婚活は所詮、手段に過ぎない?⑥
田井島は田吉を置いて、もう一つのテーブルへと移る。かつてのフィリピンでのボランティア活動について話していると、フィリピンやマレーシアの男子学生から
「イッツ、アメイジング!」
「センキュ―、ベリーマッチ!」
などと言われて、なんか体中むずかゆい感じがした。それと二人の日本の女子大生も英語で
「ボランティアで大変だったことは何ですか?」
「どうしたら、フィリピンのゴミ山問題はなくなると思いますか?」
などと真剣に質問してくるので、田井島は全く気が抜けない…。
やがて、話は『先進国は、発展途上国のために何をすべきか?』と言う高尚な内容になり、田井島は電子辞書を引きながら、やっとの思いで会話を理解していた。それでも聞き取れない単語は留学生に対して、
「今言った単語が聞き取れなかったから、辞書に直接入力してくれないか?」
とお願いして乗り切る。ここまでくると、女子大生達は辞書を引きながらでは理解できないようで、田井島が通訳しながら会話を進める形になった。
もはや、酒を飲みながら気軽に英会話…ではなくなったが、田井島は楽しくて仕方ない。やはり、婚活よりも語学交流会の方が性に合っていたようだ。ここまで見抜くとは…。さすがは田吉。
「それにしても、英語、すごくペラペラですね…。しかも、学生時代にフィリピンでボランティアされていたなんて…。すごいです!」
「いやいや、そんなことないですよ…」
「あ、私、戸部と申します。今、大学四年生です」
「私は子安と申します。とし子と同じく四年生です」
「学生さんなのに、このようなイベントに参加されて、とても立派ですね。私は田井島と申します」
ハッピーアワーが七時までと言うことで、フィリピンとマレーシアの留学生が、慌てて飲み物を頼みにカウンターへ行った。残された日本人三人は日本語で話して、先ほどまでフル回転させていた脳を休ませている。
常連の間では、七時前に駆け込みで飲み物のおかわりを頼むのが当たり前となっているらしい。田井島達も留学生達と入れ違いに三人でカウンターに向かう。七時まであと一分…。ぎりぎりハッピーアワーに間に合った。




