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第十三話:シンジゲート

ぜんかいまでのあらすじ

ダークエレメンタル・シンジゲートの1人を撃破に成功

「ダークエレメンタル・シンジゲートに関する動きがさらに活発化しており、近隣の村で奇妙な現象が報告されています。いくつかの村では地面から急に毒の霧が立ち上り、村人たちが避難を余儀なくされました。これが何らかの魔物の仕業なのか、それとも彼らの精霊の力なのかはまだ不明です」

と頼まれ村に行くことになった



依頼の目的地である村に向かう途中、道の両脇には避難民と思われる人々が集まっていた。


「子どもたちがまだ村に……どうか助けてください……」


「この毒の霧、一体何が原因なんだ……?」


村に近づくにつれ、空気が濁り、視界が悪くなっていく。コトネが杖を掲げ、呪文を唱えた。


「光よ、霧を払い、我が道を照らせ!ライト・フラッシュ!」


村に到着したエリオスたちを待ち受けていたのは、不気味な静寂だった。家々は廃墟と化し、村人たちは避難している。地面には黒く染み付いた液体が広がり、その上を歩くだけで靴が腐りそうな臭いが漂っている。


「ここが霧の発生源……どうする?」


しゅうが顔をしかめながら聞くと、エリオスは剣を手に周囲を見渡した。


「慎重に進むぞ。何が起きてもいいように、すぐ対応できる準備をしておけ」


「うん、分かった!」


コトネは杖を握りしめ、光魔法の準備を整える。しゅうも魔導書を手に取り、詠唱をいつでも開始できる態勢を取った。


霧が濃くなる中、三人は村の中央に向かって進む。空気が次第に重くなり、胸が締め付けられるような圧迫感を覚える。


「……待って」


エリオスが立ち止まり、剣を構えた。その視線の先で、霧の中に影が揺らめく。


「何かいる……」


次の瞬間、霧の中から現れたのは巨大な岩のような体を持つゴーレム型の魔物だった。全身から毒の霧が漂い、目のような部分には不気味な緑色の光が宿っている。


「こんな化け物が村を襲ってるのか……!」


ゴーレムが低い唸り声を上げながら拳を振り上げ、エリオスたちに向かって振り下ろす。


「くっ……避けろ!」


エリオスが叫び、三人はそれぞれ散開する。拳が地面に叩きつけられると、毒の霧がさらに濃くなり、視界が一層悪化した。


「私に任せて!炎ならきっと効くはず!」


しゅうが詠唱を始める。


「灼熱の球体よ、我が力を乗せ、

敵を焼き尽くせ。飛べ、紅蓮の閃光よ!ファイア・ボルト!」


火球がゴーレムの胸部に直撃し、爆発音が響く。だが、ゴーレムは体を揺らすだけで大したダメージを受けていないようだった。


「嘘でしょ……こんなに硬いの!?」


「しゅう、下がれ!次は俺が!」


エリオスが剣を振り上げ、ゴーレムに突撃する。


「ヴァンガード・スラッシュ!」


光を帯びた剣がゴーレムの腕を狙うが、その硬い岩の体には傷一つつかない。


「なんて防御力だ……!」


ゴーレムはそのままエリオスに向かって拳を振り下ろす。エリオスは辛うじて剣を盾に防御するが、衝撃で吹き飛ばされた。


「エリオス!」


コトネが叫び、すぐに詠唱を開始する。


「癒しの光よ、傷を包み込み、命を癒せ!ヒール!」


エリオスの体が淡い光に包まれ、痛みが和らぐ。しかし、ゴーレムはさらに迫ってくる。


「私たち、どうすれば……あの防御力、普通じゃない!」


コトネが震える声で言うと、しゅうも険しい表情で唇を噛む。


「火も剣も効かないなら……もうやることがない!」


ゴーレムは地面を叩きつけ、毒霧をさらに広げていく。エリオスは立ち上がりながら、右手の紋章に視線を向けた。


「またお前の力を使うことになるのか……」


「エリオス、それって……!」


コトネが驚いた声を上げる。


「分かってる。でも、このままじゃ全員やられる。ここで負けるわけにはいかない!」


エリオスは紋章に手を触れ、静かに呟いた。


「滅びの精霊よ、再びその力を貸してくれ――ネクロス、来い!」


エリオスが紋章に触れた瞬間、霧が黒く染まり、重々しい空気が広場全体を包み込む。不気味な闇が渦を巻き、そこから漆黒の炎を纏った巨大な影、ネクロスが姿を現した。


「我が主よ、また力を求めたか……よかろう。この粗雑な岩の塊を滅ぼしてやろう」


その低く響く声に、コトネとしゅうは圧倒され、思わず後ずさる。


