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田井島、40にしても惑うことを知る⑦
柚木が大学の先生らしく丁寧に教えてくれた。さすがは芸大の先生である。物分かりがあまりよくない田井島でもストーンと落ちるように理解できた。しかし、一方でうまいことやり込められたようで、なぜか分からないけど悔しい気持ちもわく。
「さすが、結鶴ちゃん! じゃあ、そろそろ時間になったし、行きますか?」
「何か、うまいこと言いくるめられたみたいで悔しいです…。そもそも、何で人は身だしなみを整えるんでしょうね? 身だしなみなんか整えるから、外見でしか人を判断でき無くなるんです」
「じゃあ、いっそのこと、裸で暮らしてみるといいかもな…」
おっさんが悪乗りしてきた。いや、これは痛烈な皮肉か…。柚木はただあきれかえっている。
「それこそ、着飾ったら死刑にして、男性は国民服、女性はもんぺで、統一したらいいと思います」
「き、着飾ったら死刑ですか? マー君、見かけによらず、頑固だし、ぶっ飛んでいるな…。はあ、やれやれ…」
そう言って、柚木は何度もため息をつくのであった。田吉は眉ぞりセットを買うために、ひたすらコンビニを探していた。




