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月を胸に、星を語る

作者: 犬飼春華

貴女を想ってもこの願いは届かない。

知っている、知っていた。

だからせめて貴女を想うことを許して。


「星がキレイですね」


この言葉の意味。

気づいて欲しい、気づいて欲しくない。

願ってしまった瞬間、襲いかかる絶望。


愛してはいけない人だった。


貴女は私の兄の恋人。

出会った瞬間に失恋した。

兄は貴女を『自慢の恋人』という。


もし兄より先に出会っていたなら、貴女の隣は私だっただろうか?


遅すぎた出会いに何度後悔したことか。

貴女が兄の話をするたびに、何度嫉妬の炎に焼き尽くされたか。

貴女は一生知ることがないだろう。

だからせめて貴女に言葉を送らせて欲しい。


「星がキレイですね」

(貴女を想う気持ちは伝わらないでしょう)


貴女はその言葉の意味を知ることはない。

私は一生、この意味を隠し貫く。

私の言葉の意味を知らない貴女。

美しい微笑みを作って『そうですね』と笑う。


月夜の美しい日に貴女と遭遇したのは幸運だ。


この隠された想いを伝えることができたのだから。

私はそれで満足です。

胸に秘めた想いを隠しながら生きていく。

貴女は兄と添い遂げ、やがて子を成すでしょう。


その時に貴女はなんというだろうか?


兄の不幸を願いながら、貴女の幸運を願う。

矛盾していると知っている。

それでもこの気持ちは伝えられない。


伝えてしまったら、止まらなくなるから。


「本当は月がキレイだと良いのですが」

(本当は愛していますと伝えたい)


言の葉に隠す想い。

どうか見つからないで。

どうか見つけて。


美しい黒髪をなびかせ、貴女は笑う。

その笑みに何度救われたことか。

その優しさに何度死にたくなったか。


貴女は無条件に私を愛してくれる。


でもそれは『恋人の弟』としての愛情。

本当は『愛人』として愛して欲しい。

何度も口に出しかけて、言葉を飲み込む。


一生伝わらない想い。

一生伝えてはならない想い。


貴女を愛しています。

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