田井島、40にしても惑うことを知る⑤
「正義のためなら平気で無茶する友人と、無茶させないように友人を見守ることを選んだ好きな人のために、勝手に身を引くだけならまだしも…。三人の友情のために離れずにいただなんて…。私、やっぱり理解できんな…。ごめんね、マー君。おばさん、頭が固くてね…」
別に誰かに理解して欲しくて、そのようなことをした訳ではないが…。しかし、柚木の反応を見ると、自分がすごく意味不明なことをしてきたのかしれないと思ってしまう。
言葉にこそ出さないが、おっさんも同じことを思っているようだ。変な空気が流れ込んでいる。まあ、この二人がこのことに理解や共感をしてくれる人なら、多分二人とも離婚なんかしなかったような気がする。
それを口にしたら、この会を強制終了させかねない。また、二人(特におばさん)が怒りかねないので、さすがに言わない。
「まあ、これでお互いのことがだいたい分かった訳だし…。そろそろ、田井島が最初に質問した婚活のコツでも考えてみますか?」
いいタイミングで、おっさんが話題を変えてきた。田吉は見かけによらず、できる人だと思う。それなのに、何で離婚したんだろう…。田井島の頭に謎が残る。三人の中では一番空気読めるし、気配りもできる。
しかも、さっきからマメに食べ物とか飲み物が足りているか聞いては、何度も注文してくれる。なぜだろう? まあ、男女の相性と言うのは、そう簡単に計れるものでもない。
「そうね。まずはまゆ毛を整えないと…。マー君はまゆげ、全くいじってないよね?」
「えっ、まゆ毛って整えるもの何ですか? 学校でいじるな…って言われていたから…。みんな、自然な状態でよくきれいに生えそろっているなあ…と思っていました」
「おいおい、マジかよ…。お前なあ、高校卒業してから、十年以上経つのに…。相当、重症だな…」
おっさんがそうつぶやくと、田吉と柚木の二人はため息をつきながら、それぞれ焼酎のお湯割りとカシスソーダで喉をうるおす。田井島はチャンポンすると、すぐに悪酔いするのでひたすら生ビールを飲む。




