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天空の城は無くても、少女は空から舞い降りる

第4章はじまりました!構想段階ではいろいろな話をする予定なので長くなるかもです。。


「あぁぁ~」

「気の抜けた声を出さないでください、、。」


 デロスを後にし数日。おれたちは草原の真ん中を歩いていた。


「前も後ろも右も左も緑、緑、緑、。文明に甘やかされてきたおれには辛いっつの・・・」

シルヴィアに出会う前に歩いた草原を思い出す、だだっ広い草原地帯。あの時と同じような草原が延々と続いていた。

「タイヨウ、うるさい、、。こっちまで嫌になるでしょ、、。」


 草原地帯に入りすでに4日。ボルクスの予想ではどこかで行商人とすれ違い同行させてもらうという予定だったのだが・・・

「人はいねえし街はねえし・・・それに何より――」

・・・暑い。首筋を伝う汗はとめどなく、文句の一つや二つや三つくらい言いたくなるというもんだ。


 デロスにいた時から徐々に気温は上がってきていたがここ2日で一気に夏が来た感じだ。まあ、この世界に四季があるのかは知らないが。


「確かに予定外でした、、。まさかここまで人に会えないとは。旅をなめてました、、。」

ボルクスも心なしかしょんぼりしている。


 こちらの草原地帯には川が流れていたり獣もちらほらいるので特に旅をするのには今のところ困ってはいない。

 森の向こう側の一面緑の豊かな不毛地帯に比べれば幾分マシなのだが・・・


「あっちい、、。」

「もう!暑い暑い言わないでってば。わたしまで暑くなるでしょ!」

「あそこに岩陰があります。少し休憩しましょうか。」

 暑さにやられてかシルヴィアもご機嫌ななめだ。


 大きな岩の影に入り腰を下ろす。

「やっぱ日陰は大分涼しいな~。そもそも太陽が二つもあればそりゃあ暑いよな。」

「太陽は二つあるものでしょう?何を言っているのですか?」


 おっと口が滑った。確かに異国だとしても同じ世界に会って天体の数が違うなんて馬鹿げた話は無いだろう。

「細かいとこは気にすんな。それよりもこの国での暦ってどうなってんだ?四季はありそうな感じだよな?」


「四季はありますよ。今はペレト期の66日なので夏の初めといった所でしょうかね?」

「ペレト期?」

「はい。この国では1年を三分割していて年の1日目から120日までを「アケト期」121日目から243日までを「ペレト期」244日目から365日までを「シェムウ期」と呼びます。」

「一個のくくりなっが。わかりにく!」

「あとは暦がずれるからという事で四年に一度アケト期が1日増えますね。その日は『太陽祭』と呼ばれ国を挙げてのお祭り騒ぎになります。タイヨウはそういうの好きそうですよね。」

「「へぇ~~」」


 感心する声がダブった。

「って、シルヴィアが感心すんのはおかしいだろ?」

「ほら、わたしすっごく田舎の生まれだからいろいろと知らないことがあるみたいなの、、。」

と恥ずかしそうに指をもにょもにょしている。


「これはあれですね、王都に着いたら『太陽教』についても勉強しておく方がいいでしょうね。そんな気が無くても、侮辱するようなことがあると面倒なことになりかねませんし。」

「太陽教?」


「はい。この国、『千年王国 アッシャムス』が樹立されるに至った経緯などが記されているものを聖典として、太陽と月を「神」として崇めるものですね。」

「太陽を、神と、、。ほう。」

「あ、そういうのも絶対にダメです。何を考えてるかよくわかりますが冗談でもやめてください。」


 少しニヤリとしたところですぐさまストップがかかった。


「けどなんで王都まで行ってからなんだ?どうせ時間を持て余してんだし歩きながら教えてくれよ。」

「それでもいいのですが、まあ話がとても長いんですよ。なので王都の太陽教の総本山である太陽神殿に着いてから、いろいろと見てもらいながらの方が早いかと。まあ、変に太陽教の話さえ出さなければそうそう日常会話には出てきませんから。」

水を飲みながらボルクスはそう話した。


「ふ~ん。王都についてからのお楽しみって事か。」

「楽しいかは微妙ですが、そういう事にしておいてください。」


 そこまで聞いてごろんと横になり空を見上げる。

(うるう年に神話に宗教に、見上げれば入道雲に空飛ぶ人。意外と代わり映えしねえもんだな~・・・空飛ぶ人?)

