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第二十八話:日常

シンジゲートの幹部3人を退け、王都は一時的に平穏を取り戻した。

リュカスに別れを告げようとしたが技の反動でしばらく動けないようなので

しばらく前のギルドに戻ることを決意

激闘の疲労を引きずりながらも、ようやくギルド「ブライトホライゾン」の本部へと帰還した。


「やったぁ!私たち、ちゃんと任務を成功させたよね!」

しゅうが元気よく叫びながら、ギルドの扉をくぐる。


「本当にお疲れ様、みんな……あの戦い、正直厳しかったけど、無事に戻れて良かった」

コトネは微笑みながら、エリオスの隣に歩み寄った。


エリオスは剣を背負いながら、少し疲れた表情を浮かべている。

「そうだな。でも、あの幹部たちはまだ健在だ。次に出てきたときに備えて、もっと強くならないと」


コトネが優しく彼を見上げる。

「エリオス、また真面目なことばかり考えてるの?今は少し休んだっていいんだよ」


すると、しゅうがコトネの横から割り込むように顔を出した。

「そうそう!こんなに頑張ったんだから、今日は休息の日って決めちゃえばいいじゃない!」


コトネが少しムッとした顔でしゅうを見つめる。

「それはそうだけど……しゅう、何でそんなにエリオスに近いの?」


しゅうは無邪気な笑顔を浮かべながら、腕を組んでエリオスの肩に寄りかかる。

「だって、エリオスって頼りになるし、優しいじゃん?こういう時くらい甘えてもいいでしょ?」


「なっ……甘えるって、何よそれ!エリオスが困るでしょ!」

コトネが慌ててしゅうを引き剥がそうとするが、しゅうは涼しい顔で離れようとしない。


「コトネこそ、エリオスにくっつきすぎだってば。私が見てないときに、ちゃっかり距離詰めてるんでしょ?」


「そ、そんなことないし!」

コトネが顔を赤らめて声を上げると、エリオスは苦笑しながら二人を制止した。


「えっと……二人とも、落ち着いてくれないか?ギルドに戻ってきたばかりなんだし、少し静かにしようよ」


その瞬間、ギルドの奥からギルドマスターの声が響いた。


「エリオスたち、よく戻った!お前たちの活躍、見事だったぞ!」


ギルドマスターは手に王国の勲章と、新しい階級認定書を持っていた。その表情はどこか誇らしげである。


「お前たちのギルドは、これを機にゴールドランクへ昇格する。これはお前たちが成し遂げた成果だ!」


その言葉に、しゅうが目を輝かせた。

「やったー!ゴールドランクなんて、超すごいじゃん!」


コトネも嬉しそうに微笑む。

「本当に……こんな日が来るなんて。エリオス、私たちやったね!」


「いや、みんなのおかげだよ。俺一人じゃここまで来られなかった」

エリオスは静かに言い、二人に視線を向ける。その言葉にしゅうとコトネの表情が一瞬だけ柔らかくなったが、すぐにまた火花が散った。


「でも、ここまで来られたのは私がいたからでしょ?」

「違うでしょ、私がいなかったらエリオスはもっと苦労してたはず!」


エリオスは呆れたように笑い、再び言葉を発した。

「……まあ、とりあえず今日はゆっくり休もう。それに、俺たちがこれからどう動くかも考えないとな」


こうして、激闘を終えたエリオスたちは一旦平穏な日常を取り戻した。だが、シンジゲートの幹部たちが再び現れる可能性がある以上、油断はできない。

「よーし、今日はどんな依頼があるかな?」

しゅうが勢いよく掲示板に駆け寄り、肩まで届く髪をふわりとなびかせながら手を伸ばす。


「しゅう、あんまり慌てて選ぶと後で大変になるよ」

コトネが呆れたように言いながら、後ろから静かに歩み寄る。


エリオスは少し離れたテーブルで腕を組み、二人を見守っていた。

「でも、ギルドもゴールドランクになったし、依頼の内容も前より難しくなってきたな」


しゅうが貼られている依頼を次々と読み上げる。

「えーと、『東の森で凶暴化したウルフの群れの討伐』、『王都近郊で目撃されたオークの討伐』、『鉱山のトロールを退治してほしい』……あ、これ!賞金が多いよ!」


