第十三話 父との対面
「マーヴィリー、アマイラ、よくぞ帰ってきた。
北都は、どうだったかね?」
北都から帰還した私達は、王の間と呼ばれる部屋へと来ていた。
いわゆる謁見場所、といえばいいのか、私達の父であるダヴィア・フォレストが三段ほど上がった場所にある椅子――王座、というものだったはずだ――に座り、私とアマイラ、それに私達の横にいる数人の人々を見下ろしていた。
北都が、どうだったか―――
私が何を言おうか考えあぐねていたとき、アマイラが口を開く。
「北都への商家の収集が間に合ったので、エンダー公爵家の方々にはそう伝えてあります。
そうそう、エンダー公爵家の方々には良くしていただきました。
ヘイダーも、元気そうにしておりましたよ。」
嬉しそうに語るアマイラ。
ヘイダーも、最後を除けば普通に楽しそうにしていたしね。
「ふむ、そうか。
ところで質問なのだが、マーヴィリーよ。
お主、北都に泊まることを即決したそうだが、仕事はどうした。」
「………部下に任せました。」
まぁ、正確には私がやった仕事を、部下にどう扱うか任せただけなのだが。
こう言えば、ほっぽりだしていったのか、とでも勘違いするでしょう。
「そうか。部下が裏切るとは考えなかったのか?」
「……そこまでの考えには至りませんでした。」
というか、お父様が集めた部下を疑いでもしたらどうなることかわからないでしょう。
「っふ、だからお前は低能なのだよ……」
横から、一人の女の声がする。
ひそりとつぶやいているつもりかもしれないが、バッチリ聞こえているぞ。
まわりもくすくす笑わないの。
それじゃあまるで自分自身で低能だと示しているようなものじゃない。
馬鹿なのかしら。
「―――……報告は以上です、国王陛下。」
おおっと、いつの間にかアマイラが報告を終わらせてくれてたみたいだね。
感謝。
いつもどおり、私はとくに何もせず、謁見を終わらせたのであった。