第十一話 殺人鬼対決
ジャックは病室のベッドの上で何かをいじっていた。個室なのでリッパーとジャック以外は周りに誰も居ない。
その時、遠くから壁越しに声が聞こえる。
「やっぱりそうだよな?あの女可愛いよな?」
ジャックはむっとした顔を赤くしながら声が聞こえる方向に銃弾を放った。しかしその銃弾は声の主に当たらず、少しずれた所に着弾した。
ちょっとした悲鳴と逃げていく音が聞こえた。
「ニャー(ジャック、大人気だな)」
リッパーがそう言う。
「まぁここに女の子が入ってくることが珍しいんだろうね、基本ここに入る人間は男ばっか、まぁだから個室を用意してくれたんだろうけどね」
ジャックは機械をいじっていた。
「ニャー?(ところで今は何をしてるんだ?)」
「水平五連ショットガンをもうちょっと簡単にリロードできるように改良してる」
「ニャー(確かにあれは強力な武器だったしな、連続で使えた方が強いだろうな)」
ジャックは黙ったまましばらく機械をいじる。
「ニャー?(そういえばもう怪我は痛まないのか?)」
「全くだね、今すぐにでも大暴れできるくらい。まぁ今日の夜くらいにはここから出るよ、三日間もここに居るんだし」
「ニャー……ニャー…(わかった……怪我の回復速度半端ないな…)」
ジャックは最後の部品を機械にはめ込み、最後のねじを締めた。
「………よし、完成!!リロードが簡単にできるようになったぞ~!!」
ジャックは機械をそこら辺に投げ捨てた。
「……はぁ………暇…」
「ニャー(人殺しに飢えてますねぇ)」
「あ、そうだ。この銃たちに名前を付けない?」
「ニャー?(唐突すぎんか?)」
「毎回これをSあんどなんちゃらって言うのも面倒だし」
「ニャー(まぁそうだな)」
ジャックはS&W M500を取り出した。
「まずこのSあんどなんちゃらだね」
「ニャー(まず特徴、威力が高くて敵を吹き飛ばす、ついでにお前も反動で吹き飛ばす)」
「とにかく吹っ飛ばすんだね……………フライバーストとかはどう?」
「ニャー?(ええんとちゃう?知らんけど)」
「よし、じゃぁ君の名前はフライバーストで決定!!」
ジャックはフライバーストをそこら辺に置いた。
「じゃぁ次は君!私が昔から使ってるデザートイーグルをバキバキ改造した自分でもよく分からない変な銃!!!」
「ニャ、ニャー!(お、お前そんな名前だったのか!)」
「これは確か…師匠から譲り受けた銃だよね。思い出が深い………」
「ニャー(じゃぁ特徴、ジャックの改造によって小さな弾丸専用になった最強の銃、基本は小さな弾丸で発射してるから取り回しがよくてお前みたいに力が弱くても扱える。あと俺一回のニャーで喋りすぎ)」
「まぁデザートイーグルをあの体が小さいときに撃ってたら危ないし……まずグリップ握れないし……」
「ニャー(今でも体は小さいけどな)」
「うーん…………スピードとかかな?取り回しがよくて瞬時に使うことができるってことで」
「ニャー?(ええんとちゃう?知らんけど)」
「じゃ、これで決定!!」
ジャックはスピードを投げ置いた。
その時、突然病室の扉が開いた。ノックも無しで。
「よう、ジャック」
病室に入って来たのはサンダーだった。何かの小包を持っていた。
「やっとジャックで呼んでくれるようになったね」
「確かにな。怪我は大丈夫か?」
「うん、もう今夜にはここから出ていくよ」
「そうか……本当に骨折れてたんだよな?」
「もう自分の骨が折れた場所すらわかんないや」
サンダーはジャックに小包を渡した。
「ほれ、お前に頼まれていた物だ」
「あ!やっと来た♪」
ジャックは小包を乱雑に破り裂き、中身のものを取り出した。
中に入っていた物はワイプインジェクターナイフというco2ガスを刃先から噴射するナイフだった。
「ワイプインジェクターナイフだ。普通は凶暴な大型の動物に対して使うが……」
