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特訓だ!

 

「クラウス君、我流でやっても上手くならないよ。だから私が講師を呼んでおいた」

「え、本当ですか?」



 何とか俺Bとリーザ先生Bをいなした後、ようやく料理の練習を始めようということになった。


「じゃあ登場してもらいましょう! ファッパ先生です!」


 リーザ先生の拍手が荒野に虚しく響く中、調理台の下の収納スペースがパカっと開いた。窮屈そうに足を伸ばしながら登場したのは、調理服を身に纏った老紳士だった。


 何でそんな場所から出てくるんだよ。

 というか今までそこに潜んでたのか。


「あなたがファッパ先生ですね?」

「違うよ」

「誰なんだよ」



「クラウス君、それはファッパ先生じゃなくてファッポ先生だよ」

「知らんわ」


 何それシリーズ物なの?


「ファッポ先生はファッパ先生に比べて爪が7cm長いよ」

「爪伸ばし過ぎだろ」


「後ファッポ先生は料理が得意だよ」

「じゃあこの人が講師で良いじゃないですか! ファッパだのファッポだのどっちでも良いですよ!」

「妥協しちゃダメだよ、クラウス君。これから来るファッパ先生はもっと凄いんだから」


 リーザ先生が太鼓を打ち鳴らすと、ボコっと土が盛り上がり、そこから一匹のオークが出てきた。

 まるでオケラのようだ。いやオークなんだけど。

 ゴツゴツした身体は人間の体をしていても、やはり一線を画す強靭さがある。


「えっと、この人がファッパ先生なんですか?」

「そうだよ」

「何で地面の中に」

「ファッパ先生は寒がりなんだよ」

「なるほど」


 俺はもうツッコむ事を放棄した。話が先に進まないからである。


「それはそうと、この人が本当に講師になるんですか。オークじゃないですか。オークってモンスターですよ。人とかいっぱい殺す奴ですよ?」


 そういえば紅花もオークを飼っていたな。流行ってるんだろうか。


「大丈夫大丈夫。もうすぐ夏だし」

「ちょっと意味が分からないです。いや、本当に料理の講師になるんですか?」


「もちろん。ファッパ先生は居酒屋でのバイト歴50年の大ベテランだよ」

「ダメじゃねえか」

「しかも50年間ずっとキュウリの皮剥きしかやらなかった」

「尖り過ぎだろこいつの人生」

「苦手なものは調理全般」

「じゃあ何で呼んだんだよ!!」



「はい、続いてクラウス君がミスした時の罰とトラップを紹介します」

「待って。百歩譲って罰は分かるとしてトラップって何?」

「こちらをご覧下さい」


 リーザ先生の指差す方を見ると、股間にレモンを装着したおじさんが立っている。こいつ異空間にも居るのか。


「あれはクラウス君のエプロンを脱がそうとしてくるおじさんです」

「何で⁉︎」

「彼は転職したんだよ」

「誰が雇い主なんだよ!」

「続いてあちらをご覧下さい」


 リーザ先生の言うあちらを見ると、これまた見覚えのある顔があった。頭の左右にお団子を作った黒髪の少女。


「紅花!」

「アイヨー! クラウスー」


 人懐っこい笑顔で笑う少女はやはり紅花だ。これが本物なのか、それともリーざ先生の生み出したものなのかは今のところ分からない。


「えー、その人はクラウス君が料理でミスすると、クラウス君に生えている毛という毛を燃やしてくるよ」

「何その頭悪い陽キャの思い付きそうな罰ゲーム!?」


 というか紅花はそんな細かい炎の調節は出来ないので、やるとしたら俺が丸焦げになること必至である。


「後、クラウス君の服装が乱れても燃やしてくるよ」

「マッチポンプじゃねえか!」

「クラウスー、覚悟するヨー」

「それこれから人殺す奴の台詞ぅ!!」


「よし、じゃあ始めようか」


 帰りてえ!


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