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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第12章 田吉のセッティング
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田吉のセッティング②

「俺なんかについて来ても、先は知れているけどな…」


 田吉はそう言ったものの、どこか嬉しそうだった。全く、素直じゃないんだから…。この前、店長の愛宕と田吉に勧められるままに買った黒のカジュアルジャケットに、赤のカジュアルシャツ、青のジーパンを組み合わせたこの日の格好は店長の愛宕に教えてもらった。上手に着こなせないと、せっかくの黒ジャケットも台無しになるらしい。


「その組み合わせは、愛宕さんのコーディネイトか?」


「そうですよ…」


「それでいいんだ。しばらくは得意な人のマネをして、コツをしっかり学ぶ。それから、自分のファッションを作ったらいい。俺もそうだったぞ」


「へえ…」


 ファッションに細かい田吉でもそんな時期があったとは…。何事も基本は真似する所から…と言うのは共通するようだ。


「さあ、着いたぞ。ちなみに今日は五対五だ。この前のボーリングとはまた違うからな…」


「どう、違うんですか?」


「はあ…。お前にはそこから教えてやらんといかんのか…。本当だったら、何も分からない状態で参加して、そこで恥をかいたり、やらかしたりしながら、経験値を上げていくんだけどな…」


 まあ、確かにそうだけど…。三〇から一から経験値を上げていては結婚する頃にはおじいさんだ。まあ、世話好きの田吉は何だかんだ言って、最後は必ず教えてくれるから助かる。


「そうだな…。五人いたら、五人とも同じように話すことが大切だな。見た目だけで、最初からある特定の子に狙いをつけてはいかん。女性は見てないようで、しっかりと男の動きを見ているぞ!」


「なるほど…。ありがとうございます!」


 二人で話しながら居酒屋に入ると、店員の案内で本日の会場へと案内された。会場は薄い壁で仕切られており、個室のようになっていた。そこにはすでに女性が三人いた。開始十分前にすでにいるとは…。ずいぶん早いではないか。

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