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三殺事件 ~The End of World~  作者: Red
第五章 三番目
18/50

第十八話 三番目(第一幕「三人の殺人鬼」終了)

 ジャックはアリスに向かって突進した。それと同時に建物の陰に隠れていた人間がジャックに向かってそれぞれ飛び掛かった。


 一人は屋上から、一人はジャックの後ろからと計十五人の人間がジャックに向かって全方位からそれぞれ武器を振るった。


 しかしそれぞれの武器がジャックに当たることはなかった。



「……みんなバカだね」



 ジャックが道にあるマンホールの上に立った瞬間、ジャックの周りの地面は爆発した。



 ドゴン、という音と共に飛び出した瓦礫と衝撃と爆風が十五人の人間に当たった。

 殆どの人間は吹き飛ばされ、血の噴水を上げながら飛んで行った人間も居た。


「ここは私しかいない街、私が有利に戦えるように罠を張り巡らせてるよ」


 ジャックは爆発によって開いた大きな穴を飛び越え、アリスに向かって飛び掛かった。


「!?」

 アリスは一瞬で近づいてきたジャックに対応できず、ジャックの振るったナイフが眼球に当たる。筈だった。


「うわぁ!?」


 アリスの体は後ろに引っ張られ、ジャックの振るったナイフをかわした。

 アリスを後ろに引っ張ったのは星宇だった。星宇の目つきは変わっており、相手を突き刺すような視線だった。


 星宇はジャックに向かって剣のような物を振るい、ジャックはその剣をナイフで弾いた。火花が散ったように見えた。


 ジャックは剣を防いだ衝撃で空中を一回転し、地面に着地した。

「………」

 星宇は黙ったままだった。


「アハハ、ここに私を留めて挟み撃ちにするって作戦だったんでしょ?」

「………」



「……その作戦、上手くいくといいね」



 ジャックは空中を飛び、南方向へと飛んで行った。

「………………え?」

 星宇は驚いた。


「ま、まずい!!想定外の動きだ!!」


 星宇は残っていた仲間三十三人に向かっていった。

「早く南東部隊に連絡を!!!」

「……………ダメです!!無線が繋がりません!!!」

 無線機を担いだ男がそう言う。


「な、なに!?」

「お、おそらく奴の体から電波妨害波が出ているのかと!!」


 星宇は一瞬で判断し、ジャックと同じように南方向へと走った。

「ぶ、部隊長!!!」

 アリスがそう叫ぶ。


「お前は北地区の部隊と合流しろ!!!!仲間を動かせ!!!!」

 星宇はそう叫び、南方向へと消えていった。


 ⬜︎⬜︎⬜︎


「あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


 ジャックは南東に伸びる道に居た人間達を殺戮していた。銃弾が飛んできてもまるで未来を見ているかのように避ける。


 いつの間にか南東の部隊は壊滅しており、殆ど生き残りは居ないように見えた。

 ジャックは生き残りの処理をせず、南の道へと飛んで行った。




「待て!!!!!!!!」

 星宇はそう叫ぶがジャックが待つわけない。


 星宇は先ほど丁度壊滅した南東部隊を見た。全員真っ赤な血に染まっており、呻き声を上げている。

「………」

 星宇は生き残りを無視し、またもやジャックを追った。


 ⬜︎⬜︎⬜︎


 ジャックは南地区の部隊の下へ着いた。

 三十人ほどの人間は全員固まっており、怯えていた。


「大丈夫、すぐ楽になるよ」

 ジャックはそう言い、ナイフを構えた。その時、東方向から何かの声がした。


「待て!!!!!」


 星宇だった。

「……面倒だね」

 ジャックは星宇が振るった剣を簡単に受け止め、フライバーストを星宇に向けて放った。


 星宇は放たれた弾丸を首を捻り、避けた。

 ジャックは星宇の腹に蹴りを入れ、星宇を遠くに飛ばした。


「………」


 ジャックは血が垂れている自分の左肩を見た。

「……攻撃が見えなかったよ、なんなら切られてる感覚すらなかった」

 星宇は血が付いた剣を持っていた。


