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第二十一話:訓練の日々

前回までのあらすじ

しんじげえとをげきは

えりおすつよし

グリームウッド村の事件を解決したエリオスたちは、王都へと戻った。遺跡での激闘の疲労が残る中、再び特務部隊の任務に備えなければならない。


特務部隊の宿舎に戻ると、しゅうが大きな伸びをしながらベッドに倒れ込んだ。


「はぁ~、やっと柔らかいベッドだよ。硬い地面で寝るのはもう懲り懲り!」


コトネが笑いながら彼女の隣で荷物を整理する。


「でも、ああいう場所でも眠れるのが冒険者ってものだよね」


「そうは言うけど、疲れるものは疲れるんだよ……」


一方で、エリオスは宿舎の窓から外を眺めながら、剣の柄を握りしめていた。


「エリオス、また考え事?」


コトネが心配そうに声をかけると、エリオスは小さく頷いた。


「今回の戦いで分かった。俺たちはまだまだ力不足だ。次の任務ではもっと強敵が現れるだろうから、気を抜けない」


「エリオスって本当に真面目だよね。でも、次に備えるのも大事だし……」


コトネの声に、しゅうが顔を上げて口を挟む。


「でも休むのも大事だよ!ほら、疲れた体で訓練しても逆効果なんだから」


「しゅうの言う通りだ。今日は休もう。明日から特訓を始める」


エリオスは剣を脇に置き、ベッドに腰を下ろした。


王都の特務部隊宿舎。朝の準備を進めているエリオスたちのもとに、アリサが現れた。どこか申し訳なさそうな表情を浮かべ、荷物を手にしている。


「みんな、少し話があるんだけど……いい?」


その声に、コトネが不思議そうに顔を上げる。


「もちろんいいけど……アリサ、その荷物は?」


しゅうも訝しげな顔をしながら問いかけた。


「もしかして、どこかに行くの?」


エリオスはその表情の真意を察したかのように静かに尋ねた。


「何かあったのか?」


アリサは一つ深呼吸をしてから、静かに話し始めた。


「私、特務部隊を辞めることにしたの……」


その言葉に、一同が驚きの声を上げる。


「えっ!?どうして?」


しゅうが驚いた表情で尋ねると、アリサは少し困ったように微笑んだ。


「ずっと迷ってたんだけどね……特務部隊での任務はすごく大事。でも、私の力で支えられる範囲って限られてるでしょ?それなら、王都の医療班に入って、もっと多くの人を直接助けられる仕事をしたいって思ったの」


コトネが静かに頷きながら言葉を継ぐ。


「そういうことだったんだ……。でも、アリサの力ならきっとどこに行っても役に立つよ!」


「ありがとう、コトネ。そう言ってもらえると安心する」


アリサは感謝の気持ちを込めて微笑む。


エリオスは少し考えた後、アリサに向き直る。


「アリサが決めたことなら、俺たちは応援するよ。これまで一緒に戦ってくれて本当にありがとう。君がいなかったら、いくつもの戦いを乗り越えられなかった」


アリサは少し目を潤ませながら笑顔を返した。


「こちらこそ。みんなと一緒に戦えたこと、誇りに思ってるよ。これからも気を付けてね」


「もちろん!アリサも無理しないようにね」


しゅうが明るく声をかけると、アリサは荷物を手にして扉の方へ向かった。


アリサが去った後、部屋には少しの静けさが訪れる。しゅうがぽつりと呟く。


「なんか……急にいなくなると寂しいね」


コトネが軽く笑いながら答える。


「でも、アリサは新しい道を見つけたんだから。それを応援してあげようよ」


エリオスも深く頷いた。


「そうだな。俺たちも頑張らないと……アリサに恥じないような冒険者になるために」


エリオスたちは新たな決意を胸にした。


エリオスたちは特務部隊の本部に呼び出され、リュカス団長と向かい合った。団長の表情は厳しく、手元には地図や資料が広げられていた。


「グリームウッド村での任務、ご苦労だったな」


リュカスが言葉を続ける。


「だが、シンジゲートの幹部はまだ6人いる。その全員が、お前たちが倒したグラウンド・ブレイカーやシャドウメイジを超える力を持つ者だと思え」


「さらに強い敵……」


コトネが眉をひそめる中、リュカスは地図を指差した。


「そして、次の任務では、奴らの次の動きを追う必要がある。ただし、その前にお前たちには強化が必要だ」


「強化、ですか?」


エリオスが問いかけると、リュカスは頷きながら説明を続けた。


「王都で徹底的に訓練を受けてもらう。個々の技術だけでなく、チームとしての連携を磨くことが重要だ」


「了解しました。全力で取り組みます!」


エリオスたちは揃って敬礼し、団長の指示に従う覚悟を固めた。


特務部隊の訓練施設は王都の外れに位置し、広大な敷地にさまざまな訓練用の設備が整っていた。剣技の模擬戦を行う広場、魔法の練習場、そして仲間同士で連携を学ぶための模擬戦闘エリアなどが揃っている。