彼女が指差したのは、「南の湖周辺に出没する大型のリザード系魔物を討伐せよ」という依頼だった。賞金額はほかの依頼よりも高額で、しゅうは目を輝かせて振り返る。


「エリオス、これにしようよ!お金いっぱいもらえるし、腕試しにもなるでしょ?」


「リザード系か……強敵だが、行けそうではあるな」

エリオスは掲示板に歩み寄り、依頼内容を確認する。


「ちょっと待って、それ本当に大丈夫なの?」

コトネが不安そうに眉をひそめながら、二人に近づく。


「私たちはまだ準備が十分じゃないかもしれないし、無理をして怪我でもしたらどうするの?」


しゅうが腕を組み、口を尖らせる。

「何それ、私たちなら大丈夫だよ!それに、エリオスだってこういう依頼には挑戦する価値があるって思うでしょ?」


「いや、それは……」

エリオスが困った顔で二人を見比べる。


コトネはじっとエリオスを見つめながら、少し顔を赤らめて言った。

「私は……エリオスが怪我をしたりするのが嫌なの。もっと慎重に考えた方がいいと思う」


「そんなの、私だってエリオスが無事でいてほしいに決まってるよ!」

しゅうがムキになりながら声を張り上げる。


「でもコトネって心配しすぎなんだよね。冒険者なんだから、ある程度のリスクを取るのは当たり前でしょ?」


「リスクを取るのと無謀なのは違うでしょ!」


二人の言い合いに、周囲の冒険者たちもちらちらと視線を向ける。エリオスは頭をかきながら、苦笑して二人の間に立った。


「分かった、分かった。じゃあ、この依頼を引き受ける前に少し準備を整えよう。装備を確認して、問題がなければ行くってことでどうだ?」


コトネは渋々頷き、しゅうも満足そうに笑みを浮かべる。

「それならいいよ!準備が整ったら絶対に行こうね!」


その日の夕方、エリオスたち「月の宿」に滞在することにした


宿泊客たちが食事を楽しみながら談笑している。エリオスたちは窓際のテーブルを陣取り、旅の疲れを癒していた。


「ここのパン、めちゃくちゃ美味しいね!焼きたてで香ばしい!」

しゅうがパンをちぎって口に運びながら、目を輝かせる。


「そう?私はスープの方が好きかな。体が温まるし、味付けもちょうどいい」

コトネは湯気の立つスープを一口飲み、満足げに微笑む。


エリオスは二人の様子を見ながら、静かにグラスを傾けて水を飲んでいた。

「こういう時間も悪くないな……」


すると、しゅうが唐突に話題を変えた。

「ねえ、エリオス。さっきの依頼の話だけど、リザード系ってどれくらい強いの?」


「種類によるけど、大型だと攻撃力も防御力も高い。特に群れで出てくる場合は、戦術が重要だな」


「ふーん、なるほどね。だったら、私が前衛をバンバン燃やして……エリオスがとどめを刺せば完璧でしょ!」


コトネが少しむっとした表情で割り込む。

「何言ってるの?エリオスは前衛だから、私たちがしっかり支援しないといけないのよ。無茶しないで」


「無茶なんかしてないってば!私の炎魔法、最近すっごく調子いいんだから!」


「炎魔法が得意だからって、全てが炎で解決するわけじゃないでしょ?」


二人の言い合いがまた始まり、エリオスは苦笑しながら二人の間に手を伸ばした。

「まあまあ……こうしてのんびりする時間なんだから、喧嘩するなよ」


その言葉に二人とも少し顔を赤らめて黙り込む。コトネは少しそっぽを向きながらスープをすすり、しゅうはパンを黙々と食べ続けた。


夜が更けて、宿屋の窓から見える月が一層明るくなっていく。エリオスはベッドの上で剣を手に取り、静かに磨き始めた。


「この平穏が、ずっと続けばいいんだけどな……」

「月の宿」での穏やかな夜が明けた。朝の陽光が差し込む窓辺で、エリオスは剣の手入れをしていた。静かな時間を楽しむように、磨き上げた刃を眺めている。


「エリオス、もう朝ごはんの時間だよ!」


しゅうが元気よく声をかけながら、勢いよく部屋に入ってきた。肩までの髪がさらりと揺れ、朝の爽やかさを全身で表現しているようだった。


「朝からそんなに元気だと疲れるぞ」

