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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第13章 田吉にも柚木にも悩みの1つぐらいある
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田吉にも柚木にも悩みの1つぐらいある⑦

「俺は重婚許可税を日本に導入すべきだと思う。そうすれば、離婚もなくなるし、少子化だって解決される!」


「重婚許可税?」


 何それ、おいしいの? 田井島には全く意味がわからない言葉だったので、おっさんに説明を求める。田吉が言うには、家柄にこだわる人や財力がある人などが男女に関係無く重婚を望む場合、国や自治体に税金を納めてもらう。


 そして、税金を納めた暁には当局が重婚を認めると言うのもである。財政確保になるし、結婚へのハードルも下げるし、離婚もしなくてよくなると言うが、そんなにうまくいくとは到底思えない。


「そんなことし無くても、制度の中で何度も結婚と離婚を繰り返す人はいますよ、それにそんなのを認めたら、次から次に子どもを作ってしまい、子どもが困ることになります…」


 田井島が思い出したくもない少年時代に思いを馳せる。田吉のような考えの人がいるから、いつの時代も不遇の子どもが生まれる。そして、子どもが傷を背負ったまま大人になる。その思いを胸に田井島は田吉に続ける。


「私だって、母の再婚で実家での居場所を失いました。今は養父と母との間に生まれた二人の子どもと楽しくやっているんじゃないですかね…。一応、大学までのお金は出してもらいましたけど、その後は完全に音信不通です」


「……」


「重婚許可税なんて始めたら、それこそたくさんの子どもが路頭に迷いますよ…きっと」


 田井島がそう言い切ると、田吉は何度も首を傾げながら、


「田井島、お前もか…」


なんて言うではないか。ジュリアス・シーザーにでもなったつもりか? それ以前に、田井島がこの件に関して一度も田吉の意見に納得したことはないけど…。


「そもそも、全ての人々が自分の子どもを残そうとしていることが、自然の摂理に反している。人間以外の生物は全て強い遺伝子を持っているモノだけが、子孫を残すことを許される。その方が結果として、種族の反映につながるからな…」


「そしたら、田吉さんに子どもがいることが自然の摂理に反していますね…。何を持って、田吉さんが強い遺伝子を持っていると言いきれるんですか? 『神様はツンデレぐらいがちょうどいい。そうでないと人間がダメになる』と言えること?」

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