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三話・三人目
夜空を見上げてみて。
貴方には何が見える?
愚かなものには見えないだろうそれ。
偉き方々四人には見えているのだろうか?
塔に隠れ住むものも、戦場より逃げた魔術師も、悪魔に魅入られた恋人たちも。
決して見えてはいないのだろう。
彼らは全員力に溺れた者たちだ。
ならば、死神の正義に基づき吊るされた彼は力がなかったのだろうか?
謙遜しても足りない。なら何がいる?
太陽の下ですら押しとどめて欲さず、誘惑を押し返し、ただ必要以上を取らない。
そんな聖人に誰かなれるだろうか。
そんな聖人のいるような世界を完璧に生み出すとしたら、一つ欠けている。
さぁ、足りないのは何だろうか?
彼らをあらさがしして見つけてほしい。
見えないそれを見つけてほしい。