田井島、40にしても惑うことを知る⑥
「こうなったら、乗りかかった船だ。この後、うちに来い! その前にコンビニに寄ってから、眉ぞりセットを買わないとな…」
「それ、面白そう…。私も行く!」
「私、改造されるんですか?」
「婚活でうまいことやりたいんだろう?」
「まあ、そうですけど…」
田吉が兄貴面をする。それにしても、初対面だと言うのに、なんと面倒見のいい人なんだ。これなら、男女問わずにもてるだろう。
「あと、服も買わないとね。もう、こうなったら、とことん言わせてもらうけど、マー君、ユニクロやしまむらでしか、服買わないでしょう?」
「はい…」
「しかも、見た目を考えずに、着やすさだけで服を買っている!」
「……」
柚木の指摘が、的確過ぎて何も言えなかった。田井島は今やおじさんとおばさんのいいおもちゃである。ちょっと、教えてもらえたらと思ったら、根本から否定される始末…。別に見てくれの良さだけで恋人や友人を選ぶ訳でもないだろうに…。
「そうだな。とりあえず、いろいろ着回しができる黒のカジュアルジャケットを一着買おうか?」
「ところで、どうしてそこまで外見にこだわらないといけないんですか? 私は常に内面重視ですから!」
またしても、二人はため息をさっきよりも深くついて、それぞれ焼酎のお湯割りとカシスソーダを飲み出す。なんか、まずいことでも言ったかな…。
「よし、分かった。じゃあ、マー君が見知らぬ町へ行きました。そして、道に迷いました。そこにはスマホもなければ、警察官もいません。さて、どうする?」
柚木が突然問題を出してきた。やぶから棒に何だよ…と思ったが、とりあえず答えてみる。
「そうですね…。とりあえず、優しく丁寧に教えてくれそうな人を探します」
「で、それはどうやって、判断するのかね?」
「それは見た目が優しそうで…あっ!」
「やっと、気付いたか…。確かに内面も大切だけど、そこに至るまでには必ず外見が判断材料になるの! だから、それぞれの場に応じた格好を人はする。それは服装や外見にその人の心が表れるからです!」




