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Un re di demone  作者: クドウ
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ガデス神国がガデス王国となり、代表者が変わったという話は瞬く間に世界中に広がり、神官大惨殺と共に世界中を震撼させた。







カナトはまず、王を王城から追い出した。

カナト的に罪はなかったが邪魔だったので、とりあえず金貨を共に田舎に隠居するように勧めた。

青い顔をしてこくこくと頷き、快く承諾してくれた。

うん、従順なのは良いことだ。


カナトはただ、本拠地が欲しかっただけだ。

悪の総本山。

もしかしたら他国の勇者が神官を惨殺した悪魔として討ちにやって来るかもしれない。

負ける気は全くしないが、しょうがないからラスボスにでもなってやろう。

王城なので馬鹿っ広いが、使い道がない。

因みに使用人は一人もいない。

前々世では一人暮らし経験もあるので掃除や料理は一通り出来るので問題はない。

ただラスボスが1人で掃除して料理して洗濯して・・・って格好悪い。

掃除と料理に関しては魔法があるので良いのだが。


「使用人か」


これだけ恐れられていて普通の人間を雇うのは無理だ。

奴隷でも買うか?

ガデスでは奴隷商が禁止されていたが、他国では罷り通っている国もあると聞く。

噂を知らないような奴隷を数人買うか。


「王よ」


「・・・何だ」


思案中のカナトを訊ねて来たのは、大神官だった。

大神官は殺さずに、地位もそのままにしてある。

儀式以外の業務はそのままこなしてもらわないとならないからだ。

御供の神官共の顔は青褪めている。


「その、ここで働きたいと申す者が・・・」


いないと思うが、万が一、用がある者は、大神殿の大神官まで。

カナトはそう御触れを出している。

くだらんものははねておけ(首をではない)と言っていることもあり、今まで何もなかったのだが。


「ふぅん、モノ好きだな。まぁ、いい、連れて来い」


言い分と心を視てから決める。




◇◇




「あ、こんにちは!おれ、サイ・ホロックスっていいます!ここで、働かせてください!」


「・・・何故?」


「妹が帰って来て、嬉しかったけど、殺されました。だから、家にいたくなくて」



儀式が中止になり、各家庭に返された子供たちは、地域によっては殺された。

縁起が悪いのだそうだ。

カナトは正直、そこまで面倒みる気はないし、その話を聞いても罪悪感は全くと言っていいほど、ない。


「儀式が中止になったのが嬉しかったんです。皆の生贄になる恐怖、なくなったことが嬉しい」


少年の心を覗いてみると、カナトに対する恐怖が一番大きい。

それでも此処に来たというのは、中々に肝が座っているというか、なんというか。

・・・ただのバカか?

尊敬、感謝、畏怖。

消去法だろうが働きたいと思っているのは嘘ではなく、裏がある訳でもないようだ。


「いいだろう。好きにすると良い」


「あ、ありがとうございます!」


ぶんっと勢いよく頭を下げる。

カナトはこの頭が悪そうな少年を果たしてどう使えば良いのだろう、と考えた。



◇◇◇



サイ・ホロックス。

16歳、男。

見事な赤毛に、茶の瞳。

背はカナトより高いので、おそらく180近くあるだろう。

筋肉はあまりついていないようだ。


「お前、何が出来る?」


「狩りと野良仕事出来ます!」


「・・・それ王宮の仕事じゃないよな」


「あ」


「・・・・・・・・・・・とりあえず、」



茶。






此処でクソ不味い茶が出て来るとテンプレだと思うのだが、そんなこともなく。

かと言って美味しいというわけでもなく、普通だった。

つまらん。


一応執事の制服を渡した。

基本的にカナトの仕事を全般的に補助してもらうことにした。

とは言ってもカナトに仕事はない。

本来は外交がカナトの仕事なのだが、噂が一人歩きしてカナトに謁見の申請などはない。

他国はガデスを警戒している。

目下のところ、茶を淹れてもらう、食事の手配をするというのがサイの仕事になる。

狩りが出来るなら弓が使えるだろう。

魔法弓でも作って持たせるか。

それに護身用にレイピアも持たせよう。

あとは・・・。


「街に行ってスカウトでもして来るか」






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