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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第14章 家仕舞い
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家仕舞い④

「富子さん、お久しぶりですね。あらっ、遥斗ちゃん!」


 母を連れて、義父母の家に着くと、義母が出迎えてくれた。すでに段ボール箱は二階の物置に運ばれており、義父と父が早速、春樹の遺品の片付けをしているとのことだった。


 義母が台所で昼食の準備をしていたので、母がそのまま台所に入った。何だ…この奇妙な共同作業は? 春樹が生きていた時にこのようなことはあっただろうか? 何もすることのない華は遥斗を抱っこしたまま、二階の物置へと向かう。


「この本は春樹が何度も読んでいた本ですな…。村上春樹さんにあやかって、息子を春樹と名付けたんですよ!」


「そうなんですね…」


「そしたら、あいつ、見事にハルキニストになったんですよ。ノルウェイの森に、ねじまきクロクニル、一Q八三などを…それぞれで読んで、よく感想を言い合っていましたな…」


 何だ…これは? 義父と父がいがみ合っていたのが嘘のように、仲良く話している。まるで、古くからの知人同士の会話のようだ。華は夢の世界に迷い込んだような錯覚すら覚える。


「それで、華が村上春樹の本だけは全て残すように言ったんですね。なるほど…。春樹君は私にとって、初めてできた息子ですよ」


「そう言えば、俊夫さんの所は、娘さんしかいらっしゃらなかったですね…」


「そうなんですよ。だから、私は春樹君がいなくなって、本当に寂しい…。よく一緒に酒を飲みましたな…。もう二度と飲めないと思うと、何ともやりきれませんな…」


「俊夫さんがそう言って下さると、私もうれしいですよ。春樹も天国で喜んでおりますでしょう。後で、一杯やりますか?」


「おお、いいですな…」


 春樹は死んでもなお、人と人とをつないでくれている。それとも実は義父と父はもともと仲が良かったのか? 華にはさっぱり分からない。


 華は階段を登った先で聞こえる会話のせいで、物置部屋に入るタイミングを完全に失ってしまった。だが、今さら下に降りても、遥斗がいては台所の手伝いはできない。そこで遥斗を先に物置部屋へ行かせることにする。


 思惑通り、遥斗はよちよち歩きで物置部屋へ入っていく。遥斗をつかまえるフリをして、華も少々遅れて入る。

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