表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/41

第二十話:超える力

前回までのあらすじ

ネクロスに急に話をかけられる…

「お前はまだ、虚無断界の本当の力を理解していない。この技はお前が望めば、今すぐにでも使える」


「何……?」


驚くエリオスに、ネクロスは追い打ちをかけるように嘲笑する。


「連発はできないが、それ以外に制限はない。それすら知らなかったとは……本当に未熟な主だな」


エリオスは悔しげに拳を握りしめながら反論する。


「それでも、安易に頼るわけにはいかない。自分たちの力で戦える道を探すんだ」


「ほう、見上げた決意だ。しかし、今のままでは勝てんぞ?」


ネクロスの声が消えると同時に、エリオスは息を整え、仲間たちに視線を向けた。


コトネがエリオスに歩み寄り、心配そうに声を掛ける。


「エリオス、大丈夫……?」


「ああ。ネクロスに煽られただけだ」


しゅうが興味津々で聞き返す。


「煽られたって……どんな話?」


「……虚無断界のことだよ。どうやら、すぐにでも使えるらしい。ただし、連発は無理だ。それ以上に、力の使い方を間違えれば、俺たち全員が危険に晒される」


「そうだったんだ……でも、その力が使えるなら、勝つチャンスがあるんじゃない?」


しゅうの言葉に、エリオスは真剣な表情で頷いた。


「そのチャンスを生かすために、万全の準備をするんだ。しゅうとアリサは遠距離から精霊を削る役目を。コトネは光魔法で精霊の力を封じる。俺は最後に虚無断界で決める」


コトネが不安げに聞き返す。


「でも、それってエリオスに全部負担がいくんじゃ……」


「大丈夫だ。みんなが支えてくれるなら、俺は必ずやり遂げる」


「分かった……全力でサポートするから、無理だけはしないでね」


全員が決意を新たにし、広間への最後の戦いに向かった。


広間に戻ると、シャドウメイジとダスクウィングがすでに待ち構えていた。


「戻ってきたか……死に急ぎたいらしいな」


シャドウメイジが冷笑を浮かべる中、エリオスが剣を構える。


「俺たちは負けない。ここでお前を止める!」


「ほう……では、見せてもらおうか」


シャドウメイジが指を鳴らすと、ダスクウィングが巨大な翼を広げ、闇の霧を広間全体に広げた。


「まずは私が光で霧を裂く!」


コトネが杖を掲げ、詠唱を始める。


「神聖光輝の刃よ、暗黒を斬り裂き、不浄なる者を裁け――レイ・ブレード!」


光の刃が精霊に直撃し、その体を揺るがす。しかし、シャドウメイジが冷笑しながら呪文を唱え、闇の霧をさらに濃くする。


「小細工が通じると思うな。闇の精霊は無限に再生する!」


しゅうが援護に入る。


「そんなの、やられる前に倒すしかないよ!空に燃え立つ炎の星々よ、

敵を焼き払い、大地に痕を刻め。我が命を灯火とし、紅蓮の雨となりて降り注げ!

