表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三殺事件 ~The End of World~  作者: Red
第十二章 第二次殺人鬼対決(第四幕「バートリとの過去」開始)
44/50

第四十四話 二人目?

(やっぱり何だか自分おかしいわ……ジャックに出会って関係を持ってからずっとおかしい)


 メリーさんは一人考え事をしながら薄暗い路地を歩いていました。


(………いやターゲット殺しに帰る?いえ、けど今更って感じもするわね。う~ん………また今度にしましょうか。うん)


 メリーさんのカツカツとした足音が路地に響き渡りました。


 ☆☆☆


「え?め、メリーさん?」


 アリスはこちらへと歩いてくるメリーを見ながら言った。


「え?けど今後ろに!」

 もう後ろにメリーの姿はない。歩いて行ったのだろう。


「な、なにがおきてる……こ、こわい」


 バートリが感情を露わにしている。怯えている。これまで無愛想だった顔が青ざめ、目の前に居るメリーに対し恐怖している。


「安心して、絶対守るから!」

「い、いや、さっきのやつと……さついのりょうがぜんぜんちがう………おしつぶされそう………」

「え、えぇ!?」


 メリーがカタカタという足音を立てながら着実に近付いてきている。


「と、止まる気はないようね………迎撃するしかない!」

「う、うん」


 アリスはマスケット銃を構え、バートリは首掛けのペンダントと小さなナイフを取り出した。


 バートリはペンダントを開き、それがメリーに見えるようにした。そしてそれを左右に揺らし始めた。

「こ、これで時間は稼げるはずだね」

「………うん」


 ペンダントを右に左に、揺らし続けた。



 しかし、メリーが足を止めることはなかった。



 カタカタという音が近付いてくる。


「え?え!?なんでアイツ動いてるの!?」

「わかんないよ……い、いやだ……」


 その時、メリーが目の前から消えた。


「は!?き、消えた!?」

「いや、けはいはある………おねがい、おねぇちゃん」

「あああぁぁぁ!!任せろぉぉ!!!」


 アリスは目の色を片方紅色に染めた。

 そして、恐らく目の前に居るメリーに向かってマスケット銃を放った。


 放たれた銃弾はまっすぐと飛んで行った。飛んで行っただけだ。メリーに掠りもしなかった。


 しかし、アリスに一つ気付いたことがあった。



(あれ?メリーの姿、見える!?)



 アリスの紅色に染まっている目だけだが、メリーの姿を予想できている、完璧とまではいかない。しかし戦闘するには十分だ。


「こ、これなら行ける!!バートリ、安心して!!」


 アリスは自分の口調が懐かしいと思いつつ、メリーに向かって走り出した。


「そこに居るのは分かってんだよぉぉ!!!」

 アリスはメリーに向かってマスケット銃を振り落とした。しかしそのマスケット銃はメリーのナイフによって簡単に弾かれた。


「………邪魔よ、私に用があるのはその奥のバートリって子だけ、邪魔しないでくれる?」


 メリーがアリスの目の前で話し出した。


「ごめんね、この子は私の妹くらいに大切な子なんだよ。だからテメェが指一本触れる権利はないんだよ」



 バートリはアリスとメリーの戦いをただ眺めるだけだった。眺めることしかできなかった。

 何故か体が恐怖によって動かない。これまでこんな事はなかった。バートリはそう思っていた。


 これまで平気で人を殺していたバートリが、殺人鬼を見て恐怖している。


「バートリ、これ持ってて!ちょっと邪魔!」


 アリスがそう言い、ノールックでこちらに赤いマフラーを投げてきた。




 その風景をバートリは見たことがあった。




(あれ?みたこと………ある………いつ、いつみたこと………わかんない。わからないけど………わかる)


 バートリの点と点を結ぶ線が引かれて行く。

 バートリが過去を思い出そうとしている。


 バートリの指先が震えている。過去が恐怖の物なのか、指先の震えがそのような事を連想させる。



 しかしアリスはそんな事に気付いていない。


「さっき後ろに居たメリーとお前は一体どういう関係なんだ?」

「後ろに居たメリー?さぁ、誰の事よ。私には分からないわ。そんな事より、後ろで蹲ってる子をこちらに寄越しなさい。さすれば彼方の命くらい助けるわよ」

「断るね、絶対」



 そんな会話がバートリの過去を繋いで行く。まるで川に橋ができるように、点と点が繋がれて行く。


(………おもいだした……おもいだした………)


 バートリは満月の映る空を向いた。









(ぼく………すてられたんじゃない………まもられてたんだ………まもられてたんだ………ずっと……ずっと………)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