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Un re di demone  作者: クドウ
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エピローグ


一人増えてまた一人。

芋づる式に増える増える。




「カナトさまー! ダイさんが来ましたよー!」


「そんな大声出さなくても聞こえるわ」


サイの大声にカナトは二階の窓から中庭へ飛び降りた。


「相変わらずだな、サイは……」


苦笑いのダイに、カナトも同意を示す。


「で、どうしたんだ?」


「騎士団を引退したので挨拶に参りました」


「あれ、もうそんな歳か。律儀なやつだな」


カナトはもう王ではないというのに。


「表向きはガデスの王に仕えていましたが、直接の雇用主はカナト様だと思ってますからね」


従属化していない、人間であるダイは年相応になっている。

普段見慣れている人物はすべて従属化された不老不死に近い存在であるため、不思議な感じがする。


「あれからもう二十年か」


コスタで隠居し始め、約二十年。

正直平穏である。

もっとあるかと思っていた魔族の反逆はほとんどなく、数回あったそれも撃退しているうちにゼロになってしまった。


「城の方は問題ありません。新しい大神官もアホではないですし」


儀式復活の気配はない。


「ローレル様もアオイ様も、メイドも騎士団の面々も皆元気ですよ」


「そうか……近いうちに顔を出すか。アオイの子供も見たいしな」


ローレルは青い髪の可愛らしい女児を産んだ。

その子ももう結婚し、子供も産んでいる。


「その時はカナト様の子供も連れて行ってやれば喜びますよ」


「う……そ、そうだな……」


子供はかわいい。

かわいいが、子供の話になると途端苦い顔をするカナト。


「パパー!」


勢いよく脚にしがみ付いて来た子供を抱き上げた。


「おきゃくさん?」


「おきゃくさんだ」


「はじめまして、ナナです!」


「はじめてまして、ダイ、と言います」


初めましてが恥ずかしいのか、はにかんで、カナトの首に腕を回した。


「あのね、パパ。ママがよんでるの」


「……そうか。すまん、ちょっと行って来る」


哀愁漂うカナトの背中を見ながら、サイが笑った。


「ママとかパパとかまだ慣れないみたいで、おもしろいんすよー」


仮にも主に対してこの発言。さすがサイ。


「結局、どちらの子供なんだ?」


「どっちでもないんじゃないんですかねー」


ナナの言うママは、もちろんニイナを指しているが、ナナはニイナから生まれたわけではない。

魔族の誕生は人間とは違い、女性の胎内から出てくるというわけではないそうだ。

もちろんその方法も取れるのだが、出生率は恐ろしく低い。


「突然湧いて出ると自分の子供って感じはなさそうですけど」


そこは何故かわかるらしい。

ナナは正真正銘、カナトの子供で、色々受け継いでいると。

ただし母親は不明。

そもそも母親の概念がないのだ。


「しかし……また人数が増えてないか?」


「そうなんですよねー。従属化して増えることもあるけど魔族の人もだんだん増えちゃって」


増築しないと部屋が足りないというところまで来ている。


「……平和だなぁ」


「平和ですよー。平和な魔王城ってのも不思議ですけどねー」


「もっともだ」


ガデス王国がガデス魔国になる日も近いんじゃないか、と思うのだった。





END





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