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三殺事件 ~The End of World~  作者: Red
第三章 魂
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第九話 エド・ゲイン

「もしもし、私メリーさん」


 メリーさんはいつもの公衆電話で誰かに電話をかけていました。


「殺してほしい人…誰かな?」


「………………メリーさん……ねぇ………」


 声は四十歳程度の女性のように聞こえました。

「………」

 メリーさんは黙ったまま話を聞きました。


「………………エドゲインを殺してくれないかs……」


 メリーさんは受話器を置き、電話を切りました。


(エドゲイン………どっかで聞いたことある名前……)


 メリーさんは何処かへと歩き出しました。暗い街にはメリーさんのカタカタとした足音が響きました。

 メリーさんは一つの墓地へと着きました。国立墓地で戦争によって勇敢にも死んでいった人たちが埋まっています。


(霊気が多い……気持ち悪いところね………)


 メリーさんは鼻と口を押さえながら暗く、不気味な墓地を歩いていきました。

 様々な墓石などがあり、お供え物も沢山置かれていました。所々墓が荒あされています。

 墓地の中央には大きな石板があり、その石板には戦争によって死んだ兵士たちの名前が刻まれていました。


(なんだか死体の腐った匂いがする………普通土に埋まってしないはず……墓荒でも居るのかしら?)


 メリーさんはあたりを見渡しながらターゲットを探しました。すると右方向に何かの作業をしている男が居ました。

 メリーさんはその男に近づいて行きました。


 男は身長170前後、黒い服に身を纏っており、背中から見てもガリガリな体型という事が伝わりました。

 男はメリーさんに気づきました。男は用具などを地面に捨て、広い墓地の何処かへと逃げていきました。


 メリーさんは深追いせず、まずは男が居た墓を見ました。


「うわっ………なにこれ……………」


 メリーさんは荒らされた墓を見ました。

 墓は掘り起こされており、腐った死体が表面に出ていました。その死体は所々皮が人工的に剝がされており、ナイフの跡が多数ありました。

「………墓荒らし?」

 メリーさんは何とも言えない顔をしながら掘り起こされていた墓を見下ろしていました。


「………思い出した…ナショナルセメタリーの墓荒らし……だわ…」


 メリーさんはなるほどと言わんばかりの表情をしました。

 メリーさんは掘り起こされた死体にそっと触れました。そしてすっと死体から手をどけました。今の一瞬で何をしたかはわかりません。


 メリーさんは掘り起こされた墓から離れ、ターゲットを探しに行きました。


 ⬜︎⬜︎⬜︎


 ターゲットは必死に逃げていました。


「ひぃ……ひぃ………ひぃ………」


 ターゲットの息を切らす音が聞こえます。ターゲットはそこら辺にある大量の墓を乗り越え、お供え物を蹴り飛ばし、とにかく逃げていきました。

 もう10分は走り続けたでしょうか。しかし出口は見つかりませんし墓地の端まで行くこともできませんでした。


 その時、ターゲットの背後から声がしました。


「私、メリーさん」


「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」

 ターゲットは背後に向かってナイフを振るいました。


 しかしそこには誰の姿もありませんでした。


「ひゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 ターゲットは叫びながら走りました。どこからその体力が湧き出ているのかは不明です。


「なんで出口がないんだよおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


 ターゲットは一心不乱に走りました。しかし出口に着くことは一生ありません。何故ならメリーさんがターゲットを"結界"に閉じ込めたからです。


 先ほどメリーさんは死体…いや、魂に触れ、魂を呼び起こしたのです。


 その魂が何をしたかは分かりませんが墓地を永遠に続く地獄に変えました。


 メリーさんはゆっくりと歩きながらターゲットに近づいて行きました。

(一体どこからあの体力が湧き出てるのかしら……もう12分は本気で走り続けてるわよ……)

 メリーさんは墓地の中をゆっくり歩きながら思いました。

(エドゲイン………あの体力があれば今からでも他の事で成功できたでしょうに………まっぁ今から殺すし意味ないでしょうけど)

 メリーさんはターゲットへと接近し、ターゲットの耳元で囁きました。



「私メリーさん、今あなたの後ろに居るの」



 メリーさんはそう言い、ナイフをターゲットに振るいました。


「あああああああぁぁぁぁぁ!!!!!なんで追いつくんだよおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 ターゲットはメリーさんの振るうナイフを受け止め、何処にあったかわからないM9のような拳銃をメリーさんに向けて放ちました。


 メリーさんは弾丸を華麗に避けました。

「そろそろしっかり戦ったらどう?面倒くさいわよ、そんな逃げてばっかじゃ」


「戦うわけないだろおおおぉぉぉ!!!!メリー!!お前の存在くらい知ってる!!願いを叶えてくれる妖怪だってなああぁぁ!!!」


 ターゲットはナイフをメリーさんに向けながら叫ぶように話しました。

 メリーさんは一歩も動いていません。


「それで俺が選ばれたんだろ!!キッパリ言う!!俺はお前に勝てねぇ!!だから逃げる!!これが普通だあああああぁぁぁぁ!!!!」


 ターゲットの声が墓地に響き渡りました。

 ターゲットはまたもや逃げ出します。



「………………勝てなきゃ逃げる………確かにそうかもね……………けど私から逃げられるかな?」



 メリーさんはターゲットの目の前に居ました。

 そしてターゲットに向かってナイフを振るいました。


「あああああああぁぁぁぁ!!!!!逃がしてくれよおおおお!!!!!!」

 ターゲットは簡単にメリーの振るうナイフを受け止めました。


(!?、普通に止めて来た!?)