「これがネクロス……凄まじい気配だ……」


「うん……エリオス、大丈夫なのかな?」


二人が不安げに呟く中、ネクロスはゴーレムに視線を向け、冷笑を浮かべた。


「お前の硬い外殻も滅びの力には無力……見せてやろう。滅影ダークネスアロー!」


ネクロスが右手を振り上げると、黒い霧が凝縮され、鋭い槍の形を取る。そのまま一直線にゴーレムの胸部に突き刺さった。


「……すごい!あんなに硬かった岩が!」


しゅうが驚きの声を上げる。槍が直撃した部分には大きな亀裂が入り、ゴーレムが一歩後退した。しかし、すぐに拳を振り上げて反撃してくる。


「ゴーレムの攻撃だ!避けて!」


コトネが叫ぶが、ネクロスは冷静そのものだった。


「愚かな反撃よ。……影縫盾ダークカバー!」


黒い霧が厚い壁を作り出し、ゴーレムの拳を受け止める。強烈な衝撃が広場全体に響いたが、盾は微動だにしなかった。


「そんな……あの攻撃を受け止めるなんて!」


コトネは信じられないという顔をしながら呟く。しゅうも目を見開き、次の攻撃の準備を急いだ。


ゴーレムは連続して拳を振り下ろすが、ネクロスは一歩も引かず、逆に闇の力を高めていく。


「終わらせるぞ、主よ……没落ブラック波動ウェーブ!」


ネクロスが両腕を広げると、闇が衝撃波となって周囲に広がる。黒い波がゴーレムの体を飲み込み、その硬い外殻をさらに崩していく。


「効いてる……ネクロスの力なら勝てる!」


エリオスは剣を構え直し、さらに闘志を燃やした。


ゴーレムが最後の力を振り絞り、全身を毒霧で包みながら突進してくる。その巨体は、まるで全てを押し潰そうとしているかのようだった。


「終わりだ……終焉牙ブラックインパクト!」


ネクロスの黒い霧が狼の牙の形を取り、ゴーレムに向かって噛みつく。その一撃でゴーレムの頭部が砕け、そのまま巨体が崩れ落ちた。毒霧も消え去り、広場には静寂が訪れる。


戦いが終わり、ネクロスは静かにエリオスを見下ろす。


「覚えておけ、主よ。この力を使うたびに、代償はお前自身の魂を削る。次に呼ぶ時、それが最後にならぬよう願うのだな」


そう言い残すと、ネクロスは黒い霧となって消えていった。


「エリオス……大丈夫?」


コトネが駆け寄り、エリオスを支える。彼は肩で息をしながら、辛うじて立ち上がった。


「ああ、何とか……だが、この力に頼り続ければ、俺自身がどうなるか分からない」


しゅうが険しい顔で言う。


「でも、あのゴーレム、普通の方法じゃ絶対倒せなかったよ。エリオスがネクロスを使わなかったら、私たちもどうなってたか……」


「分かってる。でも、この力に頼ることを当たり前にはしたくない。もっと強くなる必要があるんだ」


エリオスの決意に、二人は黙って頷いた。


霧の村の任務を終えたエリオスたちは、ギルドへ戻り、受付嬢に報告書を提出した。

疲れ切った表情の三人を見て、受付嬢は心配そうに声をかける。


「本当にお疲れさまでした。ゴーレム型魔物の討伐、お見事です」


「ありがとう。でも、あのゴーレム、普通じゃなかった。……何か知ってるか?」


エリオスの質問に、受付嬢は少し言葉を詰まらせた後、深刻そうに続けた。


「実は、最近他の地域でも似たような報告が相次いでいます。村々が毒の霧に包まれたり、突然魔物が襲撃してくるという被害が出ているんです。そして、それらの現象には“ダークエレメンタル・シンジゲート”の存在が絡んでいる可能性が高いと……」


「やっぱりシンジゲートの仕業か……」


エリオスは拳を握りしめながら呟く。


受付嬢は報告書を台帳にしまうと、次の任務の概要を取り出した。


「今度の任務は、隣国との境界付近にある遺跡の調査です。その遺跡では、大地の異常な振動が確認されており、内部で何かが発動しようとしている可能性があります。シンジゲートが関与している可能性も高いです」


「遺跡か……この間みたいに強力な敵が出てくるかもしれないな」


コトネが心配そうに言うと、しゅうは意気込んで拳を握りしめた。


「でもさ、そんなの放っておけないじゃん!私たちで止めに行こうよ!」


「そうだな。俺たちでできる限りのことをしよう」


エリオスは受付嬢から依頼書を受け取ると、力強く頷いた。

仕事ばかり…

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