葬儀から一晩明けて...⑥
「私よりも一回りも若いのに、とにかく考えが古過ぎる。それにしても…校長先生と言うのは、いつも上から何か言う立場にあるからか、こちらの立場とか考えとかおかまいなしだ。全く…」
父はまだご立腹のようである。ただ、父は全く根に持たないので、しばらく経てばケロッと忘れるだろう。良くも悪くも、何でもすぐになかったことにできるのは、ある意味すごいことである。それとも、歳を取ると物忘れがひどくなるのか…。
「まあ、まずはマンションの引き上げかな…。春樹の名前を出したら、お義父さんもとりあえず保留にしようとおっしゃっていたからね…」
「で、どうするんだ?」
「しばらくしたら、中間地点辺りの安アパートでも借りようかと思うの」
「校長先生は、それで納得するかね…」
「してもらうしかないでしょう! やっぱり変だよ…。春樹がいないのに、夫の実家で暮らすなんて…。いろいろと、気を遣わないといけないのに、守ってくれる人はもうこの世界にいないんだから…」
「そうだな。華がそう考えているなら、できる限り協力しよう。口では負けるが、他はなんとかなるだろう」
口では勝てないとあっさりと認めるあたりが温和な父らしい…。だからこそ、周りに敵を作らずに、周りを味方につけることができたのだろう。
「そうよ。母さんもそう思う。母さんは美冴さんに話して、美冴さんから道夫さんを説得するようにお願いしてみる。同じ校長先生でも男性と女性では全く違うのよね…」
華から見れば、元県庁職員だった両親も、現役の校長である義父母もあまり変わらないような気がするのだが…。しかし、物事に対する考え方がまるで違うのだ。同じ公務員でありがなら、行政職と教育職ではこんなに違う物だろうか?




