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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第2章 3人の出会い
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3人の出会い①

 田井島正行は花上春樹の通夜からの帰り道、友人のあまりにも突然の死を未だに受け入れられず、ただ夜空を仰いだ。葬儀場へ向かう途中、西の空に低く浮かんでいた三日月はすでに沈んでいる。


 街中の明かりのせいで、空に浮かぶ星もまばらにしか見えない。もしかしたら、昨日まで見えていた星がまた一つ明かりを失っているのかもしれない。花上のように…。


 思えば、大学時代から人文学部史学科で一緒だった。サークルも「フィリピンボランティア会」と言うフィリピンに学校を作ったり、貧しい家庭の子どもの教育支援をしたりする団体で一緒だった。


 鳥飼とは二人ともサークルで知り合った。彼女は人文学部日文学科に所属していた。ボランティアサークルは就職活動の時に受けがいいからと言う理由で選んだ田井島と違って、花上と鳥飼は困っている人がいたらほおっておけないと言う性質であった。


 このように多少の温度差はあったものの、一〜二回生のうちは学部共通科目や教養科目で一緒になることが多かった。さすがに三回生になると、鳥飼とは講義で一緒になることは無くなったが、花上とは同じ日本中世史ゼミを選び、腐れ縁のようなものを感じていた。


 とにかく暑苦しい男だった。曲がったことが大嫌いで、代返とか試プリとかのたぐいを一切受け入れなかった。隙あれば合理的に楽をして生きていきたい田井島にとっては、ある意味面倒な男でもあった。


 しかし、学年が上がるにつれて、自分のやり方や考え方を押し付け無くなってきたので、田井島は平気で代返とか試プリとかを共有できる仲間を作っていた。そして、楽をして取れる単位は楽をしてとった。


 空いている時間は社会勉強と称して、ひたすらアルバイトに精を出す。訳あって、両親とは完全に絶縁状態にあったので、学費以外は全てバイトと奨学金でまかなわないといけなかった。


 その上、サークル活動で海外ボランティアをしているため、年二回の旅費を稼が無くてはいけない。また、サークル活動自体もフィリピンに学校を作ったり、教育支援をしたりするために、チャリティーバザーや街角募金を月に二回ほど実施していた。


 そのためにも手を抜ける所は、要領よく手を抜かないと体がもたなかった。しかし、花上は何事も全力で取り組む。しかも、もともとの能力が高いので、力の配分さえうまくできれば、もっとすごいことができるのではないか…と思わずにはいられなかった。


 鳥飼も花上とよく似ていて、女性にしては熱い思いを持っていた。しかし、花上と決定的に一つだけ違う所がある。それは自らの命を省みるかどうかである。

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