エリオスたちは朝から晩までこの施設で特訓を受けることになった。リュカス団長が直接指導するため、その内容は非常に厳しいものだった。


エリオスが模擬剣を握り、リュカス団長と向かい合う。団長の鋭い目がエリオスの全身を見定めていた。


「まずは基本の確認だ。構えろ」


「はい!」


エリオスは剣を構え、団長が鋭い一撃を繰り出す。木剣同士がぶつかり合い、重い音が響く。エリオスは必死に受け流そうとするが、団長の一撃は重く、じりじりと後退を強いられる。


「足の使い方が甘い!踏み込みが浅いと攻撃に力が乗らん!」


「くっ……!」


団長の叱咤に応えるように、エリオスは足を踏み込み、体重を乗せて攻撃を繰り出す。


「ヴァンガード・スラッシュ!」


木剣に魔力を込め、一気に横薙ぎの斬撃を放つ。その勢いに団長がわずかに目を細めた。


「ようやく剣に力が乗ったな。その感覚を忘れるな」


「ありがとうございます!」


汗だくになりながらも、エリオスは団長との剣の稽古を続けた。


魔法の練習場では、コトネとしゅうがそれぞれの魔法の基礎を磨いていた。訓練教官が檻のような標的を指差して指示を出す。


「次は、詠唱速度と正確さを重視して撃ち込め。的を外せば即減点だ!」


コトネが杖を掲げ、落ち着いた声で詠唱を始める。


「光よ、闇を裂け、我が道を照らせ――ライト・フラッシュ!」


杖の先から放たれた閃光が標的を正確に撃ち抜いた。その動きを横目に、しゅうが意気込む。


「負けるわけにはいかないね!燃え上がれ、微かな灯よ。小さき力で敵を焼け――ファイア・スパーク!」


指先から飛び出した火花が別の標的を焼き払う。しゅうは笑顔で振り返った。


「ほら、僕の方が早かったよ!」


「正確さは私の方が上だったけどね」


コトネが微笑むと、しゅうは少し悔しそうに眉を下げた。


「むむむ……よし、次は範囲魔法で勝負だ!」


二人は火花を散らしながら練習を続けた。


午後には、エリオスたち全員での模擬戦が行われた。エリオスが前衛で盾役を務め、コトネが支援、しゅうが遠距離から攻撃を担当する。


「エリオス、右のゴーレムが動き出した!」


コトネが叫ぶと同時に、エリオスは剣を振り上げた。


「ヴァンガード・スラッシュ!」


魔力を込めた斬撃がゴーレムの足を切り裂き、その動きを止める。その間にしゅうが詠唱を終えた。


「燃え広がれ、紅蓮の床よ。炎の罠となり、敵を捉えよ――フレイム・ブレイズ!」


燃え広がる炎がゴーレムを包み込み、攻撃の手を封じる。


「いい感じだね。次の指示を!」


「次は後方のゴーレムを狙う。コトネ、光の魔法で援護を!」


「分かった!光よ、守護の力を与えよ――ライト・シールド!」


光の壁がエリオスを守りながら、再び連携が取れた攻撃を仕掛ける。

「今度は攻撃の連携を試すぞ!」


リュカス団長が木剣を構え、エリオスに次々と攻撃を仕掛ける。エリオスは防御だけでなく、カウンターのタイミングを模索し始めた。


「相手の動きを見極めて、反撃のチャンスを狙え!」


団長が鋭い突きを放つ。その隙を突き、エリオスが剣を横薙ぎに振る。


「ヴァンガード・スラッシュ!」


木剣に魔力を込めた斬撃が団長に迫るが、簡単にかわされる。


「悪くないが、動きが直線的すぎる!」


団長の一撃でエリオスが後退する。そのたびにアドバイスが飛ぶ。


「剣は力だけじゃなく、柔軟さも必要だ。それを忘れるな!」


「はい!」


コトネとしゅうはそれぞれ中級魔法の威力を高める訓練に挑んでいた。


「中級魔法をもっと速く、強く発動するんだ!」


コトネが集中し、杖を掲げる。


「清浄なる輝きよ、刃と化し、悪を断て――レイ・ブレード!」


光の刃が標的を切り裂き、その残響が場内に響く。しゅうがそれを見てすぐに詠唱を始めた。


「灼熱の球体よ、我が力を乗せ、敵を焼き尽くせ――ファイア・ボルト!」


中型の火球が標的に命中し、爆発を引き起こす。その威力に満足げに笑みを浮かべたしゅうが振り返る。


「どうだい?僕の火球、なかなかのものでしょ!」


「私も負けないよ!」


二人は競い合いながら、詠唱速度と威力を高めていった。


訓練の終盤、エリオスたちは難易度の高い模擬戦に挑む。今回は複数の魔物を同時に相手にする。


「しゅう、遠距離から支援を頼む!コトネ、光魔法で俺を援護してくれ!」


「了解!」


エリオスがゴーレムに向かって突撃し、剣を振るう。その間に、しゅうがフレイム・ブレイズで足元を燃やし、コトネがライト・シールドで防御を固める。


「これなら勝てる!」


全員が一体感を持って動き、模擬戦を見事に勝ち抜いた――。

1人いなくなっちゃった

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