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人間未満 2

 七月の半ば、蝉の鳴き声が響き渡り、身体が溶けてしまいそうな暑さがこの季節を支配している。

 たかどの高校二年E組。もう少しで夏休みになるためか、教室にはどことなく浮かれた雰囲気が漂っていた。そんな教室の一員である、小鳥遊椛たかなしもみじは窓際に位置する自分の席に座って空を見上げていた。

 赤みがかったオレンジ色に染めた髪と、つり目がちなその顔立ちから、椛は人から避けられがちだ。しかし椛自身、そのことに異存はなかったし、むしろ一人でいるほうが楽だったため、この髪と容姿はそういった意味でも役に立っていた。

 そうこうしている間にチャイムが鳴り、生徒たちがそれぞれの席へ戻っていく。

「おはよー。ホームルームな」

 そこにガラガラと扉を開きながら、椛の担任兼現国教師である瓜生太郎うりゅうたろうが入ってきた。――見知らぬ白髪の少年を連れて。

「誰?あの美形」

「転校生じゃないの?」

「綺麗な髪。ハーフかな?」

 今まで見たことのない生徒、しかも美少年の登場に、クラス中がざわめきたつ。その騒ぎを鎮めるように、瓜生が鋭く手を叩いた。

「はい、もう皆分かったと思うが、転校生がうちのクラスに加わることになった。そういうことでよろしく」

 瓜生はいつもどおり気だるげに説明すると、隣に立っている少年にちらりと目線を向けた。

「春夏冬、自己紹介を」

 少年は、こくんと頷いて、自己紹介を始めた。

春夏冬狂あきなしきょうです。よろしくお願いします」

 狂と名乗った少年は形式どおりの自己紹介を終えて、瓜生を見上げた。

「じゃあ春夏冬は……あの席に座ってくれ」

 そういって瓜生は空いていた、椛の隣の席を指差した。

(お……)

 椛の方に向かって狂が歩いてくる。鞄を机の横にかけて、狂はすとんと椅子に腰を下ろした。

「小鳥遊、春夏冬に教科書見せてやってくれ。春夏冬の分、まだ届いてないんだ」

 瓜生が椛に向かって声をかけた。

「はあ」

 別段嫌だとも思わなかったので、適当に返事を返して、椛は狂に視線を向けた。

「じゃあお前……えーっと春夏冬?机、私のにくっつけとけよ」

 椛が人差し指で机を動かすように示すと、狂はそれに従って自分の机を椛の机にぴったりとくっつけた。

「じゃあ朝のホームルームはこれまで。後は各自でよろしく」

 そういい残して瓜生は教室を出て行った。途端、わっとクラスメイトたちが狂を中心に集まってくる。そうすると、当然その隣に座っている椛まで巻き込まれることになる。それは遠慮したい椛がガタンと音をたてて立ち上がると、近くにいた数人の女子生徒たちがビクリと怯えたように肩を跳ねさせた。それをちらりと一瞥すると、椛はそのまま教室を出て行った。

 





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