「その速度……師匠に若干似てるかも」

 ジャックは左肩の傷を手で擦った。手にはベットリ血が付く。


「まぁいいや。師匠には勝ったことがある。なら君にも勝てるよ」


 ジャックは星宇にフラーバーストを向けた。星宇はそれに対応するように剣を構えた。

 しかし、ジャックは星宇にフライバーストを向けたまま後退りした。


 そして、地面を力強く蹴った。



 ドガン、という爆発音が鳴った。それは南東部隊の足元で起きた爆発だった。



「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!!!!!」

 という悲鳴が幾つも聞こえる。


 しばらくして爆風と衝撃波がジャックと星宇の下に届いた。

 ジャックの髪の毛は大きく揺れた。

「………」


 星宇は全く動揺せず、剣を構えた状態のままだった。

「………すごいね、流石に動揺すると思ったけど」

「………」


「……ま、いいや。少し西地区で問題が起きてるみたい。行ってくるね」

 ジャックは西方向へと走っていった。

「………」


 星宇は足を動かさなかった。

「……無駄か………」

 星宇はジャックが行った方向とは違い、北方向へと走った。


 ⬜︎⬜︎⬜︎


 ジャックは南西の部隊を一瞬で壊滅させた。人は逃げようとしており、全員慌てていた。その為簡単に壊滅させることができた。


「………ちょっと……疲れてきたかも………」

 ジャックは目を手の甲で擦った。するとまたもや目からは血が流れていた。


「………」

 ジャックは目を普段の水色に戻し、西方向へとゆっくり歩いて行こうとした。


 その時、背後から一本のナイフが投げられた。


 ジャックはそのナイフを勘で避け、後ろを振り向いた。


「よぉ、ジャックザリッパー、久しいな」

 そこには宵津が居た。


「……君にかまう暇はないよ」

 ジャックはポーチから取り出したドラゴンブレス弾を空中に投げ、それにむかってスピードを放った。


 ドラゴンブレス弾は空中で点火され、宵津に向かって炎の雨を降らせた。

 ジャックはのた打ち回っている宵津を無視して西の道に移動していった。


 ⬜︎⬜︎⬜︎


「………やっぱりみんな一か所に集まりたがるよね」


 ジャックは人が居ない西の大通りを見た。

「まぁみんな殺してあげる」


 ジャックは残った北の道に向かって歩き出した。






「こ、こんな一瞬で部隊が………」


 プロテクターのメンバーと思われる一人の男が絶望していた。


「仲間の死の悲しみより先に行動!!」

 アリスはそう叫ぶ。


「もうすぐ部隊長が来る!!」

 アリスが言った通り遠くには星宇が走ってくる姿があった。



「………ろ!!!!」



 星宇は叫んだ。


「ん?な、何か言ってる?」



「逃げろ!!!!!!」



 その時、アリスに向かって一つの銃弾が飛んできた。アリスは星宇の指示があった為それをギリギリで避けた。



「あーあ、ざんねん、当たると思ったのに」



 星宇とは反対方向からジャックが迫って来ていた。ジャックは歩いている為星宇の方が先にアリス達の下に辿り着いた。

 星宇はアリスとジャックの間に立ち、ジャックに剣の刃先を向けた。


「ま、別に今から殺すし大丈夫か」

 ジャックの目は水色に輝いており、相手を切り裂くような目線だった。


 ジャックは星宇の前で立ち止まった。

「ぶ、部隊長!」


「全員に告ぐ!!逃げたい奴は今すぐ逃げろ!!まだ汽車も動いている時間帯だ!!東の道に宵津が残っている筈だ!!奴を先頭にして東の街へと逃げろ!!」

 星宇はジャックに剣を向けながら言った。


 その言葉と共に数人の人間は後ろ方向へと逃げていった。しかし逃げない仲間達の方が多かった。


「……すごいね、私だったら絶対に逃げてるのに…」

「俺らはお前とは違う」

「へぇ、そうなんだ」


 ジャックは左の手の平に固定されているナイフを取り外し、腰に掛けられていたまた別のナイフに取り替えた。

「ま、すぐ楽になるよ」


 ジャックは星宇に向かって突進した。

