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光帝大陸の覇者 2


「あんた達何してんの!」


 ハリのある女の声がした。

 声のした方を向くと、少女が一人、胸を揺らしながらこちらに近づいてきた。その大きさでジャンヌだと気付いた。こんな識別をしていると知られたら殴られかねないな。


「学園内での暴力沙汰は御法度よ。知らないわけじゃないでしょ?」


 ジャンヌは交互に俺とザビオス族の顔を見ながら言った。厳しい顔つきだ。

 と、男が俺の胸ぐらから手を離す。

 久しぶりに呼吸が楽になった気がした。


「うるせえな。こいつが絡んできたからちょっとシメてやろうと思っただけだ」


 いや完全にお前から絡んで来たやんけ‼︎ 何で俺のせいなんだよ! と言いたかったが、現在のキャラ設定上そう叫ぶわけにはいかない。 


「いいから二人とも離れて。これ以上問題を大きくするんなら自警団に報告させてもらうわ」


 ジャンヌは毅然とした態度で男に言った。凄いな。ギラ族の俺だけじゃなくて、他の種族でもザビオス族は怖いはずなのに、ジャンヌには全く気後れしている様子がない。


「チッ。おいギラの。テメエ次はねえからな」


 ザビオス族の男は捨て台詞のように言い、背を向けて去って行った。た、助かった……。一気に気が緩み、俺は今すぐへたり込みたい気分だった。何なら寝そべりたい。ジャンヌに膝枕してもらいたい。


 ふと、ジャンヌが俺の顔をじっと見ていることに気づく。

「……クラウス?」


 よくこの全体を隠した衣装で俺だと分かったな。ちょっと感心した。


「馬鹿なの? そんな格好してるから狙われるんでしょ」


 感心していた俺に最もな批判が飛んでくる。ジャンヌの顔つきは険しいままだ。


「この学校にはさっきみたいなザビオスも多いわ。昨日も言ったけど、ただでさえギラ族は狙われやすいんだから目立つ格好は今すぐ止めなさい」


 返す言葉もない。ジャンヌは俺の心配をして言ってくれているのだ。


「ほう、我の心配をしているのか。それには及ばん。何故なら我こそは!」

「足震えてるわよ」


 あんっ!


「早くしないと1時間目始まるわよ」


 俺が足の震えを治めようとしている間にジャンヌはさっさと歩いて行ってしまう。置いてかないで! 


 ジャンヌには昨日から助けられっぱなしだな。確かに態度は冷たく見えるのだが、その行動は非常に優しいし、すごく俺を気遣ってくれているのが分かる。

 この子に恩返ししたいなあ。


「ククク……、喜ぶが良い。このクラウス・K・レイヴンフィールド! 誇り高きギラ族にして第十三式闇魔法【棺流】の正統後継者たる我が貴様を教室まで護衛してやろう」


 俺は駆け足になってジャンヌに追いついた。


「あんまりくっつかないで。そんな格好した人と知り合いだと思われたくない」


 ひどい。



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