「私はこの前戦ったような筋肉ダルマに使うよ」
「まぁそうだよな」
ジャックはワイプインジェクターナイフを隅から隅まで見た。
「………まぁ……普通のナイフだね」
「普通だな」
ジャックはそのナイフをそこら辺に置いた。
「じゃ、俺はまた店に戻るからな」
「分かった。今度生きてたら行くね」
サンダーは病室を出ていった。
「……………暇」
「ニャー(せやな)」
⬜︎⬜︎⬜︎
夜の十時、ジャックは自分の荷物をまとめたり、着替えたりしていた。
「久しぶりの活動服…やっぱりしっくりくる!」
ジャックは綺麗になった普段の活動服を身にまとっていた。誰かが修繕、洗濯をしてくれたのだろう。
「ニャー(あぁ、やっぱりお前がその服を着ていると安心するや)」
ジャックはリッパーを担いだ。
「じゃ、ここから出ようか、久しぶりに動くんだから戦闘感覚も取り戻さないと」
ジャックは病室の扉を開けて外に出た。
扉を開けると目の前には男が居た。
「………やっぱり……お前がジャックザリッパーって奴なのか……」
「そうだよ、よく分かったね」
ジャックはその男を無視して病院の出口へと向かった。
「ジャックザリッパーってこんなかわい……」
男がそう言いかけると銃弾が飛んできた。銃弾は男の頬を掠って飛んで行った。
「うひゃぁ!!!!」
「私を助けてくれた人間なんだし殺すのは後にしてあげる。ほら、さっさと逃げな」
「う、うひゃああぁぁ!!!!」
男は走って逃げていった。
「………へんなやつ……」
「ニャー(変な奴だな)」
ジャックとリッパーはそう言い、病院の裏口から外へと出ていった。
⬜︎⬜︎⬜︎
ジャックは暗い星空をバックにしながら空を自由自在に飛んでいた。腰の機械を作動させ、ワイヤーを壁に貼り付け、それを使って空中を飛び回った。
ジャックは出会った人を試し切りと言わんばかりに切り裂いていった。
「やっぱり感覚は覚えてるみたい、心配しなくてよかった」
「ニャー(そりゃよかった)」
ジャックは人を殺し回りながら家のある方向へと移動していった。
⬜︎⬜︎⬜︎
しばらくして、ジャックは人を殺し回り、家に帰って来た。
「ふぅ……久しぶりの我が家ですよ~!!」
ジャックはリッパーをベッドに投げ捨てた。
リッパーはこれが日常と言わんばかりの様子でうまくベッドに着地し、そこで座った。
「ニャー(特に何も変わったことはないんやけどな)」
「………確かに……まぁいいや、今日は疲れたしもう寝よう!!おやすみ!!!」
ジャックは空中で一回転し、ベッドにストンと落ちた。リッパーは落ちてくるジャックをなんとか避けた。
「ニャー………(あっぶね、殺されるところだった………)」
「んー?なにかいったー?」
「ニャー!!(いえ!何も!!)」
ジャックは数秒後「風呂入ってないや」と言って起きた。
☆☆☆
夜の二時半、メリーさんはいつもの公衆電話に来ていました。
そしていつも通り適当な番号に電話を掛けました。
「はい……もしもし?」
今日は男の鈍い声がしました。
「もしもし、私メリーさん」
「………」
「殺してほしい人、誰かな?」
「……………………」
長い沈黙の後、男は言いました。
「……………ジャックザリッパーを殺してくれ」
メリーさんは電話を切りました。
(ジャックザリッパー……あの最強で最凶の殺人鬼の事!?………どうしよう……勝てる自信が全くないわ………)
メリーさんはそのような事を思いながらも一応ジャックザリッパーと戦う準備をしました。といっても武器はナイフ一本と拳銃一丁しかありません。
そしてメリーさんはジャックが居る南地区に向けて歩き始めました。普通に歩くならば数十時間は掛かる距離でした。
☆☆☆
「ニャー(起きろージャック、もう夜になる時間帯だぞ)」
リッパーはジャックの上に乗りながらジャックを起こした。
