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30代からの婚活デビュー  作者: あまやま 想
第6章 花上を偲ぶ会
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花上を偲ぶ会④

「ごめん。お待たせ…」


 三人でいた時には全く気付かなかったけど、女性のお手洗いは思いの外に長い。やっぱり、化粧をこまめに直しているんだな…。ただ、どんなに顔は化粧でごまかせても、赤く充血した目まではごまかすことはできない。やっぱり、まだ…。


「もしかして…泣いてた?」


「泣いてないし…。何で、そんなことを聞くかな…。田井島君は馬鹿ですね〜」


「すまない…」


 花上の奴、何で生き急ぐようなマネをした? 花上がい無くなって、これまでのバランスが崩れるだろうと分かっていたけど、ここまで簡単に崩れるとはね…。改めて、花上春樹と言う存在の大きさを知らされる。


「ところで、田井島は結婚とか考えないの? 私達、もう三十だよ」


 私達? 確かに二人とも同級生ではあるが、鳥飼は未亡人とは言え、仮にも人妻である。もし、こんなことにならなかったら、ぬるま湯に浸かり続けて、婚期を完全に逃していたかもしれない。


「そうだな…。最近、特に多いよね。やっぱり、三十までに…と考えている人が多いな。俺もそろそろ婚活を始めようと考えている」


「そうか…。でも、田井島はそんなことをし無くてもいいよ…」


「何だって?」


 田井島は耳を疑った。鳥飼は何を言いたいんだ? まさか、花上がいなくなっても家へ遊びに来いとでも言うのか? そんなの真っ平ごめんである。わずか、二時間足らずの飲み会でも、花上がいないとこの有様だと言うのに…。


「春樹はもういないけど、これまでと変わらず二人でやっていけるから、大丈夫よ…」


「何を言っているんだ…。花上がいないと俺ら、全く会話が噛み合ないじゃないか?」


「そんなこと、問題じゃないの。私は、遥斗の母親として、子どもを育てていかないといけないの。そのためなら、どんな手段だって使う!」


 やっぱり、鳥飼はまだショックから立ち直れていない。冷静な判断が全くできてない。さっきから言っていることが支離滅裂だ。


「だったら、なおさら問題だ。花上はこんなことを望んでいない。十年前に、鳥飼が花上を守るために、ずっとそばにいると決めた時から…。俺は二人の友人であり続けると決めた」


「……」


「確かに、花上は事故で急死するなんて、誰にも予想できなかった。しかし、だからと言って、今さら…あの約束を取り消すことはできない。だって、俺は…」


 おっと、危ない…。これ以上、勢いに任せて、話してはいけない。田井島はあと一歩の所でかろうじて踏みとどまる。


 確かに、鳥飼は花上のそばにいるとあの時言ったが、自分の秘めた想いを閉じ込めることに決めたのは田井島自身だ。鳥飼や花上がそうするように強要した訳でもない。自分で決めたことを、今さら他人のせいにしてはいけない。

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