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抱き枕。

化けうさぎ。

作者: SYULI


「おじゃましまーす」

小さな声をかけて入った真っ暗な室内で君を見つけた


「おはよ」

「んー…おはよーございまーす」

「ずっと寝てたの?」

「んー…そう」

寝ぼけながら起き上がった君を見るだけで幸せになる。


「みーちゃんおいでー」

そう言って引き寄せる力が強くて、

男の子なんだなってどきどきするの


君の隣で横になって、今日も抱き枕になる。

君がぎゅってしてくれる瞬間。

頭を撫でてくれる瞬間。

顔を引き寄せる瞬間。


幸せな気持ちが溢れてくる。

今この瞬間は、君の特別なのかなって信じられる。


それが、ただの私の思い込みなのか、

本当のところはわからないけれど。


「もっと上きて」

君に声を掛けられたら、

君の首に手を回して抱きつくの

そうすると君は私の腰に手を回して

ぎゅっと私を包み込む

君の香りが胸いっぱいに広がって

ああ幸せだなって思うんだ


君との距離は0センチ

心の距離は何センチなのかな


私の頬を引き寄せて君の頬と合わせるのと

耳を触るのが好きだよね

無意識なのか、意図的なのか、

君は何度もやってるよ


二の腕と太ももも好きでしょう

君にすべすべ〜って言われる度

頑張ってよかったなって思ってる


君が突然お姫様抱っこをしたがるから

軽量化も進んだんだよ


君と会う日を楽しみにして

抱き枕はレベルアップを図ってるのよ


いつまで抱き枕は続くのか

抱き枕の先は0か1か

不安で仕方がないけれど

幸せな時に考えちゃだめだ


前は幸せに溢れていた帰り道

今は寂しさと切なさと不安でいっぱいなの


いつでも君に会いたいし

君がいないと寂しいよ

抱き枕に気付いたら耳が生えて

うさぎになっちゃったのかな


君に呼ばれるととんでいって

呼ばれないと構ってってはねてはねて

撫でられると大人しくなって

すきすきって全身から溢れ出すの



そっか、抱き枕に耳が生えたんじゃない

うさぎが抱き枕のふりをしてただけなんだね




うさぎはさみしいとしんじゃうんだって


し ん じ ゃ う ん だ っ て



なんてね


わたしはさみしくても我慢するよ


君の時間の邪魔はしないんだ

君が幸せなのが一番だもの


ペットのうさぎはご主人様の幸せを願ってるの

わたしは従順なペットだもの


でもほんとはね構ってほしいよ

いわないけど構ってほしいんだよ


だけど抱き枕に意思はないの

うさぎは抱き枕に化けないと生きていけないから

いつ正体がバレるか怯えながら

今日も抱き枕になりきるの


わたしは、うさぎ?


いいえ、わたしは抱き枕。


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