「ん?んーうぅ………あ、もうそんな…じかん?」
「ニャー(もうそんな時間や)」
ジャックは布団から出た。
「ニャー(今日一緒に外に着いて行っていいか?)」
「え?別にいいけど……どうしたの?」
「ニャー(いや、ただ単純にお前に着いて行きたいだけだ)」
「ふふ、ツンデレ猫さん」
「ニャー!!(うるせぇ!!)」
ジャックは朝ご飯?夜ご飯?の準備をした。
メニューは明らかに朝ごはんだった。ジャックはそれらを完食した。
それからジャックは銃の整備や機械の整備をした。
⬜︎⬜︎⬜︎
「そろそろ家出るよ、リッパー」
ジャックはリッパーにそう言った。
「ニャー(了解)」
リッパーはそう言い、ジャックと共に家を出た。
☆☆☆
メリーさんはジャックが居るホワイトチャペルへと来ました。どうやって一日の間に着いたかは分かりませんし、昼の間にどうやって人との接触を避けたのかも分かりません。
メリーさんはジャックザリッパーの家へと向かいました。
⬜︎⬜︎⬜︎
ジャックは家を出て何かの気配を感じた。
ジャックはすぐに身を屈めた。
「ニャー?(どうした?)」
「………なにか…すごい変なのを感じる………なんか…………なにかを……」
ジャックは勘でそれを察した。
ジャックはしばらく動かず、身を屈めていた。
「と、とりあえずここから出よう。先に行って」
「ニャ、ニャー(わ、分かった)」
ジャックはリッパーを先頭にし、家から出て近くの建物の屋上へと移動した。
「まだ……近くにはいない………のか?」
「ニャー(まぁお前の勘だ。多分あってる)」
☆⬜︎☆
(もう私の存在に気付いた?いやいやいや、そんなことはない………はず……)
メリーさんは建物の屋上に居るジャックザリッパーを見つめていました。
(まぁとりあえず戦闘を仕掛けてみるか………負けても逃げればいいだけだし)
メリーさんはジャックザリッパーがいる建物の屋上に向かいました。
☆⬜︎☆
「ニャー?(本当に敵がいるのか?)」
「わかんない……わかんないけど………」
その時、ジャックの後ろから囁き声がした。
「今、あなたの後ろに居るの」
後ろにいた何かはそれを言い終わると同時にジャックに向かってナイフを振るった。
ジャックはそれを屈んで避け、後ろにいる何かに向かってナイフを振るった。しかしそこには誰も居なかった。
「ニャー!?(今のはなんだ!?姿が見えんかったぞ!?)」
「とりあえず敵ってことはわかる!!」
ジャックは辺りを見渡した。
「今後ろに居るのってどういうこと?私は何も知らないんだけど?」
「………そうだね、セリフを変えないと」
その時、何かがジャックの首元目掛けてナイフを振るった。ジャックはそれを勘で避け、後ろにナイフを振るった。しかしまたそこには何もなかった。
「どういうこと?敵はどこ?」
「ニャー(落ち着けジャック、敵はお前の目に見えないだけだ。存在はしている)」
「まずお前!名前は何なの!」
「私、メリーさん……今あなたの………」
「分かってる!!後ろでしょ!!」
ジャックはナイフを後ろに向かって大きく振るった。しかしそこにメリーと名乗った何かは居なかった。
「目に見えなくても存在してれば攻撃は当たる!!」
ジャックは水平五連ショットガンを放った。そしてそれはいつもと違い、ショットガンから放たれる弾は燃えていた。ドラゴンブレス弾だ。
メリーはその攻撃に反応しきれず、メリーの袖が燃えた。
「やっぱりそこに居たね!!」
ジャックは不自然に空中で燃えている所に向かってフライバーストを放った。フライバーストは銃身から派手に炎を吹いた。しかし反動は少なくなっているようでジャックはうまく反動を逃がしていた。
「うるさ!!!!………避けられちゃったか」
メリーは燃えた袖を振り払い、炎を消した。
「ニャー(銃声スゲェうるせぇな)」
