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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第15章 春樹が残してくれたもの
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春樹が残してくれたもの⑤

「それならば、私にそのギターを貸して頂けませんか?」


「えっ! ご住職さんはギターをたしなまれるのですか?」


「ええ…。恥ずかしながら、下手の横好きでございますが…」


 それはぜひとも聞きたいと思ったのか、義父が二階の物置部屋へ行ってから、春樹のギターを持って来た。住職がギターを受け取る。


「これは、ありがとうございます。それでは早速失礼致します」


 みんな、興味津々だ。こんなこと、前代未聞であろう。住職は「精霊流し」と「千の風になって」の二曲を披露した。下手の横好きだなんて、とんでもない。とても上手で思わず聞き入ってしまった。これは春樹にとって、御経とは違った意味でいい供養になるだろう。


「お粗末様でございました。申し訳ございませんが、お寺には何卒ご内密でお願い申し上げます」


「かしこまりました。黙っておきますので、四九日にもまた聞かせて下さいね」


 義母がさりげなく脅迫めいたことを言い出した。まさか、義母がそのようなことを言うとは…。思いもよらぬ義母の発言に、華はびっくりさせられる。父も母も遥斗のおかげで結果的にいいものが聞けた…なんて言っている。


 義父はこれからまたギターを再開しようかな…なんて言っている。田井島も今からギターを始めてみようかな…と華に言う始末である。お前、学生時代に春樹からギターを勧められるたびに断っていただろうが…。華は一人あきれるばかりであった。


 住職が帰った後、みんなで夕食を食べることになった。もちろん、さっきまで御経を上げてもらっていたので、夕食は作られていない。


「母さん、今日は思い切って、寿司でも取るか」


「それはいいね。では、早速、出前に電話しましょう」


 義父母が出前を取ったので、夕食は自動的に寿司となった。この前もそうだが、この頃は義父と父がそろって飲むことがすっかり定番となっている。この日は田井島も加わって、三人で飲んでいる。春樹は本当に愛されているなあ…。

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