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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第15章 春樹が残してくれたもの
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春樹が残してくれたもの⑦

「おめでとうございます! 妊娠八週間です。検査薬で結果が出ましたので、引き続き超音波検査をしますね」


「はい…」


 週明けの月曜日、言われるがまま産婦人科へ行くと、実にベタな展開が待っていた。下手に市販の検査薬で調べたら、驚きと喜びが薄れると思い、特に何もせずに病院へ向かった。


 そう言えば、土曜日に嘔吐した時、誰一人として検査薬で調べたらいいと言い出す人はいなかった。親世代はそう言う物となじみがなくて、病院で見てもらわないと分からないと思っている。


 田井島は独身貴族だから当然なじみがない。まあ、男性なんてそんなものであろう。春樹も市販の検査薬のこと、遥斗が産まれて来るまで知らなかったし…。


「あれっ? もしかしたら、双子かもしれないですな…」


「ええっ!」


 ここでまさかの想定外のことが起こる。双子? 双子なんて、考えもしなかった…。子どもが遥斗と二人なら何とかなると思ったけど、三人になるならいろいろと心してかからないといけない。


 何しろ、すでに父親がいないのだから、一人で育てなければいけない。いくら、親のサポートがあるとしても、急に二人も増えたら、さすがに厳しいかもしれない。


「ただ、今はまだ二人とも育つかどうか分かりません。この時期は小さい方が消えることが割と多いのです。そうだな…。十二週検診でまた二人確認できたら、その時は双子として産まれることがほぼ決定すると思います。今日のところはとりあえず保留ですな…」


 何か、もやっ…とするなあ…。すでに一人生まれることは確定しているようだけど、あと一人は来月にならないと分からないのか…。まあ、どっちに転んでも子どもは産まれる。


 生まれた時から、父がいない子どもが一人になるのか、二人になるのか、よく分からないけど…。遥斗だって、物心つく頃には春樹の顔なんか忘れているだろうから、似たようなものか…。


 それにしても、神様は良くも悪くも気まぐればかり引き起こす。十代の小娘ならスリリングな日常を楽しめるだろうが、三〇代にもなってスリリングな日常は楽しめない。それよりも毎日、同じことを繰り返す平凡な日々にこそ、ささやかな幸せはある。


 多少退屈でも、その方が安心して死ぬまで生きていけるのに…。でも、もうそんな日々は二度と戻って来ないんだよな…。華は病院からの帰り道、天国へ行くに違いない春樹のことを想った。願わくば、これから生まれてくる子を、春樹に抱いて欲しかったな…。

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