七夜の悪夢

第四夜

絵本を読んでいた。

外国の絵本。

―――継母と、それに虐められる兄妹の物語。

継母は、夫が居ない間中、子供を虐めるのだ。

兄妹にとって初め父親だけが頼りだったが、父親は酒を飲むと暴れる性質だったから、次第に頼ることを忘れていった。

兄妹は虐められると森へ出かけ、

そこで小動物を殺しては、ストレス発散をしていた。

二人は森の奥で、ある一軒の家を見つける。

日の当たる場所に、暖かそうな家がある。

玄関には、真っ赤な薔薇が咲いていて、とても馨(かぐわ)しい。

その家には、幸せそうな夫婦と、幸せそうな二人の兄妹が暮らしていた。

自分達とは正反対に幸せなその家族を見て、二人はとても羨ましく思い始める。

そしてその羨望は、次第に嫉妬へと変わっていく。

ある日二人は、幸せな家の幸せな兄妹が幸せな夫婦の居ないところで遊んでいるのを見つけると、彼らを殴り殺した。

そしてその皮を剥いで被ると、二人は彼らに成りすまし、幸せな家庭でそれからを過ごした。

―――――ナンテシアワセナ物語ナンデショウ。