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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第15章 春樹が残してくれたもの
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春樹が残してくれたもの⑥

 ん? なんか変だな…。そんなに寿司を食べていないのに、何か気分が悪いぞ。父はすでに飲んでいるから、車の運転ができない。一応、母も車の運転はできるが、長いことペーパードライバーだから心配である。


 華は何か変な物を食べたかな…と振り返ってみたが、全く心当たりがない。と、言うよりそんなことがあれば、華だけでなく父母も遥斗にも何らかの症状が出るはずなのに…。うわっ、まずい、吐きそうだ。


 なんてこったい…。華はすごい勢いでそのままトイレに駆け込む。いろいろあったから、疲れているのかな?


「華、どうしたの?」


「なんか、急に気分が悪くなって…。このところ片付けとか、いろいろ動き回っていたから、体調を崩してしまったみたい…。あ、皆さん、お食事中に申し訳ありません」


「華、もしかして、おめでたでは無いのかい?」


 母がそう言うと、他のみんなもすっかり忘れていたみたいに、


「あっ、その可能性があるかも…」


とつぶやくではないか…。


 華自身、春樹が既に亡くなっていたため、すっかり忘れていた。しかし、心当たりが無い訳ではない。春樹が突然亡くなるまで、まさかこんなことになるなんて思ってもなかったから、当然のように夜の営みもあった。そう言えば、ここ二ヶ月ほどあれが来てなかったが、ストレスによるものだと思って気にも止めてなかった。


「う〜ん、よく分からないけど…。とりあえず、月曜日に病院へ行って、確認してみるよ」


「それにしても、花上は本当にたくさんのモノを残して行きやがったな…。すごいな…あいつ…」


「ちょっと、田井島! まだ、決まった訳ではないのよ」


「時期的に決まりでしょう。まさか、花上自身がこんなことになるとは思ってもいなかっただろうから、事故の前日まで十分可能性あったはずだ ねえ、みなさん!」


 田井島がいい具合にでき上がっている。もちろん、義父も父もいい具合に酔っていて、もう既に子どもができたものとして話をしている。酒を飲んでなくて、シラフのはずの義母も母もこれはめでたいと一緒に話を盛り上げている。


 義母は珍しくビールを飲み出した。母は下戸で飲めないので、さすがに酒は飲まない。しかし、実は飲んでいるのではないかと思うほど、他の四人と同じように盛り上がっていた。これで、ただの食当たりだったら、まさにコメディであろう…。


 それにしても、誰一人として「父親がいないんだから、産むのは止めた方がいい」なんで言わない。まあ、多額の保険金もあるし、父母が定年後も健康に生活していると言うのはありがたい。


 義父母もあと一年半ほどで定年を迎える。一人親としてはすごく恵まれた環境にある。それにしても、この日はいつになく楽しく盛り上がった。義父母も、父母も、田井島も、実に上機嫌で帰って行った。二人目ができたら、みんなの悲しみがまた少しずつまぎれていくのかな…。

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