第二十四話:三幹部
夕闇に包まれた王都南門で、エリオスたちはシンジゲートの三幹部と対峙していた。敵幹部の冷笑、魔法陣の不気味な輝き、そして張り詰めた空気が辺りを支配している。
「さて、お前たちの顔を覚えておくとしよう。私の名はフレイザー、この“混沌の炎”を司る者だ。そして、こっちの氷の塊はグラキア、うるさいのがデスバーンだ」
炎を纏った男フレイザーが、傲慢な笑みを浮かべながら自らの仲間を指差す。
「うるさいって誰のことだ、フレイザー!」
死霊を操るデスバーンが顔をしかめて叫ぶ。黒衣に身を包んだ痩せ細った男だが、その手には禍々しい瘴気が集まり、アンデッドが従っている。
「黙りなさい、どっちもくだらない。ここは私が主導するわ」
冷たく言い放つのは、氷の女王グラキア。薄氷のような白いドレスを纏い、鋭い視線を二人に向ける。
「お前たち、本当に仲が悪いな……それでどうやって力を発揮するつもりだ?」
エリオスが冷静に言葉を放つと、フレイザーは笑い声を上げた。
「仲が悪かろうと、この程度の相手なら問題ないさ。だが、無駄話もここまでだ――燃え上がれ、混沌の炎!」
その声とともに、フレイザーの背後に巨大な火柱が上がる。灼熱の波動が周囲に広がり、王都の壁を焦がしていく。
「エリオス!まずはフレイザーを抑えるよ!」
しゅうが叫びながら、詠唱を始める。
「灼熱の球体よ、我が力を乗せ、敵を焼き尽くせ――飛べ、紅蓮の閃光よ!ファイア・ボルト!」
中型の火球がフレイザーに向かって直撃する。しかし、フレイザーは炎のバリアを展開し、容易く攻撃を防ぐ。
「この私に炎で挑むとは……愚かな!」
フレイザーが手を振り上げると、炎の刃がしゅうに迫る。
「危ない、しゅう!」
コトネが杖を掲げ、光の防御魔法を発動する。
「光の盾よ、守護の力を与えよ――ライト・シールド!」
光の壁が瞬時に展開され、炎の刃を防ぐ。しかし、衝撃でしゅうが少し後退する。
「ありがとう、コトネ!助かった!」
その間にも、デスバーンとグラキアが互いにいがみ合っていた。
「さっさとアンデッドをけしかければいいだろう、デスバーン!」
「お前の氷みたいに遅い攻撃より、私の軍勢の方がよほど早い!」
「何を言っているの?あんたのアンデッドが踏み潰されるのを見たくはないけど、仕方ないわね」
グラキアが手を掲げると、空気中の水分が瞬時に凍り付き、無数の氷の槍が形成される。
「デスバーン、邪魔だけはしないで。氷槍よ、敵を葬れ――フロスト・スピア!」
槍がエリオスたちに降り注ぐが、リュカスが剣を抜き放ち、全て弾き返す。
「こんな程度では止められん!」
リュカスが声を上げながら突撃する。その圧倒的な剣技は、グラキアを一瞬怯ませる。
「何をしている、グラキア!全員で攻めれば、あの男も倒せるだろう!」
フレイザーが苛立ちを露わにしながら叫ぶ。
「勝手に指図しないで、炎馬鹿!」
二人の言い争いに、デスバーンが笑いながら煽る。
「仲良く喧嘩していろ。私は私のやり方で楽しませてもらう」
その隙を突き、エリオスたちは反撃の準備を整える。
「リュカスさん、僕たちも攻撃を集中させます!次の指示を!」
コトネがリュカスに声をかけると、彼は素早く状況を把握し、指示を飛ばす。
「エリオス、フレイザーの足を止めろ!しゅうとコトネは氷女を封じる。デスバーンは後回しだ!」
「了解!」
エリオスは剣を振り上げ、フレイザーに向かって突進する。
「ヴァンガード・スラッシュ!」
光を纏った斬撃がフレイザーに迫るが、彼はまたも炎のバリアを展開して防ぐ。しかし、その隙を突いて、しゅうがグラキアに魔法を放つ。
「燃え広がれ、紅蓮の床よ――炎の罠となり、敵を捉えよ!フレイム・ブレイズ!」
炎の床がグラキアの足元に広がり、氷の動きを封じる。
「これで氷の魔法は使いにくいだろう!」
「調子に乗るな、小娘!」
グラキアが怒りの声を上げると、氷の剣を生成し、しゅうに迫る。
「危ない!」
コトネが詠唱を始める。
「神聖光輝の刃よ、暗黒を斬り裂き、不浄なる者を裁け――レイ・ブレード!」
光の刃がグラキアの剣を弾き、その隙にしゅうが後退する。
「助かったよ、コトネ!」
「気をつけて!」
一方、デスバーンはリュカスに狙いを定めていた。
「なるほど、お前がこの部隊の要だな。では、私の死霊たちがお前を引き裂いてやろう!」
王都南門で繰り広げられる激戦は、さらに混沌を増していった。特務部隊とシンジゲート三幹部の力がぶつかり合い、周囲には破壊の爪痕が残されていく。
「フレイザーを抑え込むぞ!」
エリオスが仲間たちに声を上げながら剣を振りかざす。
「俺たちで倒す!この場所を守り抜くんだ!」
フレイザーは嘲笑を浮かべながら、炎の魔法陣を展開した。
「守り抜く?笑わせるな!この炎が全てを焼き尽くすさ!」
「燃え上がれ、終焉の紅蓮よ――インフェルナル・ストーム!」
フレイザーの詠唱とともに、無数の炎の柱が地面から立ち上がり、周囲を襲う。特務部隊のメンバーは、それぞれ回避行動を取るが、その熱量に全員が追い詰められた。
「くっ、こんな熱量……!」
しゅうが額の汗を拭いながら魔法を発動する。
「炎の壁よ、我を守り、灼熱の復讐を敵に返せ――バーニング・シールド!」
炎の盾を展開して防御を固めたが、フレイザーの攻撃は勢いを増していく。
「炎で防ごうなんて甘いな!」
「じゃあ、これならどう!」
しゅうは再び詠唱を開始し、今度は広範囲を攻撃する魔法を発動する。
「燃え広がれ、紅蓮の床よ――炎の罠となり、敵を捉えよ!フレイム・ブレイズ!」
足元から広がる炎がフレイザーを包み込み、一瞬動きを鈍らせた。
「今だ、エリオス!」
エリオスは剣に力を込めて突撃する。
「ヴァンガード・スラッシュ!」
光を帯びた斬撃がフレイザーの防御を削り取る。しかし、フレイザーはわずかな傷だけを負い、笑みを浮かべて立ち上がった。
「この程度か?次はお前たちが焼け落ちる番だ!」
一方で、リュカスはデスバーンの操るアンデッドの群れに囲まれていた。




