難しい
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人というものは難しい。はっきり言って、交友とか、人間関係とか。
だってただ面倒なだけじゃね?ただワイワイやりたいだけじゃね?
そもそもどうして、こう、人って仲良くなりたがるんだろうか。どうせ裏切られたりして絶望するのによ。差別したりするのによ。
し・か・も!どうしてイケメンってのは女子が集るんだろうな?どうして金持ちとか集りができるんだろうな?どうして美人ってのは男子が集まるんだろうな?
やっぱり人は顔なのか。顔で集まるのか。趣味とかで集まる奴らとか居ないのか。
……いた。さっそく喧嘩してやがる。主義主張が違うとやっぱり喧嘩が起こるってのは、どこの世界でも同じなんかね。
ってか、さっきから『○○たんの方がいいだろ!!』とか、何言ってるの?完全な俗語?それとも思考がおかしい奴?
…とかやってみたけど、やっぱり人ってのは難しいなぁ。
現にほら。ちらちらと視線を合わせてはパッと離す男女。ウブだねぇ。
お。こっちにも居やがった。このクラス、ペア出現率多くね?
やばいわぁ。俺全く分からんわぁ。恋愛関係とか全く分からんわぁ。やっぱり人ってのは難しいわぁ。
「鬼道院君。先生が呼んでたよ」
「…アー、悪いね」
「い、いいよこれくらい」
なんて考えていたら、一人の女生徒に声をかけられた。確か俺の席とはだいぶ離れていた気がする。
どうしてだかわからないが、まぁとりあえず返事をしたら頬を少し染めて去ってしまった。
うん。やっぱり難しい。人というのは。
職員室へ向かう道中。先ほど考えていたことを考えながら歩いていた。
人というのは難しい。関係の維持とかするのに話しかけなければならない。
第一、用件を言えば大体の会話は終わるものだ。それを関係の維持のためなのか無駄話をしている。
…うん。メンドクセ。
面倒くさいけどみている分には面白い。傍観者というのはやはり楽だなー。自ら作るわけじゃないし。ただみてるだけだし。
そうこうしているうちに職員室。考えてると時間が過ぎるのが早くて驚く。
「失礼し・・・・・・」
「鬼道院。こっちへこい」
ふざけるな。人の挨拶蹴飛ばしやがって。
言いたい。すごく文句を言いたい。だけど人とは得てして文句を心の中に留めておくものである。やはり難しい。
仕方なしに呼び出した張本人のところへ行く。こういうのは年功序列のせいだろうか。俺、一応こいつより年上のはずなんだが。
「私はお前より長生きだ」
「心読むんすね」
「口に出していたぞ」
「そっすか」
こういうやり取りをしないといけないのも面倒だ。人ってのは難儀すぎる。
「何の用すか?」
「せっかちだな、全く。・・・・・逃げ出したバカを捕まえてきてくれ」
「バカ……。そっちでなんとかしてください」
嫌そうな顔をしてやる。人はこういうのを露骨にやらないからダメだと思う。
そしたら拳骨をもらった。
「教師の前でそんな顔するな。次やったらまずお前を締め上げて―――」
「警察に連絡するぞコラ」
頭を押さえながら、変なことを言い出す教師に宣告する。こいつ退職しねぇかな。
「それはまずいな。だが頑張って捕まえてきてくれ」
残念そうな顔をしてきた。しかし頼みを却下することはないらしい。
人というのは本当に難しい。断ることが面倒だし、話を持ちかけられるというのもまた。
「そこら辺にエロ本置いとけばいいんじゃないすか?」
「他の奴らも釣れるだろうが」
「じゃぁアンタがその四肢でポーズとる」
「モデルじゃねぇよ」
「大体どこいるんだよ?」
今更気になったことを口にする。こういうのも人の特性だと知り、やっている。
「人間道」
「六道輪廻の話の場所じゃねぇ。わかんねぇのか」
「いいから行け」
強制だった。こういうのも人にはいるから面倒だ。
「分かったよ。こっからの授業は休みにしやがれ」
「もうやった後だ」
つまり根回しは終わっていると。拒否権なかったのか。
「これが終わったら明日学校には来なくていいぞ」
うん。俄然やる気が出てきた。たとえ嘘だとしても。こりゃどうしてだろうね?
「は・な・せ!は・な・せ!!」
「うっせぇよ慶次。放浪癖直せ」
「いいだろうが!風が俺を呼んでいるんだ!!」
「黙ってろ」
そう言いながら襟首を強く引っ張り気絶させる。こういうのは人目につかないところだからできること。
やっぱり人ってのは難しいね。
そう思いながら、俺はわが担任の下へ向かった。
「ご苦労」
「あばよ」
簡単な会話をして帰る俺。ちなみにバカは担任に伸されていた。
「待て」
「下校時間なんだから帰らせろ」
「明日も来いよ」
「知ってる」
ほら。やっぱり人ってのは難しい。
帰り道。暗闇の道を一人でとぼとぼ歩いていると。
「今帰りなのか、鬼道」
「…そういうあんたは今出勤?」
ドラキュラのドラさん(♀)に遭遇した。
彼女は俺の問いかけに頷いた。
「ああ」
「頑張って」
「ああ」
彼女はあっちの世界で金と血を請求するぼったくりバーを経営している。余程のことが無い限り、致死量の血を取ったりしないらしい。
飛んでいくドラさんを見送ってから、俺は今日の出来事を頭の中で思い浮かべながら家へ帰るのだった。
――――ここは現世とあの世が偶然にもつながり交友している世界。
この物語は、その中で鬼道院正嗣という一匹の鬼が生きていく日常の話である。
慶次……前世は前田慶次。風来坊は受け継がれ、青少年のエロさを併せ持つ。通称バカ。