 

「・・・人が、飛んでる??」

人型の物が浮遊する方向を指さす。

「あ、ほんとですね。<浮遊(フライ)>が使えるのは一部の魔術師の方だけなのですが。こんな何も地域を飛んでいるなんて珍しいですね。何かあったんでしょうか?」


 話を聞いて少し肩を落とす。

 なんだ、誰でも使えるわけじゃないのか。やはり空を飛ぶことには男ならば少なからず憧れを抱くものだと思うのだが。

 そもそもろくに初歩の〈強化〉すら使えないおれには関係ない話か、とぼんやり空を浮かぶ人を眺める。


「あれ、飛んでるっていうか・・・落ちてきてんじゃね?」

 

その浮遊する人は明らかに高度を落とし始め、重力逆らえなくなったのか徐々に加速しながら一直線に地面へと向かっていく。


「おいおい、おおおい!」

急いで体を起こし落下地点へと走る。


 飛べないおれには分からないが、なんとなくあれがきれいな「着地」には思えない。というか間違いなく何かのアクシデントによる「墜落」だ。


「うらああああ!」

気合を入れて落下地点へヘッドスライディング。間一髪のタイミングだったがギリギリ、クッションくらいの役割はこなせたみたいだ。


「はあぁ、、。ナイスキャッチ、おれ。・・・大丈夫か?」

「いたたっ、、。」

おれの体の上にかぶさっていた人が顔を上げる。


 おどろいた。とてもきれいな女の子だ。かの有名な映画の鳩をラッパで操る少年のように、かっこよくお姫様抱っこでキャッチとはいかなかったのが悔やまれる。


 座っているので正確にはわからないが女の子にしては身長は高そう。体つきも華奢でとても凄腕の魔術師には見えない風体。長くとてもきれいな金紗の髪と少しきつめな印象を抱く透き通るような淡い青の瞳。

 偏見だがまさにどこかの貴族の娘さん。というか感じだ。


 ようやく自分が着地した場所が認識できたのかまじまじと下敷きになったおれを見つめたあと、横に降り下を向いた。

「―――、、、。」

 何かつぶやいたみたいだったが声が小さく聞き取れない。


「わりい聞こえなかった。あ~~、とりあえず大丈夫か?」

 うつむき少し震えている少女に声をかける。そこそこの高さからのノーロープバンジー。それはそれはなかなかの恐怖だっただろう。


「~~~~~のよ、、!」

「は?」

「どさくさ紛れにどこ触ってんのよこの変態!!」

 

 予想とは大きくかけ離れた返答とともに振りぬかれた彼女の右の平手をもろに食らった。

(ずいぶん話が違うじゃねえかパズーさんよ・・・)


 突如として舞い降りたえらく乱暴なシータの繰り出した平手は見事、一撃でおれをノックアウトした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「期待してなかったけどなかなかおいしいわね、これ。おかわり!」

「はい。まだたくさんありますので。焦らなくて大丈夫ですよ?」

 

