第十五話:代償
コトネとアリサが不安げな顔をする中、エリオスは決意を固めた。
「もう時間がない。ここで倒さなければ、全員やられる……!」
「エリオス……分かった。信じてるから!」
コトネが叫び、エリオスは紋章に触れた。
「滅びの精霊よ、再びその力を貸してくれ――ネクロス、来い!」
エリオスの叫びとともに、紋章から黒い霧が溢れ出し、遺跡全体に広がる。その霧の中から漆黒の炎を纏った巨大な影――滅びの精霊ネクロスが姿を現した。
「また我を呼び出したか……愚かだな、主よ。しかし、この粗末な岩の塊を滅ぼすくらいは造作もない」
その低く響く声に、アリサは目を見開きながら呟いた。
「これが……精霊?こんな気配、初めて……」
「エリオスが持つ特別な力なの。でも、あまり使っちゃいけないんだ」
コトネが不安そうに答え、しゅうはネクロスを見つめて口を開いた。
「これが出たなら、負けるわけないよね……!」
ネクロスはゆっくりと石像に向かい、右手を掲げる。黒い霧が凝縮され、鋭い槍の形となった。
「滅影の槍!」
その槍が石像の胸部に突き刺さり、硬い岩の表面を貫通する。槍が突き抜けた部分から黒い亀裂が広がり、石像が苦しむように低い唸り声を上げた。
「すごい……効いてる!」
しゅうが叫ぶが、ネクロスは冷静だった。
「愚かな岩の塊よ、まだ立ち上がるか……」
石像は体を揺らし、腕を大きく振り上げてネクロスに向けて振り下ろす。その一撃は大地を揺るがし、遺跡全体に亀裂を走らせた。
「ネクロス、大丈夫なの……!?」
アリサが不安げに呟くが、ネクロスは動じることなく闇の力をさらに高める。
「その程度の攻撃、我には届かぬ。……終焉の牙よ、敵を噛み砕け!」
黒い霧が巨大な狼の牙の形となり、石像の頭部に襲いかかる。その牙が噛みつくたびに石像の体は砕け、大きな岩の塊となって地面に崩れ落ちた。
石像は最後の力を振り絞り、再び立ち上がろうとした。その動きに、ネクロスは冷たく笑みを浮かべた。
「滅びの運命を受け入れろ……没落の波動!」
ネクロスが両腕を広げると、黒い霧が衝撃波となり、遺跡全体に広がる。その波動が石像を包み込み、完全に粉砕した。石像の破片が霧の中で音を立てながら崩れ去り、遺跡に静寂が戻った。
勝利を確信したネクロスは、エリオスに振り返り、冷たい声で告げる。
「我を使うたびに、お前の魂は削られる。次に呼び出す時、それが最後の覚悟となるだろう」
そう言い残して、ネクロスは黒い霧とともに姿を消した。エリオスは膝をつき、肩で息をしながら剣を支えに立ち上がる。
「エリオス、大丈夫?!」
アリサが駆け寄り、エリオスの腕を支える。彼は疲れ切った表情で小さく頷いた。
「ああ、何とか……だが、ネクロスの力を使うのは危険だ。この先、もっと強くならなければ……」
「でも、あなたがあの力を使わなかったら、私たちは……」
アリサの瞳が揺れる。彼女の声には感謝と不安が混じっていた。
「それでも、俺はあの力に頼りたくない。俺たちは、この先もっと危険な敵に立ち向かうことになる。そのために、もっと力を磨かなければならないんだ」
エリオスの真剣な言葉に、アリサは頷きながら微笑みを浮かべた。
「……ありがとう、エリオス。あなたがいてくれてよかった」
コトネが後ろで少し複雑な表情を浮かべながらも、しゅうは元気よく声を上げた。
「よーし!これでまたひとつ勝利だね!でも、次こそはもっと私たちも活躍しなきゃ!」
戦いを終えた四人は、遺跡の中央にあった台座に近づいた。そこには、古い石板が置かれていた。その石板には奇妙な文字が刻まれており、コトネがその内容を読み上げる。
「“八つの封印を解き放つとき、大地は闇に飲まれ、全ては滅びに至る”……」
「八つの封印……?」
アリサが困惑した表情を見せると、エリオスがその言葉に反応した。
「……ダークエレメンタル・シンジゲートの幹部が八人いるのは、偶然じゃないかもしれない。奴らが、この封印を解こうとしている可能性がある」
「それって……また厄介なことになるね」
しゅうが苦笑を浮かべる。コトネは石板をしっかりと記録に残すため、魔法でその内容をコピーした。
「この情報、ギルドに持ち帰ろう。きっと次の手がかりになるはずだ」
ギルドに戻ったエリオスたちは、遺跡での出来事を報告し、石板の内容も伝えた。ギルドマスターがその内容に驚き、険しい表情で言葉を漏らす。
「やはり……シンジゲートの計画は、封印に関するものだったか……。これは、ただの冒険では済まなくなるかもしれないな」
エリオスたちは次の戦いに備え、心を引き締める。アリサも新たな仲間として、共に次の冒険へと進むことを決意していた。
「次はどんな敵が待ってるか分からないけど……私も、負けない!」
「俺たちならやれる。どんな敵でも、必ず乗り越えられるはずだ」
エリオスの言葉に、三人は力強く頷いた――。
遺跡から戻り、ギルドで石板の内容を報告していたエリオスたち。その場に現れたのは、一人の男だった。
重厚な鎧をまとい、鋭い金色の瞳がギルド内を見渡す。彼の胸元には王国の紋章が刻まれており、長身の堂々たる姿は冒険者たちの注目を集めていた。
「……リュカス団長?」
しゅうはネクロスを見つめて口を開いた。
「これが出たなら、負けるわけないよね……!」
フラグ回収ならず…
だんだん文字数が減ってる…




