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第十二話:ランクアップ

前回までのあらすじ

グラウンド・ブレイカーという

“ダークエレメンタル・シンジゲート”の八幹部の一人と遭遇する

しかし今のままでは勝てないことを悟る

エリオスは目を閉じ、静かに紋章に意識を集中する。


「滅びの精霊よ、我が名に応え、その力を貸してくれ――ネクロス、来い!」


その言葉とともに、空気が一変した。洞窟内の光が一瞬で消え、辺り一面が不気味な闇に包まれる。


「……来たか、主よ」


低い声が響き渡り、漆黒の霧がエリオスの周囲に渦巻く。その中から現れたのは、全身が黒い炎に包まれた巨大な影のような姿をした滅びの精霊ネクロスだった。


「このような粗雑な岩の塊が相手か……私に任せるがよい」


ネクロスが手を振ると、周囲の闇が凝縮し、鋭い槍の形を取る。


グラウンド・ブレイカーが後ずさりしながら叫ぶ。


「これは……精霊!?なんだ、この異様な気配は!」


ネクロスは冷たい声で返す。


「大地の精霊など、滅びの前では無力……散れ!」

滅影ダークネスアロー

槍が勢いよく放たれ、大地の精霊の胸を貫く。その瞬間、精霊の体が崩れ始め、大地に溶けるように消えていった。


「バカな……俺の精霊が……!」


グラウンド・ブレイカーが震えながら後退するが、ネクロスは追撃の手を緩めない。


「滅びの裁きを受けよ」

虚影連爪ダークネススラッシュ

巨大な黒い刃がグラウンド・ブレイカーに向けて放たれる。彼は最後の力を振り絞って地面を叩き、防御壁を作るが、その刃は壁ごと彼を吹き飛ばした。


「ぐあぁっ……覚えていろ……!」


グラウンド・ブレイカーは地面を叩きつけ、土煙を巻き上げながらその場から姿を消した。


勝利が訪れたが、洞窟内は暗く静まり返ったままだった。ネクロスがエリオスを見下ろし、静かに告げる。


「主よ、次に私を呼ぶとき、その代償はさらに大きくなるだろう。だが、今日はその覚悟に応じよう」


漆黒の霧がエリオスの体を包み込み、次第に消えていく。エリオスは膝をつき、肩で息をする。


「……ふぅ。勝てたのか……?」


コトネが駆け寄り、エリオスを支える。


「エリオス、大丈夫?!」


「ああ……なんとか」


「でも、この力……本当に使い続けて大丈夫なの?」


「分からない。でも、あの力がなければ、勝てなかった」


エリオスたちがギルドに戻ると、受付にはいつもの職員が笑顔で迎えていた。しかし、彼女の顔に一瞬驚きの表情が浮かぶ。


「これは……本当に八幹部の一人を退けたんですか?」


エリオスは無言で頷き、報告書を差し出す。彼女はそれを受け取り、内容を確認しながら険しい表情になった。


「……なるほど。盗賊の背後に“ダークエレメンタル・シンジゲート”が絡んでいるとは思いませんでした。これからギルド全体で対策を検討しなければなりませんね」


彼女は一息つき、手元の台帳に何かを書き込むと、銀色に輝くバッジを取り出した。


「今回の功績を考慮し、あなたたちをシルバーランクに昇格します。このバッジをお持ちください」


エリオスは銀色のバッジを受け取り、静かに見つめた。


「これで、少しは前に進めたな」


コトネが微笑みながら言う。


「でも、エリオス……大丈夫?ネクロスの力、あれって……」


「分かってる。使いすぎれば、俺自身も危険だ。でも、俺たちが勝つためには必要な力だった」


しゅうが元気に声を上げる。


「まあまあ、今は喜ぼうよ!銀貨ももらったし、新しいランクだよ!」


ギルド内の冒険者たちも、エリオスたちの昇格を聞きつけてざわめき始める。


「あいつら、八幹部の一人を退けたんだってよ」

「シルバーランクか……やるじゃないか」


中には皮肉めいた声も聞こえるが、多くの冒険者は称賛の視線を送っていた。


「みんな、見てるね。私たち、ちょっと有名になっちゃったのかな?」


コトネが照れ笑いを浮かべると、しゅうが胸を張って笑う。


「そりゃそうだよ!私たち、シルバーランクなんだから!」


ギルドのカウンターで銀色に輝くシルバーランクのバッジを受け取ったエリオスたち。冒険者たちの羨望と驚きの視線を背に、三人は月の宿へ戻って休息を取った。翌朝、ギルドに向かうと、受付嬢が再び声をかけてきた。


「おはようございます、エリオス様。このたびの昇格、おめでとうございます。ですが……すぐに一つご相談したい依頼がございます」


「相談?」


エリオスが眉をひそめると、受付嬢は深刻な表情で続けた。


「ダークエレメンタル・シンジゲートに関する動きがさらに活発化しており、近隣の村で奇妙な現象が報告されています。いくつかの村では地面から急に毒の霧が立ち上り、村人たちが避難を余儀なくされました。これが何らかの魔物の仕業なのか、それとも彼らの精霊の力なのかはまだ不明です」


「村人たちが避難している……放っておける状況じゃないな」


コトネが心配そうに呟き、しゅうも拳を握りしめた。


「これって、私たちが行かなきゃいけないやつだよね?」


受付嬢は頷きながら依頼書を差し出した。


「この任務はシルバーランク以上限定の依頼です。もちろん、お引き受けいただくかは自由ですが……お願いします、彼らを助けてください」


「分かった。この依頼を受けよう」


エリオスが受諾を宣言すると、受付嬢はほっとした表情を浮かべた。


「ありがとうございます。道中は決して無理をなさらず、慎重にお願いします」


エリオスたちはギルドを出て装備の確認と買い出しを始めた。


「今回の依頼、今までとは規模が違いそうだね。準備を怠らないようにしないと」


コトネは新しい魔力回復のポーションを手に取りながら言う。しゅうも火属性の魔法に特化した魔導書を購入し、意気込んでいた。


「よーし、私も今回はもっと活躍するよ!あの毒の霧を焼き払っちゃうんだから!」


エリオスは二人を見て微笑みながら剣を磨き直した。


「……頼りにしてるぞ。行こう、俺たちの次の戦場へ」


依頼の目的地である村に向かう途中、道の両脇には避難民と思われる人々が集まっていた。


「子どもたちがまだ村に……どうか助けてください……」


「この毒の霧、一体何が原因なんだ……?」

虚影連爪ダークネススラッシュ

黒い霧から生まれる爪のような刃が連続で敵を切り裂く。広範囲を攻撃可能。


実はこの物語には秘密があるのです…

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