インフェルノ・レイン」


炎の嵐が霧を切り裂き、ダスクウィングを包む。その隙に、アリサが水魔法を発動する。


「冷たき刃よ、闇を切り裂け――フローズン・スラッシュ!」


氷の刃が精霊の翼を直撃し、一瞬その動きを止めた。


「今だ、みんな離れて!」


エリオスが叫び、右手の紋章が輝き始める。


「永久とこしえの闇よ、万象を呑み尽くし、滅びし大地に断界を刻め


 ――無限の刃よ、虚無を裂き、道を切り開け! 虚無断界!」


剣に収束された黒い霧が巨大な刃となり、エリオスがそれを振り下ろすと、広間全体に衝撃波が走った。


「ギィィィ……!」


ダスクウィングが苦悶の声を上げ、その体が黒い霧に飲み込まれる。続いて、シャドウメイジが膝をつき、闇の力を失う。


「この私が……敗れるとは……」


彼が悔しげに呟いた瞬間、魔法陣が崩れ、彼の姿は霧の中に消えた。


「やった……終わったんだね!」


コトネが喜びの声を上げるが、エリオスは疲れた表情で膝をつく。


「エリオス、大丈夫?」


「平気だ……虚無断界を使っただけで、この程度だよ」


「そんなの平気じゃないよ!」


コトネが涙ぐみながら叱ると、エリオスは安堵の笑みを浮かべた。


「ありがとう……でも、みんながいたから勝てたんだ」


遺跡の戦いを終えたエリオスたちは、荒れ果てたグリームウッド村に戻ってきた。村は再び静けさを取り戻していたが、魔物の襲撃による爪痕はまだ残っている。壊れた家屋や焦げた地面を見て、エリオスは拳を握りしめた。


「……俺たちがもっと早く来ていれば、ここまで酷くならなかったかもしれない」


その言葉に、コトネが優しく微笑みながら首を振る。


「エリオス、村の人たちは助けられたんだよ。遺跡の魔物も止めたんだから、十分だよ」


「そうだよ!この状況を作ったのはシンジゲートだし、責任を感じる必要はないよ!」


しゅうが明るい声で励ますと、アリサも静かに言葉を添える。


「でも、次に同じことが起きないようにするには、もっと強くならないといけないね」


エリオスは仲間たちの言葉に頷き、剣を握り直した。


「そうだな。俺たちはこれからも力をつけて、どんな敵でも倒せるようにならないといけない」


村の中央広場に足を運ぶと、村長が駆け寄ってきた。


「エリオスさん、皆さん……本当にありがとうございます。遺跡の魔物が止まったおかげで、村も平和を取り戻しました!」


村長が深く頭を下げる。エリオスは少し照れくさそうに返事をした。


「これ以上被害が出なくてよかったです。でも、また魔物が現れる可能性もあります。王都に報告して、監視を強化するべきだと思います」


「もちろんです。すぐに対応します……。これを、どうか受け取ってください」


村長が差し出したのは、村で集められたわずかな報酬だった。


「これは……」


「少ないかもしれませんが、村人たちからの感謝の印です」


コトネが微笑みながらそれを受け取り、深く頭を下げた。


「ありがとうございます。村の皆さんの気持ち、大切にします」


翌朝、エリオスたちは王都へ戻るために村を出発した。道中、しゅうが突然話を切り出す。


「そういえば、エリオス。虚無断界を使った感想はどうだった?」


「感想って……別に特別なことはない。ただ、あれを使うとすごく疲れる」


「へえ、連発できない代わりに疲れるくらいで済むんだ。便利だけど、調子に乗らないでね!」


しゅうが茶化すように言うと、コトネが真面目な顔で言葉を添える。


「でも、ネクロスの力を頻繁に使うのは危険だよね。いざという時だけにしないと……」


「分かってるよ。これは最終手段だ」


エリオスは剣の柄に手を置きながら答えた。


「それよりも、俺たち自身の力で戦えるようになるのが一番だ」


アリサが微笑みながら頷いた。


「次の任務に向けて、もっと訓練を積もうね」


王都に戻ったエリオスたちは、特務部隊の本部でリュカス団長に任務の報告を行った。


「ダスクウィングを倒しただけでなく、遺跡の魔物の発生も止めたか……見事だ」


リュカス団長が腕を組みながら頷く。


「今回の任務は合格だ。だが、シンジゲートの幹部が相手だったとはな……今後、さらに厳しい戦いになるだろう」


「団長、シンジゲートの幹部は全部で8人いると聞きました。その全員が今回のように強いんですか?」


エリオスが尋ねると、リュカスは少し険しい表情を浮かべた。


「そうだ。だが、中には今回のシャドウメイジや以前のグラウンド・ブレイカーを遥かに超える力を持つ者もいる」


しゅうが少し怯えたように呟く。


「それって……次に出てくる奴がもっと強かったら、どうするの?」


リュカスはその言葉に答えるように、静かに言った。


「そのために、お前たちには特務部隊の訓練でさらに力を付けてもらう。そして、全員で生き残る戦術を学ぶんだ」


エリオスたちは団長の言葉を胸に刻み、これからの戦いに備える決意を新たにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