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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第10章 婚活の狂気が冷めた朝
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婚活の狂気が冷めた朝④

 別にからかったつもりはないのだが…。結果としてからかってしまったようだ。それにしても、やっぱり微妙に噛み合わない。


 そりゃ、昨日初めて会ったばかりだから仕方ない。さっきは昔からの知り合いだったかのような錯覚を覚えたが、やはりただの錯覚だった。


 それにしても田吉のおっさん、女遊びにお熱の割には結構暇にしているんだな…。それともただの軽いノリか? これまで花上と鳥飼と三人でずっと一緒にいるのが当たり前になっていたので、田吉との買い物がとても新鮮だ。


 バスが来たので、バスに乗って街中へと向かう。さすがに、バスの中ではおっさんも静かだ。しかし、バスを降りると…。


「あっ、そう言えば、田井島。お前、子どもの頃に親が離婚したって…言っていたよな?」


「えっ、そんなこと言いましたっけ?」


「お前、本当に覚えていなんだな…。結鶴と俺が、それぞれ離婚していることを昨日話しただろう?」


「ああ、そうでしたね…」


 さすがに二次会あたりまでは、はっきりと覚えている。しかし、その後の記憶がきれいに飛んでいるのであった…。


「で、うちに来てから、お前は親が離婚してから、母親に引き取られたって…。母親が再婚した後に、養父との間に子どもが生まれてからはずっと冷遇されて育てられたって…言ってたぞ」


 うわっ、全部話しているし…。田井島は昨日の記憶を改めて振り返る。ニッパチを出た所まではおぼろげながら覚えているけど…。田吉の家に行ってからのことが、全く思い出せないのだ…。


「そしたら、普通、結婚に対していいイメージが持てないんじゃないの?」


「そう言うもんですかね…。そりゃ、親は結婚で失敗していますけど、それは親の話であって、私はこれからですから…」


「結婚至上主義はいかんぞ…。これはマスコミやドラマなんかがいかんだろうけど、結婚したら無条件に幸せになれるって、勘違いしている連中が多過ぎる。いいか、所詮、結婚は手段に過ぎんよ。そこらへんにあるはさみや包丁と同じよ。使い方を誤れば人を殺すし、正しく使えば生活を豊かにする」


 ええっ、思わず大声を出してしまった。これまでずっと女遊びがどうだとか、女性はこう口説くんだとか、ひたすら話していた人が、突然『結婚は手段に過ぎない』なんて身も蓋もないことを平気で言うんだから…。

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