「………突然襲い掛かって……気でも狂ってるの?」
ジャックはリッパーのセリフを無視してそう言った。
ジャックは目を閉じ、耳を澄ました。
しばらく静かな時が流れる。
そして一瞬だけ小さな音が聞こえた。ジャックは音が聞こえた方向から飛んできた針のような物をかわし、音の聞こえた方向に一本のナイフをぶん投げた。
しかしそのナイフはメリーに当たらず、ビルから落ちていった。
ジャックは音がした方向へと走り、メリーが居ると思われる所に向かってナイフを振るった。しかしそれは当たらなかった。
「そろそろ正々堂々戦え!!!」
しばらく静かな時が流れる。
「………わかった……じゃぁあなたの言うように正々堂々戦おうじゃない……」
メリーはジャックの目の前に現れた。
「!?」
ジャックはいそいでナイフを構え、メリーが振るったナイフを受け止めた。
そしてメリーから距離を取った。
ジャックは目の前に現れたメリーの武装を確認した。
身長は172cm程度、黒く大きなワンピースを着ており、腹回りにはそれを押し付けるように大きく太いリボンが巻き付けられていた。
黒く長い髪の毛は足元まで伸びていた。それと特徴的な大きい帽子を被っていた。
銃とナイフを一個ずつ持っており、それ以外には何も持っていなかった。
「へぇ、お前がさっき言ってたメリーって人?案外体大きいね、想像してたのとちがったや」
「貴女が小さすぎるだけよ」
「……認めたくはない………けどそうだね」
ジャックはメリーに向かってスピードを放った。しかしそれは当然メリーに避けられる。
メリーは姿を消した。
「…………けど、お前が消せる物は気配と服と体だけ………体に付いたゴミは消せれてない」
ジャックはそこら辺にむかって大胆に砂をバラまいた。
「そこ!!!!」
ジャックは砂粒が不自然に浮いている所に向かってスピードを放った。
メリーはそれを屈んで避けた。ジャックは屈んだメリーに向かって走り、ナイフを振り落とした。
しかし落としたナイフはメリーの服を少々切り裂く程度だった。
メリーはジャックに向かって五本の毒針を殆ど同時に撃ち出した。
「面倒だね!!その毒針!!」
ジャックは飛んできた小さな針を全てナイフで切り裂き、受け止めた。
「ねぇ、ちょっと話を聞いてくれない?」
ジャックがメリーに向かって言う。
「…………なに?」
「なんでお前は突然私に襲い掛かるの?見た感じプロテクターの人間じゃないし私に恨みを持ってるってわけじゃない……一体なんで私に襲い掛かったの?」
「……依頼ってやつよ」
「依頼?アナタは殺し屋か何か?」
「………まぁそんなところね」
ジャックは被っていたフードを外した。冷たい風がジャックの髪の毛を揺れさせた。
「アンタ、どうやって姿を消してるの?」
「教える義理は無いわ」
「へぇそう」
ジャックは数秒目を閉じた。次に瞳が開くと目の水色は一層濃くなっていた。
それと共にジャックの髪の毛の一部が濃い青色に染まった。
「ま、これでアナタをしっかりと目で追えるね」
ジャックは見えないはずのメリーを見ていた。
「…………貴女見えてるの?」
「いや、見えないけど……見えてる」
「何言ってるかわかんないね」
ジャックは水平五連ショットガンを開き、中にドラゴンブレス弾を入れた。
そしてメリーに向かって走り出した。ジャックはメリーに向かってナイフを振るうがメリーは当然それを避ける。
メリーはどこからか取り出した毒針をジャックにむかって投げた。
ジャックは投げられた毒針をキャッチした。
「この毒針貰うね」
「………まぁご自由に……」
ジャックは毒針を右腰のポーチの中に入れ、背中から小さな盾を取り出した。
メリーは姿を消し、ジャックに近づこうとしたがジャックはずっとメリーを見つめていた。
「………やっぱり見えてるのね」
メリーはジャックに近づくのをやめ、ジャックに向かって毒針を放った。
