第十七話:戦闘!グリームウッド村
前回までのあらすじ
一行は
カオスガードに入隊することに成功!
この選択はあっていたのか…
強くなってくれ!!
エリオスたちが案内された特務部隊の訓練場は、王都の外れに位置する広大な施設だった。石畳が敷き詰められた訓練場には、剣戟の音や魔法の爆発音が絶え間なく響き渡り、特務部隊の隊員たちがそれぞれの技を磨いていた。
リュカス団長が中心に立ち、厳しい目で新人たちを見渡す。
「ここは甘えが許される場所ではない。特務部隊の隊員として、戦場で生き残るための力を磨け。それが、王国を守る者の責務だ」
その言葉にエリオスたちも自然と背筋を伸ばす。
「エリオス、お前には剣技をさらに磨いてもらう。ネクロスに頼るばかりでは限界が来るぞ」
「分かっています。この剣一本で戦えるようになりたいんです」
リュカスが頷き、訓練教官を呼び寄せた。その教官は厳つい顔つきの中年男性で、見た目からして歴戦の戦士だった。
「こいつが俺の訓練を受ける新人か。よし、まずは腕試しだ。剣を抜け」
教官との模擬戦は、瞬く間に白熱したものとなった。教官の剣捌きは一切の無駄がなく、エリオスの攻撃はことごとく受け流されてしまう。
「どうした、その程度か?」
「くっ……まだ終わりじゃない!」
エリオスは剣を振り抜き、教官の胴を狙うが、その動きは見透かされていた。
「甘い!」
教官の剣が素早くエリオスの剣を叩き落とし、彼の体勢を崩す。地面に倒れ込んだエリオスに教官が声を掛けた。
「剣を振るうだけではダメだ。何のために剣を握っているのかを考えろ。そして、攻撃の意図を相手に伝えるな。もう一度だ!」
教官の指導を受け、エリオスは剣技の基礎から学び直した。その中で、いくつかの新しい技を体得していく。
スウィフト・ストライク(初級スキル)
訓練用の剣を握り、エリオスは教官の指示で素早い斬撃を繰り出す。
「重さはいらない。ただ速さで相手を圧倒しろ!」
エリオスが横一文字に剣を振ると、教官が少し頷いた。
「悪くない。だが、速さだけでは相手の動きを封じられない。間合いを詰め、相手の逃げ道を塞ぐように動け」
何度も繰り返し訓練を重ねた結果、エリオスは相手の防御の隙を突く動きを身に付けた。
テンペスト・エッジ(中級スキル)
次に教えられたのは、周囲の敵を一掃する技だった。
「お前たちが相手にするのは魔物だ。一対一とは限らない。群れを相手にする戦い方を学べ」
教官の指示でエリオスは剣を両手で握り、全身を使って高速の回転斬りを繰り出す。回転する刃が訓練用の木製の標的を薙ぎ払い、見事に破壊する。
「悪くない。だが、回転中は隙が生じやすい。最後の一撃で敵を仕留めろ!」
グローリー・ストライク(上級スキル)
最も難しいとされたのが、魔力を剣に込めて突撃する技だった。
「魔力を剣に宿せ。だが、ただ力を込めるだけでは駄目だ。剣と一つになれ」
教官の指導に従い、エリオスは剣を握りしめながら集中した。剣が淡い光を帯び始めた瞬間、全力で前方に突撃する。標的の木製の盾が粉々に砕け散った。
教官は満足げに頷き、リュカスに向かって報告した。
「こいつは伸びる。もっと磨けば一流の剣士になるだろう」
訓練が一段落した日の夕方、リュカスがエリオスたちを呼び寄せた。
「お前たちに特務部隊としての初任務を伝える。王都近郊の村から、魔物が活性化しているという報告が上がってきた。村を守り、原因を突き止めるのが任務だ」
エリオスたちはその内容に緊張を高めながらも頷いた。
「さらに詳しく聞きたいです」
「村の近くには、古代の遺跡がある。その遺跡から魔物が溢れ出しているという報告だ。シンジゲートが関与している可能性が高い」
リュカスはエリオスたちを見渡し、続ける。
「今回はお前たちだけで挑むことになる。他の部隊員は別任務で動いている。お前たちの実力を試す絶好の機会だ。準備を整えろ」
エリオスは仲間たちを見渡し、力強く頷いた。
「分かりました。俺たちに任せてください」
宿舎に戻ったエリオスたちは、装備を整えながらそれぞれの思いを口にした。
「初めての任務だね……緊張するけど、全力で頑張ろう!」とコトネ。
「私たちなら絶対できる!エリオスもいるし!」としゅう。
「村を守るためには、絶対に成功させなきゃ……」とアリサ。