 空から降ってきた乱暴者は当たり前のようにおれたちが街で分けてもらってきたパンやジャムを当たり前のようにたいらげていく。


「・・・なに我が物顔で食ってんだこの暴力女め、、、。」

平手は想像以上の威力で、くらった左頬を冷やしながらおれをノックアウトした被告人を眺める。


「怒らないのタイヨウ。困ってるときはお互い様でしょ?」

「そうよ。エルフのくせにいいこと言うじゃない。細かい男はモテないわよ?」

 そう言いながらボルクスが新しく出したパンを頬張る。


「はぁ。口の周りくらい拭けよ、、。」

「ん、むぅ、、。」

 服の袖でジャムで彩られた少女の口元を拭ってやる。


 貴族の娘風の出で立ちだが予想が外れたかなと彼女を見る。何より食い方が潔い程に豪快だ。マナーなどどこ吹く風。フードファイトを思わせる勢いで食べ物を口に運んでゆく。


「何よ人の事じろじろ見て。しょうがないでしょ。こんな、食器もまともに無いところで食べるの初めてなんだから。・・・それともまたなにかいやらしいことでも、、?」

「考えて無えからその手を降ろせ。・・・ていうか、ちょっと待てよ。なんでシルヴィアがエルフだってわかったんだ?」


 おれ達には共通認識なので聞き流していたが今のシルヴィアは〈仮装の首飾り〉を着けている。デロスの街でも自分から正体を明かすまで気づいた者はいなかったのだ。


「そんなに驚くこと?そんな玩具で騙せるのなんか精々が有象無象の二流よ。あたしは超一流だもの。」


 モグモグしながら胸を張る自称「超一流」の魔術師。

 ボルクスが言う通りかなりの使い手というのは嘘じゃないらしい。パンを頬張り過ぎてのどに詰まらせているあたり人間としてはどうにもポンコツっぽいが。

 

 しかしこうもあっさり見破られるとなると少し先行きが不安にはなる。


「・・・その割には驚かないのですね。あまり偏見が無いお方なのですか?」

「偏見?逆に聞くけど、道端の取るに足らない石を見てあなたはいちいち「この石はなんて石だろう?」なんて考えて区別するの?」


 なるほど。ポンコツなうえに人格破綻者か。これはまたなかなかにめんどくさい落とし物だ。

 落としたのが何処の天空の城だか知らないが早く拾いに来てほしい。


「まあそんなところだから。別に人間でも獣人でもエルフでもなんだっていいわ。興味無いもの。それよりもあんたたちはなに?」

「それはこっちのセリフだっつの。いきなり空から降りてきて人の食糧食い荒らして、どこまで横柄なんだよ。」

 

 なんにしても全く持って躾がなっていない。どう育てばここまで自分中心で世界が回っていると思えるのか。


「あなたものすごく顔に出るわね?そーゆうやつは割と好きよ。少なくとも思ってもいないお世辞を言うやつよりは、ね?けど、相手と立場を考えなさい。今質問をしているのはあたし。ならあなたたちは素直に答えてればいいの。」


 ほんの少し彼女の発する言葉にイラ立ちが混ざる。


「僕はボルクスと言います。僕たちは今王都を目指している途中で、小休止中にあなたに出会ったという感じです。」

「わたしはシルヴィア。あなたが言った通りエルフで治癒術師!パン、まだ食べる?」

 

 2人はにこやかに自己紹介とやんわりと自分たちの近況を報告する。


「ふう~ん。こっちの二人はあなたに比べると大分物事が分かってるみたいね。わるくないわ。あ、おかわり貰えるかしら。」

「は~い」


 シルヴィアがまた新しいパンを取り出し手を伸ばす彼女に手渡す。


(どんだけ食うんだよ。)


 なんとなく毒気が抜かれてしまい自分のパンを口にする。まあおそらく二人はおれの雰囲気を察して会話を逸らしたに違いないので、そういう意味ではものの見事に術中にはめられたわけだ。