しかしジャックはそれを小型の盾で防ぐ。ジャックは盾で毒針を防いだと同時に水平五連ショットガンを放った。
メリーは水平五連ショットガンが盾に隠れていた為それに気づかず、咄嗟に自分の被っていた帽子を取り出し、水平五連ショットガンから放たれる炎の塊を帽子で受け止めた。
「………その帽子鉄でできてるの!?」
メリーは少し焦げただけの帽子を頭に被りなおした。
「いいえ、できてないわ。鉄でできた帽子を頭に被ってたら頭が痛くなるでしょ?これはケブラー繊維でできてるのよ」
「へぇ………じゃぁアナタに頭痛を与えてあげる」
ジャックはメリーの目に向かってフライバーストを放つ。しかしメリーに屈まれて避けられた。
しかしジャックはそれを読んでおり、メリーの足元付近に向かってスピードを放っていた。
弾丸は屈んでいたメリーの左肩を擦った。
メリーはジャックから距離を取り、血が垂れている左肩に手を当てた。
「……ジャックザリッパーもこれ程度、案外弱いのね」
メリーの肩から流れていた血は止まっていた。
「………何で傷が塞がってるのかなぁ…これは一撃でアナタを殺さないといけないみたいね」
「……そうかもね」
ジャックはナイフを構えた。
それと同じようにメリーもナイフを構えた。
ジャックとメリーは同時に動いた。
そしてどちらともナイフで相手を攻撃するのではなく銃を使い、敵に弾を当てようとした。
ジャックは先に飛んでくる毒針を避け、スピードをメリーに向かって撃った。
メリーは飛んでくる弾丸を避けようとしたが横から飛んできたリッパーに邪魔をされてその銃弾を右肩に喰らった。
リッパーは走ってジャックの方向へと逃げた。
「どう?R.I.P弾っていうの、痛いでしょ?」
「…………」
メリーは右肩をしばらく黙ったまま押さえた。
しかしジャックはメリーが傷口を修復していることに気付き、メリーの右肩に向かってフライバーストを撃ち放った。
メリーはその弾丸を帽子で弾き、そのまま帽子を盾のようにして体を隠した。帽子はメリーを隠すほどの大きさはなかった筈だが何故か大きくなっており、メリーの体はそれに隠れた。
「知ってる?ケブラー繊維って水に弱いんだよ?」
ジャックは腰から水筒のような物を取り出し、メリーに向かって水筒の中身をぶっかけた。
そして帽子の濡れている所に向かってフライバーストを放った。銃弾は帽子を貫通してメリーの腰に掠った。
ジャックはずっと屈んでいるメリーの近くまで行き、帽子で隠れているメリーに向かってスピードを突き付けた。
「そろそろ諦めたらどう?」
「………」
「……聞こえてる?」
「………」
ジャックは水平五連ショットガンの中心に一発弾を込め、濡れている帽子の部分に向かってそれを放った。
「………居ないか」
ジャックは帽子を蹴り飛ばしたがそこにメリーの姿はなかった。そこには血痕と数本の毒針だけが残っていた。
ジャックはその毒針を全て回収した。
「ニャー(ジャック、大丈夫だったか?)」
「うん、大丈夫だけど………あれは一体誰なの?」
遠くから少し声が聞こえる。
「また殺しに来るわ………覚悟してなさい」
「………何だったんだ?」
「ニャー(とりあえず情報集めないとな、アイツの)」
「そうだね、とりあえずこの毒針は持って帰ろう」
ジャックは自分の家の中に戻っていった。
メリーさんは右肩を左手で押さえながら道を歩いていました。腰からの出血は止まっていました。
(やっぱりジャックザリッパーは強いわね。しかもR.I.P弾の弾薬が肩に残ったまんまだし……)
メリーさんの帽子は無く、黒く長い艶やかな髪が風にたなびかれてました。
(ジャックザリッパー……アイツ戦ってる途中に喋りすぎなのよ……)
メリーさんは心の中で愚痴を言いながら歩きました。
(………………殺してやるわ………絶対に……)