エリオスは微笑みながら剣を鞘に収める。


「だって、今日もエリオスと一緒に依頼に行けるんだから!楽しみで仕方ないんだよ!」

しゅうは明るく笑いながら、エリオスの隣に座り込んだ。


その笑顔に、エリオスは少しだけ照れたように目を逸らす。

「そうか……でも、朝ごはんを食べないと力が出ないぞ」


「分かってるよ!それに……一緒にご飯食べるのもいいじゃない?」

しゅうは少しだけ顔を赤らめながら、小声で付け加える。


宿屋の一階にある食堂では、コトネが先に席について待っていた。窓辺のテーブルには湯気の立つスープやパンが並べられており、朝の日差しが心地よい。


「遅かったわね。朝ごはんが冷めちゃうところだったよ」

コトネがしゅうを軽く睨みつける。


「別に遅れてないし!それに、エリオスと一緒に来たんだからいいでしょ!」

しゅうが自信満々に答えると、コトネの眉がピクリと動いた。


「それは分かったけど……どうしてそんなにくっついてるの?」


「別に普通でしょ!ねえ、エリオス?」

しゅうはエリオスに視線を送る。


エリオスはスープを口にしながら、なんとも言えない顔で二人を見比べた。

「普通かどうかは分からないけど……朝くらい落ち着こうよ」


「ほら、エリオスだってそう言ってる。だから、コトネも怒らないで!」

しゅうが勝ち誇ったように言うと、コトネはため息をついた。


「別に怒ってるわけじゃないけど……朝からこんな調子じゃ、疲れるわよ」


朝食を終えた後、エリオスたちは再びギルド本部へと向かった。王都の中心にあるギルドは、冒険者たちの活気に溢れている。


「さて、今日の依頼を選ぶか」

エリオスが掲示板に目を向けると、しゅうがすかさず隣に寄り添った。


「ねえエリオス、今日はどんな依頼にするの?また強そうな魔物とか?」

しゅうの声は期待に満ちている。


「それもいいけど、少し軽い依頼にしようかなって思ってる。昨日の準備もあるし」


コトネがエリオスの反対側に立ち、やや冷静な口調で提案する。

「だったら、護衛の依頼とかがいいんじゃない?戦いばかりだと疲れるし」


「護衛?それって退屈じゃない?せっかく冒険者なんだから、もっとワクワクする依頼を選ぼうよ!」

しゅうが反論するが、コトネも引き下がらない。


「ワクワクだけが冒険じゃないわよ。それに、護衛依頼だって重要な仕事だし、報酬も悪くないものが多いの」


二人のやりとりに、エリオスは苦笑しながら目を閉じた。

「じゃあ、二人の意見を聞きながら決めるよ。焦らなくていいから、どれがいいかじっくり選ぼう」


その言葉に二人は一瞬黙り、顔を赤らめながらエリオスを見た。


「さすがエリオス、優しいね……」

しゅうがぽつりと言うと、コトネも少し悔しそうに頷く。

「……まあ、そうね。エリオスの言う通りにするわ」

その日の依頼を終えて、エリオスたちは月の宿に戻った。静かな夜空には満月が輝き、星々が瞬いている。


「今日の依頼も無事に終わったね」

しゅうが夜風に当たりながら満足げに呟く。


「ええ、でも明日も依頼があるんだから、しっかり休まないとね」

コトネが少し釘を刺すように言うと、しゅうが軽く肩をすくめた。


「分かってるってば。でも、エリオスはどうだった?」

しゅうが突然エリオスに話を振る。


「俺?まあ、順調だったと思うよ。二人がいてくれるおかげで、助かったよ」


その言葉に、二人は同時に顔を赤らめて視線を逸らす。


「……あ、あたりまえでしょ!私たち、エリオスの仲間なんだから!」

しゅうが照れ隠しのように声を上げると、コトネが静かに付け加えた。


「でも……そう言ってもらえると嬉しいわね」


穏やかな夜風に包まれながら、エリオスたちは次の日の冒険に思いを馳せる。そして、それぞれの気持ちを胸に秘めたまま、月光の下で帰路を歩いていくのだった。

エリオスは二人の様子を見ながら、静かにグラスを傾けて水を飲んでいた。

「こういう時間も悪くないな……」

水でそれっぽくするなよ……

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