 相変わらず頬をパンパンにしながらおれの方を眺める少女。すると突然真剣な顔になり

「ちょっとあんた!その首飾りどこで手に入れたの!?」

 口の中のパンを人の顔に盛大に吹きかけながら尋ねてきた。


「・・・・・」

 無言で顔を拭きながら自分の首元に目をやる。


「さ、さすがに今のは申し訳ないと思ってるわ、、、。」

 人の顔に咀嚼中のパンを吹きかけてはならない。くらいの良識はあるようで何よりだ。


「これは、途中滞在した街での子供に貰ったもんだけど。」

そう言ってリルからもらったきれいな石のついたネックレスを見せる。

「そう、それは確かに大事につけててあげないとね。ってそっちじゃないわよ!もう一つの方!」


 子供にやさしくする。という良識もあるようなので最低限の人間性は保っているようだ。

「これ?これは昔から持ち歩いてるな。どこでって言われるとわかんねえけど。」


 もう一つの方、おれが向こうの世界から着けたまま来たネックレスだ。確かにそこそこきれいだがそこまで目を引くようなデザインでもないし、めちゃくちゃ高価なものというわけではないと思うのだが。


「何よそのふんわりした感想!はぁ、これだから物の価値も分からない有象無象は嫌なのよ、、。」

と突然自分の頭を抱えだした。

「とりあえずそれ、あんまり人に見せびらかすんじゃないわよ。それとできるだけ大事になさい。」

ついでに謎の忠告も受けた。

「・・・どうせ大事にしててもあんたなんかには使い道も無いだろうけど・・・」


「なんかまた悪口言ったろ。てか、そこまで言うならこれが何なのかくらい説明求む。」

「嫌よめんどくさい。そもそも使えもしない希少な魔具の説明を受けたってむなしくなるだけだし、説明する側も時間の無駄でしょ?」


「もうちょい言い方ねえのかよ、、。おれが大人な男じゃなかったらモメてるとこだぞ、、。」

「大人な、、、」

「おとこ、、、?」


 とても不思議なものを見る目でシルヴィアとボルクスが見つめてくる。

 一体何がそんなに不思議だったのか・・・?


「それはお互い様じゃないかしら?」

 それにしても、ああ言えばこう言う。本当にいちいち腹の立つ奴め。


「で?結局おまえはなんで空から落ちてたんだ?」

コーヒーをすすりながら話題を変える。

「落ちてないわよ。ちょっとお腹がすいちゃって。そう、休憩しようと着地したのよ!」


 それはさすがに無理があるだろう、、。だがもう口にすまい。何を言った所でどうせまともな会話にはならない気しかしない。


「ではなぜこんなに辺境の地まで?おそらくはかなり高位の魔術師かと思いますがお一人で?」

「ボルクスと言ったかしら。あんたはこの中で一番身のわきまえ方をわかってるわね。」

「ありがとうございます。」

 

とても余所行きの笑顔で彼女に相槌を打つボルクス。


 やり手の営業マンみたい。そんなことを思いながら二人の会話を見守る。どうにもこういう役目は彼の方が向いていそうだ。


「まあ、大方あんたの予想通りよ。王都から用事があって何人かで行動していたのだけどあたし以外飛べなくてトロいったらないから先に一人で用事を済ませちゃおうと思ったのよ。」

「なるほど。ですが、一流の魔術師の使う〈浮遊(フライ)〉の速度は想像を絶するものだと聞いています。空腹で動けなくなるほど――失礼。休憩を挟まなければいけないほどの距離とは、いったいどこまで行かれるつもりなんですか?」


「・・・内緒よ。」

先ほどまでの威勢はどこへやら急にしおらしくなり口ごもる。

「いや、内緒って。それだとその仲間の人らとはいつまでも合流できねえじゃねえかよ。」


 俯いたまま彼女は少し悩むようなそぶりを見せなぜか顔を赤らめながら口を開いた。


「~~~のよ、、。」

「「「・・・は?」」」

 ハッキリと聞こえなかったがとても信じられないことを口にしなかったかこいつ?


