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第三十六話:遭遇(?)

迷宮の深部に足を踏み入れたエリオスたちは、異様な気配を感じ取った。周囲は不気味に静まり返り、空気がじわじわと冷たくなっていく。前方には装飾の施された巨大な扉が見え、その奥から強大な魔力が漏れ出しているのがわかる。


「ここが……迷宮の最深部?」

コトネが慎重に杖を構えながら辺りを見回す。


「違う……ここが本当の試練の場だ」

ポルフィが眉をひそめ、低い声で言った。


その時、扉を中心に闇の霧が集まり始めた。次第にそれは二つの人影となり、エリオスたちを睨む冷たい視線がそこに現れた。


一人は冷気を纏い、鋭い目で一行を見据える フロストグレイヴ。

もう一人は不敵な笑みを浮かべながら、ゆったりとした動きで長い黒髪を払う男。


「俺の名はフロストグレイヴ。無礼者ども、この地で氷漬けにしてやる!」

フロストグレイヴが冷たい声で名乗りを上げた。


続いて、黒髪の男が肩をすくめながら微笑む。

「リンドウだ。さて、お前たちには“春華顕現”という言葉を知ってもらおうか……」


その瞬間、空気が緊張に満ちた。


「まずは挨拶代わりだ。凍てつけ!」

フロストグレイヴが氷の刃を放つ。


「氷の刃よ、我が敵を裂け――フロスト・スラッシュ!」

鋭利な氷の刃が広間全体を駆け抜け、一行に襲いかかる。


「くっ……防御する!」

コトネが咄嗟に杖を振り上げ、光の盾を展開する。


「光の盾よ、守護の力を与えよ――ライト・シールド!」

眩い光の壁が氷の刃を弾き返すが、その冷気はなおも残り、周囲を凍りつかせていく。


「全員、散開して回避しろ!」

エリオスが指示を出すも、次の瞬間、リンドウが不気味な声で呟いた。


「さあ、心を惑わせてやろう――虚構の言葉よ、現実を飲み込み、真実を覆せ――

春華顕現――狂言榊綺語さかききご!」


リンドウの詠唱と共に、広間の光景が一変した。周囲には満開の花が咲き乱れ、目の前には無数の敵が現れる。


「これは……幻覚だ!」

しゅうが叫ぶが、どれが本物かわからない敵に囲まれた錯覚で、次第に体力を削られていく。


「全員、冷静になれ!これは幻惑だ!」

エリオスが剣を構え直すが、敵の動きが混乱を誘い、攻撃を外してしまう。


「どうする……どうすれば抜け出せる!?」


「さて、もう少し楽しませてもらおうか」

リンドウがゆっくりと手をかざすと、榊の枝が現れ、それがエリオスたちの体に絡みついた。


「榊の呪縛だ!こんなもの……くっ、抜けない!」

エリオスが必死にもがくが、榊の枝は鋼のように硬く、動きを封じていく。


「逃げられるわけがないだろう?」

リンドウが嘲笑を浮かべる中、しゅうが必死にもがきながら声を上げた。


「これじゃ、何もできない……!」


その時、頭の中で不思議な声が響いた。

「――春華顕現」


「春華顕現……?」

しゅうの体が突然赤い光を放ち始めた。目の上部には桜色の逆三角形の紋章が浮かび上がり、その力が炎となって枝を焼き尽くしていく。


「これが……私の力!」

しゅうが立ち上がり、驚愕するリンドウに向き直る。


「そんな力、聞いていないぞ!」

リンドウが焦りの声を上げた。


「私がやる……!」

しゅうが燃え上がる炎を手に、詠唱を紡ぐ。


「空に燃え立つ炎の星々よ、敵を焼き払い、大地に痕を刻め――紅蓮の雨となり降り注げ!インフェルノ・レイン!」


広間全体に桜色の炎が降り注ぎ、榊の枝も幻惑も一掃された。


「しゅう、よくやった!」

エリオスが剣を振り上げ、フロストグレイヴに突撃する。

ポルフィ

(まずい…このままでは…)


「ヴァンガード・スラッシュ!」

剣が光を纏い、冷気を砕く勢いでフロストグレイヴに直撃する。


「こんなもんできくと思ったか……!」

「春華…」

フロストグレイヴがしゃべった瞬間、ポルフィが指を鳴らした。


「さあ、これで終いじゃ」

「悠久の光よ、混沌を浄化し、全てを無に帰せ――カタストロフ・ライト!」

眩い光が広間全体を包み込み、リンドウとフロストグレイヴを飲み込む。


「覚えていろ……次はこうはいかない……!」

リンドウの声が残響しながら、二人はその場から姿を消した


戦いが終わり、広間には静けさが戻った。ポルフィが満足げに微笑むと、しゅうがふと自分の手を見つめた。


「ひとりでできた……!私の春華顕現の力……!!」

コトネがそっと近寄り、肩に手を置く。


「大丈夫?無理してない?」


しゅうは少し頬を赤らめながら頷いた。

「うん、平気……みんなのおかげだよ」


エリオスが剣を収めながら二人を見つめる。

「これで試験も突破だな。全員無事でよかった」


ポルフィが意味深な笑みを浮かべながら言う。

「しかし、試験にしては随分と厳しい内容じゃの。これは今後が楽しみじゃ」


「さあ、行こう。これで終わりじゃないはずだ」

エリオスが一歩を踏み出し、全員がそれに続いた


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