田井島、30にして婚活に立つ⑤
その後、軽食の会場にたどり着いたが、当初の予定よりも十五分遅れて始まる。この日は雨が降っていたため、ボーリングの開始が十分ほど遅れた。
それで、日程がそのまま押してしまったのだ。そのせいで、ゆっくりと話すこともできなかった。それにしても、厚化粧一号二号のしつこいこと…しつこいこと…。酒が入ったとたんに、
「やっぱり、これからは若い子よね…」
と言って、田吉のおっさんからこっちにシフトして来た。こちらとしては、一ゲーム目に同じだった新卒コンビやさっき階段でこけそうになっていた仲間由紀恵似の子と話したかったのに…。
それにしても、あのおっさんやるな…。四十とは思えぬ、軽やかなフットワークで厚化粧包囲網を抜け出し、新卒コンビやピンヒールの子としっかり話し込んでいる。さすがだな…。
「あ、おうか。あそこに小栗旬似のイケメンが!」
「あけみ、マジで? じゃあ、そっち行こうか! マー君よりも小栗旬だ!」
そう言って、厚化粧一号二号は小栗旬の人だかりの所へ行ってしまった。残り時間、あと十分足らず…。あーあ、できることなら、最初から小栗旬の所へ行って欲しかったな。
自分の近くにいる人によって、合コンの成果が決まると秋津は言っていたけど、本当にその通りである。今さら、気になるあの子の所へ行こうにも、いい具合に盛り上がっていて入り込めそうにもない。そんな状況で平気で割り込める厚化粧達はすごい…。厚かましいのは化粧だけではないらしい。
「何、一人で、ポツンと寂しそうにしているんだ…」
「あ、田吉さん!」
おっさんが同じ歳ぐらいの女性を連れて戻って来た。しかし、さっきの厚化粧一号二号と違って、品のある歳の取り方をされているようだ。今でも十分美しいので、若い時はもっときれいで美しかったに違いない。
「太一、この子がさっき話していた田井島さん?」
「そうだ。三十歳にして、合コン初参加らしい。とにかく初々しくてね…」
「田吉さん、その方は?」
「ああ、こいつは俺の知り合いの柚木結鶴だ。小学校からの腐れ縁で、今日は一緒に来てた」
小学校からの幼なじみってことか? 田井島には田吉と柚木の関係性が今一よく分からない。いろんなことが次から次に出て来て、田井島は頭の整理もろくにできない。
「ちょっと、太一…。腐れ縁ってほどでもないでしょう。もう…。あっ、私は柚木結鶴です。田井島さん、よろしく!」
「田井島君がよかったら、この後、三人で飲まないか? どうせ、今一人でいると言うことは、この後の予定もないんだろう?」
「えっ?」