 カチン、という大きな音と火花が飛び散った。


 星宇はジャックのナイフを剣で受け止め、ジャックに向かって回し蹴りを放った。


 ジャックは飛んでくる足を右腕で受け止め、左手のナイフで星宇の足を切り付けた。

 返り血がジャックの右肩を濡らした。


 ジャックは後ろ方向へと飛び、星宇から離れた。


「アハハ、そのナイフ当たっちゃったね」


「………」

 星宇はすぐに体の異常に気づいた。まだ体全身という訳ではないが思い通りに動かない。体が熱く、頭に血が上る。


「……毒か…」


「そうだよ。あと………三分くらいかな?」


 ジャックは動かない時計塔を見ながら言う。


「そ、それって……大丈夫ですか!?部隊長!?」

 アリスが叫ぶ。


「……あと三分もあればお前達なら逃げれるだろう………」

「い、いいえ!ぶ、部隊長を置いていく訳には………」

「命令だ……逃げろ……」


 星宇はジャックに剣を向けながら話した。


「う……うそ………」


 プロテクターの人間達は殆どがそのような事を口にした。




「…………ま、三分ってのは嘘なんだけどね」




 星宇は地面に突然倒れた。


「引っかかったね、みんなバカだ」


 ジャックは楽しそうに笑いながらそう言う。

 星宇は口から泡を吹き出して、仰向けになっていた。


「部隊長!!!!」


 アリスが星宇の下へ駆け寄る。


「……げろ…………」

 星宇はそう言う。


「あんまり近づかない方がいいかもよ?」

 ジャックのそのセリフを無視してアリスは星宇の応急処置をしようとする。


「……無意味だよ?」

「あぁあぁあぁあぁあぁ!!!!!」

 アリスは何もできない自分を悔しがった。


「ま、こっちも処理するか」

 ジャックはフライバーストをアリスの後頭部に向けた。


 その時、ジャックの頭上から一発の弾丸が飛んできた。


 ジャックはそれを勘で避け、銃弾が飛んできた方向を向いた。


「アリス!!逃げなさい!!」

 ミカだった。大きなスナイパーライフルを持っている。


 ミカはまたもや銃弾を放った。音は殆ど鳴らず、静かに銃弾が飛びだした。

 ジャックは銃弾をナイフで弾いた。


 そしてミカに向かってフライバーストを全弾ほぼ同時に放った。


「!?」



 ミカは同時に飛んで来た五発の弾丸を避けることができなかった。



 ミカは後頭部からド派手に血を噴き出し、建物の屋上から落ちた。

 グシャ、という音がなった。



「………たったあれ程度の弾丸も避けれないのか…」

 ジャックはフライバーストから空薬莢を取り出し、ポーチの中に入れ、フライバーストの中に銃弾を一つ入れた。


「じゃ、今度こそバイバイ」


 ジャックはフライバーストの重いハンマーを上げた。


 その時、背後から銃声が鳴り、銃弾がジャックの足元に飛んで来た。

 ジャックは後ろを振り向いた。


 そこには先程までアリスの後ろにいたプロテクターの人間達が居た。


「こんな状況で逃げれるか!!」


 そう一人の男が叫ぶ。

「……こっちの人間を先に処理しないとね」


 ジャックはフライバーストをしまい、スピードを取り出した。

 そしてジャックは後ろを振り向かずにこう思った。




(これで上手くできるはず……)








(ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!)

 アリスは心の中で発狂した。


 目の前には星宇が血泡を吹きながら倒れており、右方向には謎の肉の塊がある。


(あああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁあぁあぁあぁあ!!!!!!!!!!!!!)


 アリスの目は紅色あかいろに染まっていった。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああぁああぁぁああぁあぁぁぁぁあぁあぁぁあぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」







