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6 監察


 扉がノックされた。

「お食事をお持ちいたしました」

返事はないが、いつもの事なので、侍従はそのままワゴンを押して部屋に入ってきた。


「殿下?」

いつも不貞腐れた様子でソファに座っているギルバートがいない。

何かの気配に侍従がふり返ると、椅子を持ち上げて、今にもそれを振り下ろそうとしているギルバートと目が合った。

ギルバートは思わず目をつぶり、そのまま椅子を思いきり振り下ろした。

人を襲う、という行為に恐れを抱いてしまったからだろう。

ガッという手ごたえがあり、ギルバートがそっと目をあけると、倒れている侍従が見えた。


初めて人に危害を加えたことに興奮しながら、ギルバートは部屋から出た。

目指すはクワイエット公爵家、サミュエルの実家だ。

まずは、人に見つからないようにこっそりと厩舎の方向へと進んでいく。

きょろきょろと挙動不審に移動するギルバートの周囲にはなぜか誰もいない。


「ただいま戻りました」

そう言ってロイドたちが控えている部屋に来たのは、あの倒れたはずの侍従だった。

「大丈夫だったか?」

「ええ、殿下が目をつぶっていたので、ごまかすのは簡単でした。

万が一、目があいていたら、別の方法で倒れたふりをしましたけどね」


「そろそろ我慢の限界かと思っていたが、予想通りだな」

「しかし、これだけ人がいない事を何だと思っているのでしょうね」

「興奮していて気が付かないのかもな」

「さて、我々も準備いたしますか」

部屋にいた全員が立ち上がり、準備を始めた。


無事に厩舎にたどり着いたギルバートは、小さい馬車が1台馬が付いたまま放置されているのを発見した。

「運がいいな」

そう思ったが、御者などしたこともなければ、クワイエット公爵家までの道もわからない。

どうしようかと考えていると、馬車の影から御者がふらふらと歩いてきた。

「おい、おまえ!」

「え?わたしで?」

「そうだ、お前は御者だな?」

「はい、そうですが」

「私を乗せてクワイエット公爵家まで行け」

「え?そんな指示は出ていませんが・・・」

「私は第2王子だ!お前は御者の分際で王族に逆らうのか?不敬で処刑するぞ」

「そんな!!」


ギルバートはそうやって御者を脅し、無事に馬車に乗って公爵家へ向かった。

その後を数人が騎乗でついていることも知らず。


クワイエット公爵家につくと、門番が馬車をとめた。

先ぶれもなく、何の連絡も受けていないのだから当然だが、ギルバートは御者を脅したように門番も脅しつけた。

「私を誰だと思っている。第2王子であるぞ。門番ごときが私の邪魔をするなど無礼だろう!

早く公爵を呼べ!処刑されたいのか!!」

慌てた門番の一人が急いで公爵家の中へと走って行った。


しばらくして、門番はこれはともに走って公爵家の執事がやってきた。

「これは殿下、お待たせいたしました。公爵がお待ちです、中へどうぞ」

そう言って邸内へと招き入れてくれた。


応接室でお茶を出され、ギルバートがようやく落ち着いたころ、クワイエット公爵が口を開いた。

「ところで殿下、いきなりのご訪問ですがいかがされましたか?

見たところお一人ですし、我が息子はお側に付いておらんのですか?」

どうやら公爵は何も知らないようだった。

ギルバートが監察中であることを告げ、母と祖父に連絡を取ってほしいと希望を告げようとした時、

扉の向こう側が騒がしくなった。


「何だというのだ?」

ギルバートと公爵が様子を聞こうとした時、ばんっと扉があけられた。


「誰だ!ここを公爵家と知っての狼藉か?」

「我々は監察部隊です。監察対象であるギルバート殿下が王宮を抜け出し、クワイエット公爵家に逃げ出しましたので、殿下を連れ戻しにまいりました」

「監察だと?」

「はい、現在ギルバート殿下は監察中です。

殿下と接触した公爵閣下も同様に監察対象となりました」

「な、なんだと!」

「では、これよりクワイエット公爵家の監察に入ります」

そう言ってわらわらと監察の者たちが入ってくる。廊下に連れ出されると、公爵家の使用人たちが一堂に集められている。


「どういうことだ!誰の指図でこのようなことを!」

「私ですが、なにか?」

そう言って現れたのはロイドだった。

「キッ、貴様は!」

「私は王命により監察をしております。殿下と接触した公爵家もその対象とみなされました。

このまま公爵家の皆様は我々の用意した屋敷で過ごしていただきます。

監察が終わるまで、外部との接触は禁止です」


その言葉に、公爵は顔色を変えた。

「まさか、仕組んでいたな」

「何のことでしょう?」

ロイドはそのまま指示を出し、公爵家にいた全員が移動させられていった。

もちろんギルバートも近衛隊に連れられて王宮へ戻された。


「うまくいったな、ロイド」

「ああ、予定通りの行動だったな」

「これでローゼン公爵まで行けそうだな」

「そうだな。ばれないように手早くやらないとな」


ロイドたちは執務室に行き、クワイエット公爵家の監察を始めた。







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