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Un re di demone  作者: クドウ
21/35

18


「カナトさまー!もっどりましたぁー!!」


バタン!と勢いよく扉を開けたサイ。

ベッドの上のカナトとナカを見て、一瞬固まる。


「・・・う、あああああああああああああああ!」


叫びながら勢いよく来た道を戻って行くサイ。


「阿呆だな」


「ん~・・・サイちゃ、うるさ・・・」


「まだ寝とけ」


全裸のナカに毛布をかけ直し、カナトはベッドから抜け出した。

サイの報告を聞かなくてはならない。




「サイ、報告を」


「ははははい。つ次の納税の時に、し城へ来るそーです」


「そうか・・・状況は?」


「肉体的被害はないようですよ。でも、居心地の良い場所ではないからニイナ様を助けたい、って侍女のひとが言ってました」


「分かった。・・・部屋を用意しないとな」


そういうつもりではないが、造りが一番便利な仕様になっている、後宮が良いだろう。

他の姫がいる3階ではなく、ローレルを移した2階にしようか。

因みに1階は使っていない厨房と食堂があり、4階は大浴場になる予定である。



朝食はパン食のようなので、カナトは珈琲だけで済ませた。

今日から大浴場の工事を進める。

急げばニイナが来るまでに仕上がるだろう。





ヲウルが城下町の商人ギルドを訪れた際、偶然イスフェリアの商人に会ったという。

その商人が午後からやって来ることになった。



「お初にお目にかかります、イスフェリア王国、ヒツジ商会のイチイ・ヒツジと申します。以後お見知り置きを」


流暢にガデス語を話すが、何故か魔力の流れがある。

魔法を使っているのだろうか。


「ガデスの王、カナトだ。今商品は何を持っている?」


「ヒツジ商会は菓子と魔道具・魔玩具をメインに取り扱っております」


言いながら、商人は商品を並べていく。


「がらがらはないのか?」


「はい?」


「ベビー用品はないのか?」


「お子様がいらっしゃるのですか?残念ながらベビー用品は手元になく・・・明日、でしたらご用意できますが」


「・・・明日?」


ガデスとイスフェリアの距離はかなりのものだ。

そもそも大陸が違うので船旅になる。


「ガデスに拠点があるのか?」


「ございません。え~・・・持っているものに届けてもらうと言いますか」


ものすごく怪しい。


「では、明日。もう一度来い。イスフェリアの調味料もあれば頼む」


「畏まりました。明日改めてお伺い致します」







「これは・・・!」


某黄色いクマの着ぐるみ。

ピカなんとかって鳴く黄色い不思議生物。

ディズ○ーの青い不思議生物。

勿論一般的なかわいらしいベビー服、玩具、哺乳瓶などもある。


「アガった。大人買いしよう。そうしよう」


性別がまだわからないので、明らかな女児用男児用は避ける。

しかしクマとか青いのとか、流石におかしい。


「このベビー服はどこから仕入れた?」


「リリスフィアでございます。この着ぐるみシリーズはここ数年向こうで流行ってまして」


嘘はないようだ。

リリスフィアにカナトと同じ転生者がいる可能性が高い。


「職人に会ったことはあるか?」


「えぇ、ありますよ」


「名は?」


「デザインはすべて、リィリィシュカ妃殿下のものでございます」


おそらくその人間が転生者だ。

何も知らずにこのデザインはありえない。


会ってみたいとは思うが、流石にリリスフィアは遠過ぎる。


「あとは調味料でしたね」


商人は瓶などの容器に入った調味料を並べていく。


「陛下より見て右から、醤油・味噌・ソース・酢でございます」


「醤油、味噌・・・本物だな。ガデスで卸している店はないのか?」


「今のところ、ございません。ガデスには昨日着いたばかりですので」


「そうか。定期的に城に卸に来れるか?」


「えぇ勿論」


「詳しいことは、そうだな。厨房責任者と数を決めてくれ」


「畏まりました。ついでに調味料の使い方も伝授しましょうか?」


「・・・いや、それは大丈夫だ」


カナトにとって味噌と醤油は和食の調味料である。

イスフェリアの料理が味噌と醤油が使われていても、和食と違う可能性がある。


「あとは菓子ですが、御覧になりますか?」


「そうだな。一応見せてくれ」


「本日お持ちしましたのは、イスフェリアンの国菓子・マカロン。それからカカオクッキーでございます」


「マカロン・・・聞いたことがあるな」


「イスフェリアに来たことが?」


「いや・・・」


そういえば、依頼主から貰ったものの中に、こういうお菓子があったことを思い出す。

懐かしい記憶だ。


「商人、その腕輪は?」


魔力の流れは腕輪からのようだ。

さっきから気になっていたのである。


「これですか?翻訳用の魔道具でございます。私はガデスの言葉がわかりませんので」


「翻訳・・・そんな魔道具があるのか」


「えぇ、色々ありますよ。どういったものがご希望か仰って頂ければご用意出来るものもあると思いますよ」


「一番欲しいものは電子レンジなんだがな」


「電子レンジ?・・・まぁ4年後くらいなら調達出来ると思いますが」


「は?」


「え?」


商人はきょとんとしてカナトを見る。


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」




気を取り直して。


「4年後なら電子レンジが手に入ると?」


「えぇ、まぁ」


「電子レンジが何か分かるのか?」


そもそも電子レンジの電力自体、この世界には存在しないはずである。

名前が一緒の別モノとでも言うのだろうか。


「はい・・・店舗に導入しておりますので」


「それはイスフェリアでは普通なのか?」


「いえ、ヒツジ商会の店舗でしか使われておりませんね」


「開発は?」


「一応、私が」


「どうやって?」


「どうやってと言われましても・・・」


開発方法を聞けば同じものが別モノか、わかると思ったのだが。

あれか、企業秘密ってやつか。

心を読んでもそのことを考えなければ読み取れない。


「まぁ良い。その電子レンジ、4年後で良いから頼む。他に何かガデスにないお勧めの魔道具はあるか?」


「一般普及していないものならたくさんありますが、王宮内には普及していないものもあると伺っております。厨房など見せて頂ければ使い勝手の良い魔道具をお勧め出来ますが」


「そうか。あとで厨房の責任者と話してくれ。それとその翻訳の腕輪は手に入るのか?」


「はい。ただかなり高価になりますが・・・」


「良い」


カナトは心を読めば外国語も何も関係ない。

が、あればかなり便利だろう。


「よし、では部屋を用意する。今日はもう遅いから明日、厨房責任者と話してくれ」


「畏まりました」


今日は味噌と醤油を使って和食だな。

カナトは調味料を持って厨房へと向かった。






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