 そうして、アリスは夢を見始めた。


 ☆☆☆







「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!」



 アリスは狂ったように笑いました。

「キャハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」

「あ、アリス!だいじょうぶ……か?」


 アリスは大きなマスケット銃を振るい、背後にいた人間三名の内の一人の頭を破裂させました。


「あ、あああぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!!!!!」


「キャハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!」


 アリスは怯えている人間の腹にマスケット銃の銃口を向け、引き金を引きました。

 マスケット銃から飛び出してきたニッケルメッキ弾は人間の腹を破裂させ、アリスは返り血を体全身に浴びました。


「あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!!」

「キャハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」


 アリスは残った一人の人間にマスケット銃を振り翳し、その人間の脳を破壊しました。


「アハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

 アリスの目は紅色に染まっていて、その目が不気味さを出しています。


「キャハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!つぎぃはだれぇ!!!???」

 アリスは後ろを振り向きました。そこには先程まで仲間だった者たちが固まって立っています。

「キャハハハハハハハハハハ!!!!!!あのこぉにしよぉ!!!!」

 アリスは腰からナイフを取り出し、その人間たちに向かって走り出しました。


 ☆☆☆


「……ふぅ………はぁ…………はぁ……はあ………」

 ジャックは建物の屋上で仰向けになって倒れていた。敵達はアリスの変貌を見ており、ジャックは簡単に逃げてくることができた。


「ニャー?(大丈夫か?)」

「うん……全然………元気だよ………」

「ニャー……(スッゲェ息切らしてるな……)」

「まぁ……大丈夫だよ………それより……アリスのこと………」

「ニャー(あぁ、アイツも元気さ)」


 リッパーは建物の下で暴れているアリスを見ながら言った。悲鳴が定期的に聞こえてくる。

「これで……アリスを殺人鬼にする…計画は成功だね」

「ニャー(せやな)」


 ジャックはすくっと起き上がり、アリスを見た。

「わ、わぁ……凄い暴れようだね」


 アリスはキャハハハ笑いながら人を殺し回っていた。


「……ちょっと凄い化け物を作ってしまったかもしれないね……ま、いいや」

「ニャー?(私には関係ない、て言うんだろ?)」

「大正解!」

「ニャー……(やれやれ……)」


 ジャックはしばらく暴れているアリスを見た。

「………………流石に飽きてきた……リッパー、家帰ろっか」

「ニャー(せやな)」


 リッパーは自然とジャックの肩に飛び乗った。

「よし、行くよ」

「ニャー(はいよ)」


 ジャックは建物の屋上を乗り継ぎ、自分の家の方向へと向かって行った。


 ☆☆☆


「キャハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」


 アリスは元仲間達を次々と殺し、血吹雪を吹かせました。

 仲間達はアリスの変貌に恐怖し、攻撃もできずにアリスに殺されて行きました。


「アハハハハハハハハハ!!!!!!そんなぁにげぇてもむぅだぁだぁよぉお!!!!???」


 アリスはマスケット銃を振り回し、ナイフを振り回し、体を振り回し、着々と元仲間の数を減らしていきました。


「アハハハハ!!!!!!アハハハハハハ!!!!!!!!!!」


 アリスは体全身を血で汚し、不気味な笑顔を崩しませんでした。

 いつの間にか北の道にいる人間はアリス一人になっていました。


「アハハハハ!!!!」

 アリスは紅い目を空に向けました。


「………あっちだぁ!!!!!!」


 アリスはゆっくりと歩き、東の道へと向かいました。


 ⬜︎⬜︎⬜︎



「テメェら逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ!!!!!」



 宵津は叫んだ。


 その言葉と共にして血で染まった服を着た人間達が東の道を走って行く。


「あ、アリスはどうするんだ!」

 一人の男が宵津に問う。


「……仲間からの情報だけだが…奴はもう救えねぇ……俺らに止める事は出来ねぇ……オメェらは先にとにかく逃げろ。東の町まで行ったら汽車くらい動いてる筈だ」

「で、でも副隊長は!」


「気にすんな!!自分の命だけ考えろ!!さぁ行った行った!!!」

「………」

 男は逃げて行った。


「………ッチ……あの野郎が………」

 北の方向から金髪の女、アリスがやってくる。

 東の道には宵津以外人は居なかった。


「キャハハハハハハハハハハ!!!!!!せいかいだぁ!!!!!!」


 アリスはそう叫んだ。

「………アリス!!聞こえてるか!!!」


「んー?きこえぇてるよぉ!!!!????」


「……………クッソ……」


「キャハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!とりあえずしんじゃえ!!!!!!」


 アリスはマスケット銃を宵津に向けた。

 そして引き金を引いた。


「あ"あ"ぁ"ぁ"!!!くそがあぁぁ!!!!」

 宵津は飛んで来た弾丸をナイフで弾こうとした。しかし、銃弾は宵津のナイフを軽々と貫通した。


「!?」



 宵津の腹に銃弾が突き刺さり、そして銃弾は宵津の体を完全に貫通した。



「あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!」

 宵津は地面に倒れた。


「キャハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!まだいるねぇ!!!!」

 アリスは倒れている宵津を無視して先程逃げて行った宵津の仲間を追いかけて行った。





















































 しばらくして、宵津は起き上がった。


「あ……あぁ………イッテェなぁ……………」


 宵津は弾に当たる直前に身を捻り、内臓の損傷を抑えていた。その為横腹から血を流しているだけで生きていた。


「…………ッチ……」


 宵津は横腹の傷をテープを使い縫い付け、立ち上がった。


 そして腰から無線機を取り出した。


「……誰か…聞こえる者は居ないか?」

 無線機は何も言わない。


「…………………クソが………」

 宵津は無線機を地面に叩きつけた。グシャ、という音と共に無線機は破壊された。




「………………あぁ…………ゼッテェぶっ殺す……ジャックザリッパー…………」

































































































 ジャックザリッパーの住む町、ホワイトチャペルに日が刺してくる頃、北の道には数十名の死体が転がっていた。


 そしてその中の一人の男が起き上がった。


「………もう大丈夫だろう。計画は成功だ」


 星宇だと思われる。


「さっさと起き上がれ」


 星宇はビルから落ちたミカの死体だった物に話しかけた。


「……ん〜………もうちょっと寝たいところだけどねぇ……」


 ミカの死体だった物は風船のように弾け飛び、中からは一人の女性が出てきた。


「何を言っている。一週間起き続ける事だって出来る人間だろう」


「ん〜、まぁねぇ〜」


 その女性は立ち上がり、男の元へと移動した。


「じゃ、行きましょぉ〜」


「……その口調直すことは出来ないのか?」


「できな〜い」


「………」


 男は西方向へと足を進めた。


「ちょっとぉ、黙って移動しないでよぉ〜」


 女はそれに続くように移動して行った。

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