 そしてターゲットはメリーさんに向かってナイフを振るいました。

 メリーさんは振るわれたナイフを避けました。しかし少々腕を切られました。

「あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!追って来るんじゃねせぞおおおぉぉぉ!!!!」

 ターゲットはそそくさと逃げていきました。


「………」

 メリーさんは自分の切られた腕を見ました。

(まさか普通に攻撃を食らうなんて………ちょっと私弱っちゃったかな?)

 メリーさんは傷口に手の平を当てました。するとメリーさんが食らったはずの傷口は一瞬で修復され、そのついでに服の傷すら直っていきました。

「………ちょっと面倒ね……」

 メリーさんはまたもやターゲットの方向へと歩き出しました。


 ⬜︎⬜︎⬜︎


「ひいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

 ターゲットは一心不乱に走っていました。


「なんでこんなひろいんだよおおおおぉぉぉぉ!!!!!」

 ターゲットは墓があるなど関係なしに墓を破壊しながら走っていました。


 メリーさんは先回りし、ターゲットの目の前に現れました。


「こんばんは」


「なんで前にいるんだよおおおおおぉぉぉぉ!!!!!」


 メリーさんはターゲットに向かってナイフを振るいました。

 ターゲットはそのナイフを受け止め、銃を取り出しメリーさんに向かって撃ちました。

 メリーさんはそれを避け、ターゲットに回し蹴りを放ちました。

 しかしそれはターゲットに当たらず、空振りしました。


「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 ターゲットはナイフを振るいましたが、メリーさんはそれを屈んで避けました。ナイフはメリーさんの髪の毛を引き裂きました。


 ターゲットはまたもやメリーから逃げようとしました。



「無駄よ」



 ターゲットは逃げようとしましたが足が動きませんでした。しかも周りに続いていた墓地はどんどんと暗くなり、いつのまにか周りは真っ暗になりました。


「どうなってんだよ!!!これ!!!!」


「さぁ、どうなってるんでしょうね」


 地面に落ちていたメリーさんの髪の毛は消え、メリーさんの頭からは切られた分の髪の毛が生えてきました。

「そんな逃げなくてもいいじゃない。結局は誰でも最終的に死ぬのよ。それがちょっと早く来るだけ」

「あああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!それがこわいんだよおおおおおおぉぉぉぉ!!!!!クソがああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


 ターゲットはナイフと銃を取り出し、戦闘態勢になりました。



「あああぁぁぁぁもう!!!!………………本気でやってやんよ………」



 エドゲインはメリーさんを睨みつけました。


 何処から吹いたか分からない冷たい風がメリーさんの髪の毛を揺らしました。

 エドゲインはメリーさんに向かって突進してきました。メリーさんは動きませんでした。

 エドゲインはメリーさんに向かってナイフを振るいました。



「………それが本気ね」



 メリーさんはエドゲインの後ろに立っており、エドゲインに向かってナイフを振るいました。


「!?」

 エドゲインは振るわれてきたナイフを受け止め、メリーさんと距離を置きました。

「ど、どうなってるんだ!?」

「さぁね」


 メリーさんはエドゲインに銃を向けました。そして銃を撃ちました。

 放たれたのは銃弾ではなく、細い針でした。

「あああぁぁ!!!なんだこれ!!」

 エドゲインは細い針を真っ二つに切り、その針を避けました。

(………あの針を切ったのね、中々動体視力が優れてるみたい)

 メリーさんはナイフを構え、エドゲインに向かって走りました。


「あああぁぁ!!!!!もういい!!!!」


 エドゲインは足に力を込めました。

(突進してくる気ね……)

 メリーさんはそう予測し、身構えました。


 そして、エドゲインは足にかかった力を全て解放させるようにしてメリーさんに突進しました。

 その速さはまるで音速を超えるようでした。


 その速さを、メリーさんは目で捉えられませんでした。


「え…」



 エドゲインが持っていたナイフはメリーさんの腹に刺さっていました。



「………うそ……」


 メリーさんは地面に倒れました。それと同時に暗闇に閉ざされていた周りの風景が復活してきて、周りには道が見えるようになりました。


「も、もう着いてくんじゃねぇぞ!!!!!」

 エドゲインは走って逃げていきました。


「………………」


 メリーさんは地面に倒れたままでした。

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