「・・・だ~か~ら~。行き先を聞くのを忘れちゃったのよ!!なに!?文句ある!!?」

「げ、、激バカ野郎じゃねえか、、。」

こらえきれず腹を抱えて大笑いしてしまう。


「だ、大丈夫だよ!行き先が分かってもたどり着けない人とかもいるし!」

わとわたとフォローを入れるシルヴィアと

「――――っ、、!」

必死で笑いをかみ殺すボルクス。


「ひぃーーっ!笑い死ぬ、、!方向音痴とかいうのと次元が違うだろ!」

「うっ、、うるっさいわね!超一流でも人間なんだから間違いくらいあるわよ!」

真っ赤になりながら彼女は必死で反論していた。


「はぁ、はぁ。ふふ。ダメだ、ツボに入った、、。」

「タイヨウ、そんなに笑っては、ふふ。失礼ですよ、、。」

「いつまで笑ってんのよ!はぁ・・・もう!本当、あたしともあろうものがしくじったわ。まさか失態をさらしたあげくにこんな奴に助けてもらう事になって、あげく施しまで受けるなんて、、。」

「一応助けてもらったって自覚はあんだな?」


 ニヤニヤとしながら彼女の方を見る。

「言葉のあやよ!あんたがいなくても何とかなったのよ!それを勝手にあんたが!むしろあたしの座椅子になれたことを感謝しなさい!」


 そこまで言い心底悔しそうに彼女は顔をしかめた後立ち上がる。


「どこ行くんだ?」

「どこって。出るに決まってるじゃない。」

「もうじき日が暮れんぞ?」

「だからなによ。」

「いや、魔獣とか出るんだろ?」


 なんやかんやとしているうちに時刻は夕暮れ時。今いる場所には獣除けの術式があるが今から出たのではさすがに次のポイントには間に合わないだろう。


「なんであんたと一晩過ごさなくちゃならないのよ。そもそも魔獣なんて100や200敵じゃないわよ。」

「100や200って・・・」


 盛り過ぎだろう・・・

 だが、この女の性格上こうなっては何を言った所でどうせ聞く耳を持つまい。無視だ、無視。


「てか、今更だけど名前くらい名乗ったらどうなんだ?超一流の魔術師さん。」

「はぁ、、、。オリヴィエよ。光栄に思いなさいあたしの名前を聞けるなんてね。それとその・・・ありがとね、いろいろと。王都に着いたら『ベルン』という街に来なさい。お礼くらいはしてあげるわ。」


「さよか。まあ期待せしないで行かせてもらうとする。」

 手を振り適当に相槌を打つ。


「最後まで腹の立つ男ね!あんたこそちゃんと名乗ってないでしょ。聞いてあげるわ。」

「その言葉、そっくりそのまま返してやるよ・・・―――太陽だ。桐生 太陽。」


「聞き間違いかと思ったけど、えらく大それた名前ね。まあ無事に王都まで来られるといいわね?あなたくらいじゃ下位の魔獣にも勝てないでしょうし?」

「お前の辞書には悪口しか並んでねえのか?吾輩の辞書には感謝の二文字は無い。ってか?」


 彼女の言葉には明らかな挑発が込められており、治まったいら立ちが少しぶり返し語尾がきつくなる。


「さっきも言ったけど顔に出過ぎよ、タイヨウ。ケンカを売るなら、ある程度勝負になる相手にしときなさい。ケガじゃすまなくなるわよ?」

「・・・そんなに試してえなら試してみるか?」

「ま、色々食べさせてもらったし今日の所は勘弁してあげるわ。次に会う時までにもう少しその口に見合った実力になってることを祈るわ。―――あたし、できもしないことを口にするやつがこの世で二番目に嫌いなの。」


敵意とイラ立ちの混じった視線を向けられる。


「―――っ!」

本能が臨戦態勢を取るように指示を出し無意識に剣に手が伸びた。


「ま、構えられただけ良しとしてあげる。それじゃあね。」

 それだけ言い残し高く舞い上がった彼女は瞬く間に視界から姿を消した。

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