表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三殺事件 ~The End of World~  作者: Red
第三章 魂
10/50

第十話 魂

 メリーさんは地面に倒れたままでした。


「………………さない………」


 メリーさんの腹からの出血は収まっていました。



「……………ゆるさないわ………エド・ゲイン………」


 メリーさんは立ち上がり、何処かへと歩きました。

「くっそ、早く帰らねぇと」


 エドゲインは自分が掘り起こした墓を片付けていました。


「………けど弱かったな……まぁ次来れば返り討ちにすればいいだけか………」


 掘り起こすのに使ったシャベルなどをどんどん片付けていました。折り畳み式のようで折り畳むととても小さくなりました。


「まぁとりあえず出口はあるはず………さっさと逃げよう」

 エドゲインは荷物をまとめ、立ち上がりました。


 そして道を歩き始めました。

 歩いて、歩いて、歩いて、とにかく大きな墓地を歩きました。



「……………………あれ?……」



 道は終わりませんでした。


「はぁ?どうなってんだ?アイツにはナイフを刺してんだぞ?」


 十分は歩きましたが道はずっと続いていました。

 そしてまたしばらく歩いていると墓地の中心に着きました。


「あ?どうなってんだ?」



 墓地の中心にある石板の上にメリーさんが居ました。



「クッソ!!なんでお前が居るんだよ!!!!さっさとここから出してくれよ!!!もう一回戦っても結果は同じだぞ!!!」


「………」


 メリーさんは黙っていました。

「なぁ!!!出してくれないか!!!!ここからなああぁぁ!!!!!」

「………」


 メリーさんは石板の上から黙ったまま降りました。

「………なんだ……不気味な顔しやがって……」


 メリーさんはエドゲインを睨みつけていました。


「……チッ……クソが………」

 エドゲインは後ろへと走り出しました。しかし"無駄"でした。


「あ?な、なんだこれ?」




 エドゲインが進もうとしていた方向は真っ暗になっており、何かの呻き声が聞こえていました。




「な、なんだ……これ………」

 メリーさんはエドゲインに向かって歩きました。


「ち、近づくんじゃねぇ!!」

 メリーさんはエドゲインの前に立ち、止まりました。


「………あなたは久しぶりに私を本気にさせてくれたわ……」

「な、なんだよ」

「……貴方は不運にも私にとって有利な場所にいたね……」

「………気色わりぃなぁ……」

「………貴方の負けはもう確定したわ……」

「あ?さっきの戦いを覚えてないのか?」



「……………覚えてないわ」


 メリーさんは一歩も動きませんでした。


(………なんだこの感触……気色悪い……)

 エドゲインはそう思いました。


 いつの間にか周りはまたもや暗闇に閉ざされました。しかし先ほどとは違い、何かの呻き声が聞こえます。



「………やってしまいなさい…」



 メリーさんはそう言いました。


 それと同時に何か黒いものがエドゲインに向かって伸びました。

「あぁ!?」


 エドゲインは黒い何かに向かってナイフを振るいました。



 しかしナイフは黒い何かに吸収され、ナイフは無くなりました。


「は?」

 黒い何かはエドゲインの首に伸びていきました。


「なんだ!!!やめろ!!!!」


 エドゲインは動けれませんでした。金縛りです。


 エドゲインは黒い何かに飲み込まれていきました。黒い何かからは腕のようなものが何本も伸びており、それがエドゲインの首などを掴んでいました。


 エドゲインは地面に飲み込まれていきました。



「これは魂たちよ…それもかなり貴方を恨んでる魂……貴方が荒らした墓の人間達の魂よ………」



 エドゲインは言葉を話しませんでした。いや、話せませんでした。


「どう?魂が吸われてゆく、苦しいでしょ?痛いでしょ?」


 メリーさんは笑いました。


 エドゲインは目を見開き、苦しい表情を作りながら地面に飲み込まれて行きました。

「アハハ!こんだけ魂がある墓地で出会ったのがあなたの運の尽きよ!苦しんで死になさい!!」


 エドゲインは魂を吸い尽くされ、死んでいました。


「アハハハハハ!!!」


 メリーさんは笑いました。狂ったように。

「アハハハ………ふぅ………………もう帰っていいわよ」

 メリーさんが手を伸ばすと暗い霧が一瞬で晴れました。メリーさんの手の平が一瞬光り、すぐにその光は消えました。


 エドゲインの死体はどこにもありませんでした。


「………………ふぅ………久しく笑ったわね……………」


 メリーさんはエドゲインが居た所の土を踏みしめました。


「………おっと、まだ殺す人がいたね」

 メリーさんは残るターゲットである依頼主の所へと足を進めました。


 ⬜︎⬜︎⬜︎


 メリーさんは歩いていました。


「………結構近いわね……ここかしら?」


 メリーさんは一つの建物に着きました。メリーさんはその建物の中に入っていきました。

 建物は完全に木製で二階建て、ボロボロで人が住んでるか怪しい程でした。


 建物の二階に上がると一人の女性が地面に膝を付いていました。

 メリーさんはその女性に近づきました。


「………エドゲインを殺してくれたかしら?……」


 女性が言いました。

「ちゃんと殺したわ、安心して」


「よかったわ……私の………子供だけど………それでも人様に迷惑を…かけるよりマシよね……」

 女性の目には涙が溜まっていました。


「………地獄で再開できるといいね」


 メリーさんは銃を取り出し、ターゲットに向かって撃ちました。放たれたのは銃弾ではなく、細い針でした。


「………」

「五分後には楽になるわ……」


 メリーさんは女性の前から姿を消しました。

「………」

 女性はなんとも言えない表情を作りながら涙を落としていました。


 ⬜︎⬜︎⬜︎


「今日もしっかり完了っと……」


 メリーさんは何かを書きまとめていました。何を書いているかは分かりません。


 そしてメリーさんは一瞬だけ何かを考えました。


「……ま、いいや」


 メリーさんは考えることを放棄し、次のターゲットを作るためにまたもやあの公衆電話を目指して歩きました。夜の街にメリーさんの歩く音が響きました。

「もしもし、私メリーさん」


 メリーさんはそう言いました。


「殺してほしい人、誰かな?」


 メリーさんは耳を澄まして相手の返答を待ちました。






「………………………ジャックザリッパーを殺してくれないか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