄り添いながら歩き続けた。


しばらく歩くと、森の中に開けた場所が現れた。草花が咲き乱れ、小さな小川がせせらぎを奏でている。エリオスはその場に腰を下ろし、しゅうも彼の隣に座った。


「しゅう、ここは綺麗だな。まるでこの森の中に宝石が隠れてたみたいだ」


しゅうは小川の水を軽く舐め、その後エリオスに向かって嬉しそうに吠えた。


「おいおい、俺はそんなにのどが渇いてるわけじゃないけど……まあ、一休みするか」


エリオスも川の水をすくい上げて飲んだ。その冷たさに思わず息をつく。


「なあ、しゅう……」


ふと彼は真剣な顔になり、しゅうに向き直った。


「お前、俺の力……怖くないのか?」


右手に刻まれた滅びの紋章を見せる。しゅうは紋章に少しだけ鼻を寄せたが、それ以上特に気にする様子はなく、再びエリオスの顔をじっと見つめた。


「お前だけは……俺を怖がらないんだよな。他の奴らは皆、逃げていくのに」


エリオスはしゅうの頭をそっと撫でた。その手に温かい毛の感触が伝わる。


「ありがとう、しゅう。お前がいてくれるだけで、俺は少しはマシな人間になれる気がするよ」


しゅうはその言葉に応えるように、エリオスの手を軽く舐めた。


しばらく休憩を取った後、エリオスは再び立ち上がった。


「よし、そろそろ行こうか。どこに行くかなんて分からないけど、いつまでもここにいるわけにはいかないしな」


しゅうも立ち上がり、エリオスの横に並んだ。その忠実な姿に、エリオスは少しだけ心が軽くなるのを感じた。


「お前となら……なんとかやっていけるかもしれないな」


しゅうはエリオスの言葉を察したのか、軽く吠えながら歩調を合わせた。


二人は再び森の奥へと進んでいく。これからどんな危険が待ち受けているのか分からない。それでもエリオスの隣には、いつもしゅうがいる。それだけで、彼は前を向いて歩ける気がした。

しゅうの描写

毛並み:白く滑らかな毛に片方の耳だけが黒い。光の下ではその毛が輝いて見える。

サイズ:中型犬(体高50センチ程度)。エリオスの膝のあたりまで届く。

性格:忠実で穏やか。だが必要な時には勇敢に行動する。


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