プロローグ
うす暗い会議室のような室内に、数人の人間がざわめきながら椅子に座っている。
――ガチャリ。
ドアを開けてその中に入ってきたのは、スーツを着た男性と、その後ろにつき従うように歩いている少年だった。
二人が入ってきた途端、ざわめきがピタリと止まり、それまで椅子に座っていた人物らが、二人を凝視する。
「猪口さん、それが……?」
先ほど入ってきた二人のうちの一人、猪口と呼ばれたスーツ姿の男性が深く頷いた。
「はい。彼が『試作品01号、<狂>』です」
言いながら猪口が後ろに立っていた少年を指し示すと、周りが「おお!」と歓声を上げる。
「本当かね!それで試作品なのか!」
「素晴らしい出来だ!それはどう見ても人間にしか見えないじゃないか!」
その場にいたうちの一人が<狂>と呼ばれた少年を指差した。
確かにその少年は、白髪と黄色い目の配色が少々変わっていることを除けば、ただの色素が薄い普通の人間にしか見えない。だが――
「お褒めに預かり光栄です。確かに人間と見分けがつきにくいかもしれませんが、狂は『ヒューマノイド』、『クリーチャー』ですから」
猪口が狂の背中をそっと前へ押し出すと、<人工生命体>と称された少年は一歩前へ進み出て、感情のない目でゆっくりと室内を見回した。