エリオスは剣を握りしめ、仲間たちに言葉をかけた。
「俺たちで必ず村を守る。みんな、行こう!」
こうして、エリオスたちは初任務に向けて王都を後にした――。
エリオスたちが特務部隊として初任務を受けた翌朝、彼らは早速王都を出発した。目的地は、「グリームウッド村」という小さな集落。森と丘陵に囲まれたその村は、以前から平穏な生活を送っていたが、突如として魔物の襲撃に見舞われた。
道中、しゅうが空気を和ませるように声を上げる。
「ねえねえ、グリームウッド村って聞いたことある?名前は素敵だけど、平和すぎて冒険者は寄りつかないって噂だよね」
「だからこそ、今回の魔物の襲撃が異常なんだよ」
コトネが冷静に返しながら、地図を確認する。
「ここからあと少し。準備は大丈夫?」
エリオスは剣の柄を握りながら頷いた。
「どんな状況でも対応できるようにしないとな。村を守る、それが俺たちの任務だ」
アリサが静かに応える。
「みんなで力を合わせれば、きっと成功するよ」
グリームウッド村は、小さな丘陵地帯に囲まれた静かな村だった。村の中央には、石造りの教会と広場があり、普段は穏やかな農村の生活が営まれている。だが、村に近づくにつれてその静けさが不気味なものに変わっていく。
「普通、村の入口には誰か見張りがいるよね……?」
しゅうが眉をひそめながら言う。
「その通り。誰もいないのはおかしい。何かがあったに違いない」
エリオスが警戒を強める中、コトネが地図を確認しながら付け加えた。
「この村、古い記録に出てきた遺跡の近くだよね。もしかしたら、それが関係してるのかも」
「確かに……。でも、遺跡のことに詳しいのはしゅうだろう?何か知ってるか?」
エリオスがしゅうに尋ねると、彼女は自信ありげに頷いた。
「もちろん!遺跡って、大体は古代の魔法を封印するための施設だったりするの。でも、その封印が緩むと魔物が溢れたりするのよ!」
「つまり、遺跡が原因で魔物が村に……?」
「たぶんね!」
しゅうの説明に、アリサが静かに呟いた。
「遺跡が目覚めることで村が危険に晒されるなんて……絶対に止めなきゃ」
エリオスは剣を握りしめ、仲間たちに指示を出した。
「まずは村の様子を確認しよう。魔物が出てきた原因を探るのはそれからだ!」
村に足を踏み入れると、中央広場にはカーヴィア・ウルフの群れが徘徊しており、その奥には巨大なゴーレム型の魔物――コア・ゴーレムが鎮座していた。
「ウルフはしゅうとアリサに任せる。コトネ、村人を見つけたら援護してくれ。俺はゴーレムを引き付ける!」
エリオスが叫ぶと、コトネが静かに杖を掲げた。
「分かった!私の光で少しでも助ける!」
彼女は逃げ惑う村人に向けてヒールを放つ。
「生命を照らす輝きよ、穢れを払い、希望を取り戻せ――ヒール!」
柔らかな光が広場に満ち、傷ついた村人たちが次々に回復していく。その輝きに安心したように、村人たちはコトネの指示に従い安全な場所へと避難した。
「やっぱりコトネのヒール、すごいね!」
しゅうが笑いながらウルフたちを足止めしつつ、アリサと連携して魔物の群れを抑え込む。
エリオスは単身でゴーレムに挑む。巨体が振り下ろす腕を何とか剣で受け流しながら隙を伺う。
「この硬さ、普通の剣技じゃ無理だな……」
一瞬、教官の声が頭をよぎる。
「剣を信じろ。そして、自分の力を乗せて斬るんだ」
エリオスは剣に魔力を込め、横一線の斬撃を繰り出す。
「ヴァンガード・スラッシュ!」
剣の斬撃がゴーレムの胸部に直撃し、外殻に亀裂が入る。
「効いてる……次で決める!」
エリオスは全ての力を込め、剣を再び構えた。
「剣と一つに――光となれ!」
「グローリー・ストライク!」
眩い光を帯びた一撃がゴーレムのコアに突き刺さり、魔力が暴発。ゴーレムは轟音を立てて崩れ落ちた
戦闘が終わり、村人たちがエリオスたちのもとへ駆け寄る。村長が深く頭を下げて感謝を述べる。
「本当にありがとうございます……。遺跡に向かうのですね?どうか、無事で戻ってきてください」
エリオスは剣を握り直し、仲間たちに目を向けた。
「まだ終わりじゃない。原因を突き止めるため、遺跡に向かおう!」
「うん、絶対に成功させよう!」
コトネ、しゅう、アリサがそれぞれ頷き、一行は次の目的地である遺跡へと歩みを進めた――。




